オンライン総会、敷地売却決議ほかマンション標準管理規約(単棟型) (2021年6月22日)の改正

マンション標準管理規約の改正は、国交省が有識者を集めてすすめてきた「マンション管理の新制度の施行に関する検討会」で2020年7月から2021年3月の5回の会議が実施されて、2021年5月に標準管理規約の改定案とコメントが公表されてパブリックコメントが5月20日に終了したばかりで、その1か月後の6月22日に正式な改正版として公表されました。

パブリックコメントの結果は、有識者が集まり検討会で審議されることなく公表されました。唐突に公表された感が否めないですが、おそらく新型コロナウイルス感染症対策で、通常総会を開催がしづらい状況が続きオンライン総会(IT総会)を実施して良いのか、という問い合わせが多く、正式な改正を急いだほうが良いと国交省は判断したものと思われます。長引く新型コロナウイルス感染症対策対応を意識して、オンライン総会(IT総会)の開催を明確に認める声明を出したのでしょう。

オンライン総会(IT総会)は、一般社団法人 マンション管理業協会のITを活用した総会の実施ガイドライン策定や、公益財団法人 マンション管理センターが公表している新型コロナウイルス感染拡大におけるITを活用した総会・理事会の開催に関するQ&Aでも、留意点があげられていますが否定されているわけではなく、今回の改正前から実施できることを国交省は明らかにしていました。しかし、今回の改正の概要で改めて、「 IT を活用した総会・理事会については、それを可能とすることを明確化する観点から標準管理規約の改正を行っているものであるため、この改正に伴って各管理組合の管理規約を変更しなくとも、IT を活用した総会・理事会の開催は可能です。」と明確に、各マンションで管理規約を変更なしで、オンライン総会(IT総会)の開催を発表しています。

管理規約の改定なしでオンライン総会できるので、これから招集する管理組合は安心してオンライン開催してください。現実解としては、オンライン参加できない組合員と理事長や理事が少人数でリアル開催して、オンライン環境がある組合員はオンライン参加というのが感染対策を考慮した現実解になります。オンライン総会でも、総会の審議で議論に参加して、議決権を行使できます。

2021年6月22日マンション標準管理規約(単棟型)の改正について、オンライン総会(IT総会)に伴う改正ほか、確認していきたいと思います。 なお、標準管理規約は、時代とともに変化していますが国内のどのマンションの管理規約も、いつの時代からの標準管理規約がもとになっております。法律ではありませんが、裁判の根拠になったりしますので法律のような縛りがあると考えるべきです。さらに、標準管理規約のコメントは国交省の解釈で、どちらにでも解釈できるコメントもあります。コメント部分は参考にしつつ、管理組合で方針を決めることで良いでしょう。

オンライン総会(IT総会)、理事会に関する改定

第2条 十に定義が追加されました。電磁的方法として、イはインターネット回線で情報の送受信について、ロは、HDDやSDDやUSBメモリなどに情報を記録する方法(電磁的記録)として用語を定義しています。

そして、2条十一にWEB会議システムが定義されました。通信回線を介して即時性及び、双方向性を備えた映像及び、音声の通信を行うことが出来る会議システムとしています。

即時性と、双方向性が担保されていることが重要です。リアル総会と同じように組合員への説明、組合員が質問して、議決権行使をするにあたって、即時性と、双方向性が必要になるためです。

【すべて新規】

第2条 (定義)

十電磁的方法 電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって次に定めるものをいう。

イ 送信者の使用に係る電子計算機と受信者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用する方法であって、当該電気通信回線を通じて情報が送信され、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報が記録されるもの

ロ 磁気ディスクその他これに準ずる方法により一定の情報を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに情報を記録したもの(以下「電磁的記録」という。)を交付する方法

十一 WEB会議システム等 電気通信回線を介して、即時性及び双方向性を備えた映像及び音声の通信を行うことができる会議システム等をいう。

第38条のコメントには、WEB会議システム等を用いる場合は、「②総会においては各組合員から、理事への報告においては、③各理事の質疑への応答等について適切に対応する必要があることに留意すべき」と追加されました。即時性、双方向性があるWEB会議システム等を使用していることが前提になります。

【下線部が新規】

第38条 (理事長)

【コメント】

②第3項について、WEB会議システム等を用いて開催する通常総会において、理事長が当該システム等を用いて出席し報告を行うことも可能であるが、WEB会議システム等を用いない場合と同様に、各組合員からの質疑への応答等について適切に対応する必要があることに留意すべきである。

③第4項は、理事長が職務の執行の状況を理事会に定期的に(例えば、「3か月に1回以上」等)報告すべき旨を定めたものである。なお、WEB会議システム等を用いて開催する理事会において、理事長が当該システム等を用いて出席し報告を行うことも可能であるが、WEB会議システム等を用いない場合と同様に、各理事からの質疑への応答等について適切に対応する必要があることに留意すべきである。

第43条 (総会の)招集手続きには、総会の開催するときは、会議の日時、場所(WEB会議システム等を用いて会議を開催するときは、その開催方法)及び目的を示して組合員に通知を発しなければならない、とWEB会議システムの開催の場合の参加方法の説明の追加が求められています。

機材や回線については記載があります。各組合の判断に任されますが、個人の回線、PC、スマフォ等を使っての参加が一般的と考えられます。個人が回線、PC、スマフォ等を所有していない場合は参加できないので、組合員全員に平等な総会を開催するためには、完全オンライン総会は出来ないわけですから、感染症対策を考慮するならば、リアル総会を開催しつつ、個人の回線、PC、スマフォ等でオンライン総会に参加できる場合は、オンライン参加を推奨するという開催方法が現実解と言えます。

【下線部新規】

第43条 (招集手続)

総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の2週間前(会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときは2か月前)までに、会議の日時、場所(WEB会議システム等を用いて会議を開催するときは、その開催方法)及び目的を示して、組合員に通知を発しなければならない。

【コメント】

(第1項関係)

WEB会議システム等を用いて会議を開催する場合における通知事項のうち、「開催方法」については、当該WEB会議システム等にアクセスするためのURLが考えられ、これに合わせて、なりすまし防止のため、WEB会議システム等を用いて出席を予定する組合員に対しては個別にID及びパスワードを送付することが考えられる。

(第7項関係)

総会と同様に、WEB会議システム等を用いて説明会を開催することも可能である

第46条の議決権のコメントでは、リアル総会と同じように組合員が議決権行使できると説明しております。 区分所有法第39条第3項は、電子的方法による議決権行使書についてですが、オンライン上で意思表示することで、議決権を行使出来ることについて説明しています。しかし、通信障害がおこると、総会が無効になる恐れがあるため留意すべきであると解説しています。

【すべて新規】

第46条 (議決権)

【コメント】

⑧ WEB会議システム等を用いて総会に出席している組合員が行使する場合の取り扱いは、WEB会議システム等を用いずに総会に出席している組合員が議決権を行使する場合と同様であり、区分所有法第39条第3項に規定する規約の定めや集会の決議は不要である。

ただし、第三者が組合員になりすました場合やサイバー攻撃や大規模障害等による通信手段の不具合が発生した場合等には、総会の決議が無効となるおそれがあるなどの課題に留意する必要がある。

47条で、総会の定足数についてオンライン総会の場合も出席組合数に含まれるとしています。

【すべて新規】

第47条 (総会の会議及び議事)

【コメント】

① 第1項の定足数について、議決権を行使することができるがWEB会議システム等を用いて出席した場合については、定足数の算会議システム等を用いて出席した場合については、定足数の算出において出席組合員に含まれると考えられる。これに対して、議決権を行使することができない傍聴人としてWEB会議システム等を用いて議事を傍聴する組合員については、出席組合員には含まれないと考えられる。

理事会の招集についても総会と同様であることが52条で説明されています。

【すべて新規】

理事会の(招集)

【コメント】

②第52条関係なお、第4項で理事会の招集手続につき第43条を準用しているが、WEB会議システム等を用いて開催する理事会についても同条が準用され、その場合の開催方法の考え方については、コメント第43条第1項関係を参照。

理事会の会議及び議事についてもオンライン総会が可能であることを条文に追加しています。コメントでは、オンライン総会でも出席理事に含まれることと記載があり、規約や細則に則り、議事録の作成することを留意すべきと記載があります。オンライン理事会では議事録を書かなくなる傾向があるのか、コメントに注意書きがされています。

【下線部新規】

第53条 (理事会の会議及び議事)

理事会の会議(WEB会議システム等を用いて開催する会議を含む。)は、理事の半数以上が出席しなければ開くことができず、その議事は出席理事の過半数で決する。

【コメント】

⑤理事会に出席できない理事に対しては、理事会の議事についての質問機会の確保、書面等による意見の提出や議決権行使を認めるなどの配慮をする必要がある。

また、WEB会議システム等を用いて開催する理事会を開催する場合は、当該理事会における議決権行使の方法等を、規約や第70条に基づく細則において定めることも考えられ、この場合においても、規約や使用細則等に則り理事会議事録を作成することが必要となる点などについて留意する必要がある。

なお、第1項の定足数について、理事がWEB会議システム等を用い会議システム等を用いて出席した場合については、定足数の算出において出席理事に含ま れると考えられる。

マンション内施設の感染症対策の使用停止・制限措置、置き配を認める使用細則について

マンション内の施設に人が集まりやすい施設がある場合について、感染症対策の観点から仕様細則によって、例えば理事長の判断で、使用を一時的に停止・制限することは可能であるということをコメントで明記されました。

Amazon等の通販サービスや、生協などの宅配型サービスでも玄関前(廊下)に、置いて配達する運用が増えています。標準管理規約上は共用部分に専有部のものをおくことは認められていませんが、18条の使用細則をつくることで、置き配を認めるコメントが明記されました。長時間の放置や大量・乱雑な放置等により避難の支障とならないように留意する必要の注意書きがコメントをつけています。

感性症対策で、宅配サービスを選択する利用者が増えたことが背景にあると思われますが、そもそもオンライン購入が増加傾向であるため時代の流れであったとも言えます。

【下線部新規】

第18条 (使用細則)

対象物件の使用については、別に使用細則を定めるものとする。

【コメント】

第18条関係

①使用細則で定めることが考えられる事項としては、動物の飼育や使用細則で定めることが考えられる事項としては、動物の飼育やピアノ等の演奏に関する事項等専有部分の使用方法に関する規制ピアノ等の演奏に関する事項等専有部分の使用方法に関する規制や、駐車場、倉庫等の使用方法、使用料や、駐車場、倉庫等の使用方法、使用料、置き配を認める際のルール等敷地、共用部分の使用方法や対価等に関する事項等が挙げられ、このうち専有部分の使用に関するものは、その基本的な事項は規約で定めるべき事項である。また、マンション内における感染症の感染拡大のおそれが高いと認められた場合において、使用細則をの感染拡大のおそれが高いと認められた場合において、使用細則を根拠として、居住者による共用部分等の使用を一時的に停止・制限することは可能であると考えられる。

④専用使用部分でない共用部分に物品を置くことは原則として認められないが、宅配ボックスが無い場合等、例外的に共用部分への置き配を認める場合には、長期間の放置や大量・乱雑な放置等により避難の支障とならないよう留意する必要がある。

災害または、感染症対策のための総会のやむを得ない場合の延期について

42条コメントで、災害又は感性症対策への対応として、オンライン総会での開催を認めつつ、やむを得ない場合において会議を延期ができることを記載しています。

しかし、コメントにあるとおり、「やむ得ない場合の話」と解釈すべきであり、ニューノーマルの時代の管理組合総会として、リアル+オンライン総会を開催することが出来る準備をすすめるべきでしょう。集会室がある管理組合であれば、管理費で、インターネット回線と、リアル出席者のためのモニター(HDMI外部入力がある液晶テレビ)等を確保するなどが考えられます。

【すべて新規】

第42条関係(総会)

【コメント】

(第3項関係)

災害又は感染症の感染拡大等への対応として、WEB会議システム等を用いて会議を開催することも考えられるが、やむを得ない場合においては、通常総会を必ずしも「新会計年度開始以後2か月以内」に招集する必要はなく、これらの状況が解消された後、遅滞なく招集すれば足りると考えられる。

専有部配管について

敷地及び共用部分等の管理の第21条の2の「専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理」については変更ありませんが、コメントが追加されました。

これまでは、配管の清掃等に要する費用は「管理費を充当することが可能」としながら、配管の取替え等に要する費用のうち専有部分に係るものについては、各区分所有者が実費に応じて負担すべきものとされてきました。 しかし、専有部の配管の取り替えについても共用部分の配管の取替えと同時に行うことによって費用が軽減される場合について、一体的に工事を行うことについて、先行した区分所有者への補償の有無等も留意しつつ、修繕積立金からの拠出することについて、規約に規定することで可能としています。

【下線部新規】

第21条2 (敷地及び共用部分等の管理

専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。

【コメント】

⑦第2項の対象となる設備としては、配管、配線等がある。配管の清掃等に要する費用については、第27条第三号の「共用設備の保守維持費」として管理費を充当することが可能であるが、配管の取替え等に要する費用のうち専有部分に係るものについては、各区分 所有者が実費に応じて負担すべきものである。なお、共用部分の配管の取替えと専有部分の配管の取替えを同時に行うことにより、専有部分の配管の取替えを単独で行うよりも費用が軽減される場合には、これらについて一体的に工事を行うことも考えられる。その場合には、あらかじめ長期修繕計画において専有部分の配管の取替えについて記載し、その工事費用を修繕積立金から拠出することについて規約に規定するとともに、先行して工事を行った区分所有者への補償の有無等についても十分留意することが必要である。

共用部の竪配管の更新工事は修繕積立金で実施すべき工事の対象となります。しかし専有部の床下の配管は専有部となります。給水管の共有部との専有部の境界は、標準管理規約の別表2 共用部分の範囲の説明で「給水管については、本管から各住戸メーターを含む部分、雑排水管及び汚水管については、配管継手及び立て管」とあるため、水道メーター後の給水管が専有部、雑排水管・汚水管は、竪配管への継ぎ手までが専有部になります。

しかし、専有部の床下配管は、個人で交換するにはかなりの工事規模となることから、売却時のリニューアルする際以外は通常は着手できていない専有部は多く、漏水事故が発生してから対応するケースが多いです。

床下専有部の配管構造と専有部、共有部の境界(築古、スラブ上の配管構造の例)

専有部からの漏水は個人の負担で行うことになっていましたが、この改正で、修繕積立金を使っての一斉交換も認められるコメントがつけられました。築古マンションでの長寿命化のポイントが、専有部の配管の交換です。

漏水するリスクが高い配管は、給湯管の銅管のエルボ部分、塩ビライニング鋼管の給水管の継ぎ手部分、雑排水管の継ぎ手部分などの例が多いです。施工状況などによるのですが、築20年以上、遅くても築40年以上では専有部からの漏水は起こると考えて、専有部を含めた更新計画を検討すべきです。

2000年以降の近年のマンションは、給排水の竪管が1箇所のパイプシャフト(メーターボックス)に集約されている設計が多いですが、それ以前のマンションでは、専有部にパイプシャフトが複数あり防火区画内に設置されている例も多く、工事は大掛かりで大規模になります。古いマンションほど、内装復旧の費用の割合も大きいのが特徴です。1部屋あたり100万円以上という費用になる場合もあります。

追加されたコメントにある通り、すでに個人の費用で実施した分への補償や、管理組合が工事した配管の以後の漏水時などへの保証を明確にして、長期修繕計画を書き換えて、管理規約を3/4以上の賛成を得て改正して合意形成してすすめるべきでしょう。

なお、この第21条の2のコメントが追加する以前にも、修繕積立金に余裕がある管理組合では組合で一斉交換した事例は多々あります。管理組合の合意形成ができることがポイントになります。詳しくはこちらのブログ「マンション専用部分等の配管類更新による再生事例調査報告書」を読むも参考にしてください。

管理計画認定と要除却認定について

総会で、2020年6月改正されたマンション管理適正化法で更新された第5条の3第1項に基づく管理計画の認定の申請、同更新、同変更の申請と、2014年6月改正のマンション建て替え等の円滑化法改正の第102条第1項に基づく除却の必要性の申請について新たに総会の議決事項として追加されました。

管理計画の認定の申請については、マンション管理組合が自治体に管理計画を申請して、認定を受けると共用部のマンション火災保険の保険料が下がるなどのインセンティブを管理組合に与えて、管理の質の向上を促すことを狙いにした制度でありますが、まだ詳細があきらかになっておりません。国の基本方針に基づいて、地方公共団体(区市町村)が、管理適正化の推進のための計画を策定することになっています。

円滑化法改正の第102条第1項に基づく除却の必要性の申請については、特定行政庁(自治体)がマンションの耐震診断などの結果により危険と判断した場合は、除却の必要性を認定します。除却認定を受けた管理組合が4/5以上の議決権数の賛成で敷地売却決議をしてマンションを取り壊して敷地売却できるという流れになっていますが、特定行政庁(自治体)への申請を行うための決議が改めて総会議決事項として追加されています。

【下線部新規または、改変】

第48条 (議決事項)

次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なけれ

ばならない。

一 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止

二 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法

三 収支決算及び事業報告

四 収支予算及び事業計画

五 長期修繕計画の作成又は変更

六 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法

七 修繕積立金の保管及び運用方法

八 適正化法第5条の3第1項に基づく管理計画の認定の申請、同法第5条の6第1項に基づく管理計画の認定の更新の申請及び同法第5条の7第1項に基づく管理計画の変更の認定の申請

九 第21条第2項に定める管理の実施

十 第28条第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し

十一 区分所有法第57条第2項及び前条第3項第三号の訴えの提起並びにこれらの訴えを提起すべき者の選任

十二 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧

十三 円滑化法第102条第1項に基づく除却の必要性に係る認定の申請

十四 区分所有法第62条第1項の場合の建替え及び円滑化法第108条第1項の場合のマンション敷地売却

十五 第28条第2項及び第3項に定める建替え等に係る計画又は設計等の経費のための修繕積立金の取崩し

十六 組合管理部分に関する管理委託契約の締結

十七 その他管理組合の業務に関する重要事項

敷地売却の前に耐震改修等、長寿命化を促す規約変更

敷地売却決議については、特定行政庁(自治体)から除却認定を受けていることが前提になりますが、以下を検討して、総会の2か月前までに総会招集の際に、議案として組合員に提出することが明記されています。

  • イ(1)(2)耐震性能に問題がある場合は耐震改修をしない理由、その概算額
  • ロ(1)(2)火災に対する安全性に問題がある場合は、火災に対する安全性の向上を目的とした改修をしない理由とその概算費用
  • ハ(1)(2)外壁、外装材の剥離及び落下に問題がある場合は、剥離及び落下に対する安全性の全性の向上を目的とした改修をしない理由とその概算費用
  • 売却を必要とする理由、建て替えをしない理由

敷地売却決議をする前に耐震改修他、十分な長寿命化を検討して、出来ない理由を組合員に明示してから総会決議をするように促していると言えます。規約改正を詳しく見ていきます。

【下線が新規】

第43条 (招集手続)

総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の2週間前(会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときは2か月前)までに、会議の日時、場所(WEB会議システム等を用いて会議を開催するときは、その開催方法)及び目的を示して、組合員に通知を発しなければならない。

2-5 省略

6 会議の目的がマンション敷地売却決議であるときは、第4項に定める議案の要領のほか、次の事項を通知しなければならない。

一 売却を必要とする理由

二 次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に定める事項

イ マンションが円滑化法第102条第2項第1号に該当するとして同条第1項の認定(以下「特定要除却認定」という。)を受けている場合 次に掲げる事項

(1)建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年法律第123号)第2条第2項に規定する耐震改修又はマンションの建替えをしない理由

(2)(1)の耐震改修に要する費用の概算額

ロ マンションが円滑化法第102条第2項第2号に該当するとして特定要除却認定を受けている場合

次に掲げる事項

(1)火災に対する安全性の向上を目的とした改修又はマンションの建替えをしない理由

2)(1)の改修に要する費用の概算額

ハ マンションが同項第3号に該当するとして特定要除却認定を受けている場合 次に掲げる事項

(1)外壁等の剥離及び落下の防止を目的とした改修又はマンションの建替えをしない理由

2)(1)の改修に要する費用の概算額

7 建替え決議又はマンション敷地売却決議を目的とする総会を招集する場合、少なくとも会議を開く日の1か月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について組合員に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。

8 第45条第2項の場合には、第1項の通知を発した後遅滞なく、その通知の内容を、所定の掲示場所に掲示しなければならない。

9 第1項(会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときを除く。)にかかわらず、緊急を要する場合には、理事長は、理事会の承認を得て、5日間を下回らない範囲において、第1項の期間を短縮することができる。

耐震改修、火災に関する安全性、外壁、外装材の剥離及び落下に問題について、出来ない理由を明確にして説明会をしてから敷地売却の総会決議をするように、第43条の招集手続きの本文に追加したということは、国交省の強い意図があると考えられます。国交省は、既存のマンションの長寿化を促す方針であると言えます。

建替えについては、マンション建て替え等の円滑化法には、容積率の緩和特例などの制度なども用意していますが、ほとんどのマンションは区分所有者の持ち出し比率が大きく建替えの合意は得られないのが現状です。そしてのこの改正で、除却についても簡単には進められないようにハードルをあげていように見えます。

そう考えると、マンションの長寿化に力を入れて、2050年前後の人口減少が一段落する時期まで、乗り越えていこうと考えているのでしょうか。21条の2の専有部配管交換を促す記述も理解が出来ます。長寿命化推進方針であるならば、新築住宅や新築マンションの抑制も改めてすすめていただきたいものです。

マンション建替えについては、分譲型の低層団地で建ぺい率、容積率にゆとりのあるマンションや、再開発予定地などのマンション建て替え以外は資金と合意形成の問題で不可能と言って良いでしょう。こちらの「一団地の住宅施設のマンション建替えについて」を参照ください。

行政から除却認定を受けて、4/5以上の議決権数の賛成で敷地売却決議をして、除却の準備をすすめている例が、銀座8丁目の中銀カプセルタワービルです。この例では、大規模修繕工事に大きな費用がかかりすぎる見通しであることが大きく改修出来ないという結論になりました。詳しくはこちらのブログ「中銀カプセルタワービルは何故、大規模修繕工事が出来なかったのか?」をご覧ください。

その他の改正

数か所、電磁的方法による申請や承認が可能となる点の変更があります。また添付される申請書の日付について、平成→令和とせずに年号を消す例がありますが、説明は割愛します。

記名押印を、「署名」に変更している箇所が数カ所ありますが、第49条の議事録の作成保管には、2名の総会に出席した組合員の署名押印になっており、全面改訂されているわけでもなくよくわからないです。

その他の変更としては以下の点があります。

第32条の管理組合の業務の中の②のコメント長期修繕計画の内容が以下のように変更になりました。

【変更前】

1 計画期間が25年程度以上であること。なお、新築時においては、計画期間を30年程度にすると、修繕のために必要な工事をほぼ網羅できることとなる。

【変更後】

1 計画期間が30年以上で、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上とすること。

さらに、これまで長期修繕計画の定期的な見直し(おおむね5年程度ごと)とありましたが、(おおむね5年程度ごと)が削除されています。

新築もそれ以外も30年以上で、2回の大規模修繕工事を含むとかかれているのは、新築時に極端に低い修繕積立金で、1回目の大規模修繕工事は出来るが2回目以降は、予算が足りなくなる問題が、ほとんどの新築分譲マンションで起きており、懸命な管理組合は、修繕積立金を定額方式として値上げをしていますが、そうでない管理組合が2回目以降で大規模修繕工事が予算不足が出来なくなる問題が起きている問題への対応を促す狙いがあります。また、築古マンションでも、30年以上の2回の大規模修繕工事を計画に入れることを促すことも長寿命化推進という国交省の狙いもあるとも言えます。

マンション管理の新制度の施行に関する検討会(第2回)議事概要では、委員から「段階増額積立方式と一時金方式は認定の(管理計画認定制度)の対象外とすることも考えられるのではないか」と指摘もあがっていますが、国交省は、天下り先のデベロッパーへの遠慮をすることをやめて、極端に安い修繕積立金で新築販売されないように規制をすべきです。

第32条の管理組合の業務の中の⑤のコメントに建物の修繕に有用な書類として、竣工時の付近見取図、配置図、仕様書(仕上げ表を含む)、各階平面図、小屋伏図、構造詳細図、構造計算書、消防関係書類、電気設備図、機械関係設備施設に加えて、「給排水設備図」が追加されています。

第35条の役員に、「2理事及び監事は、総会の決議によって、組合員のうちから選任し、又は解任する。」ことが明記されて、「3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事会の決議によって、理事のうちから選任し、又は解任する。」と明記されました。さらに、第54条の理事会の決議事項でも、「理事長、副理事長及び会計担当理事の選任及び解任」が追加されています。

これまでは、選任するという表現でしたが、解任について明確にしたことには意味があるように思えます。

こちらのブログ「暴走理事長に対して組合員の総会招集権で対抗する」を参照ください。総会決議を実行しない勝手なふるまいをする理事長を解任することが出来ることを明記することで、役員の役職の重みを持たせと言えるでしょう。

さらに、役員の欠格条項に、第36条2項に、これまでの専門的法律用語である「成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの」から、「精神の機能の障害により役員の職務を適正に執行するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者又は破産者で復権を得ないもの」と分かりやすい言葉に改正しています。

まとめ

  • オンライン総会(IT総会)、オンライン理事会が明確に実施できるようになったことを明記しています。但し、現実問題、全組合員がオンライン総会に参加できる環境ではない現状では、リアル+オンライン総会の併用が現実解です。オンライン総会では、リアル総会同様に、総会の議論に参加して議決権を行使できます。
  • なお、マンション内施設の感染症対策のための措置として、細則を定めることで理事長がマンション内の施設の利用を一時的に停止・制限することを認めるコメントが追加されました。
  • 通販事業者などによるマンションの玄関前、つまり共用部の廊下への「置き配」について認めるコメントと留意点が追加されています。
  • 感染症対策でやむを得ない場合は、総会を延期できるコメントが追加されています。
  • 専有部の配管の交換工事について、個人の負担でと明記されていましたが、この改正で修繕積立金を使って実施する場合、先行した区分所有者への補償の有無等も留意しつつ、修繕積立金からの拠出することについて、規約に規定することで可能とコメントで明記されました。
  • マンション管理適正化法で更新された第5条の3第1項に基づく管理計画の認定の申請、同更新、同変更の申請と、2014年のマンション建て替え等の円滑化法改正の第102条第1項に基づく除却の必要性の申請について新たに総会の議決事項に追加されました。
  • 敷地売却決議のための総会には、耐震改修ほか必要になる金額も含めて充分に検討して決議することが第43条総会の招集手続きに追加されています。
  • 以上が主たる変更点になりますが、オンライン総会対応が大きな変更ですが、マンションの除却敷地売却をする手続きのハードルをあげて耐震改修など長寿命化の検討を促す国交省の意図があるように思えます。

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