一団地の住宅施設のマンション建替えについて

一団地の住宅施設とは、都市計画法11条の8にて、「一団地における五十戸以上の集団住宅及びこれらに附帯する通路その他の施設をいう」として定義されている都市施設です。

小平市の北側にある一団地の住宅施設である小川住宅、おそらく小平市でも最も古い分譲共同住宅の一つであり、約2.4haの敷地に、地上5階、8棟、230戸の団地です。かつて存在した特殊法人の日本住宅公団(現在は、各種特殊法人と統合されてUR都市再生機構)が1971年に建設して分譲しました。

築50年で旧耐震、5階建てエレベータなし、自主管理のいわゆる団地であり、建替えに向けて協議がされてきたそうです。

小平市民等提案型まちづくり条例による、小川東町二丁目地区まちづくり計画の縦覧が始まり建替えに向けて動き始めたようで、都市計画課で縦覧資料を見てきました。

敷地は約2.4haと非常に広く、西武多摩湖線八坂駅に徒歩5分、江戸街道、西武拝島線、ブリジストン、商業施設に囲まれている敷地であることもあり、開かれた雰囲気ではないのですが今後の建替の可能性、地区計画によるまちづくりについて考えてみました。

一団地の住宅施設が地区計画に書き換えられ、区分所有法とマンション建替え円滑化法によってマンションが建替えられる流れを確認して、小川住宅が建替えられる可能性が高いことと、その資産価値などについて考察します。

「一団地の住宅施設」のマンション建替えの流れ

「一団地の住宅施設」のマンション建替えの事例は、2014年から2016年までに国交省の住宅団地の再生のあり方に関する検討会で詳しく説明されています。第一回の資料6に事例が紹介されています。

マンション建替え円滑化法による一団地の住宅施設の建替成功例

建替前建替後
大田区
萩中
(第一種住居)
萩中住宅(1968年)
地上5階/8棟
368戸
一団地の住宅施設
敷地面積 1.50ha
オーべルグランディオ萩中(2006年)
地上18階・地上17階・地下1階/2棟
534戸
(敷地変更なし、容積確保による)
町田市山崎
(第一種中高層住居)
山崎住宅(1968年)
地上5階/9棟
300戸
一団地の住宅施設
建ぺい率20%、容積率50%
敷地面積2.89ha
山崎住宅(2009年)
10階建て/2棟
305戸
地区計画
建ぺい率20%、容積率100%(マンション部分容積率150%)
敷地面積1.48ha(戸建て、道路向けに敷地売却による資金確保)

多摩市諏訪2丁目
(第一種中高層住居)
多摩ニュータウン(1971年)
地上5階/23棟
640戸
一団地の住宅施設
建ぺい率30%~150、容積率10~60%
敷地面積6.4ha
多摩ニュータウン(2013年)
11・14階建て/7棟
1,249戸
地区計画
マンション部分容積率150%
敷地面積6.4ha(敷地変更なし、高層化による住宅確保、自治体要請に基づく医療拠点、子育て支援施設、高齢者施設の誘致)

大田区萩中の例は、敷地面積変更なし、一部規制緩和により容積率を確保して高層化して新規住宅を確保して、建替え資金に回しています。町田市山崎の事例では、一部の敷地を住宅や道路として売却して資金を確保して、容積率をつかって高層化しつつ、住戸数はほぼ増やさないで建替えに成功しています。多摩市ニュータウンの例では、容積率を確保して、高層化して、住戸も増やして併せて、医療拠点、子育て支援施設、高齢者施設の誘致をして、活性化をはかっています。

いずれも、5階建ての団地が、「一団地の住宅施設」の縛りを外して、建蔽率、容積率を確保して、住宅数を増やすか、もしくは、敷地をあけて売却するか、有効利用するなどの工夫をしています。

区分所有者が、3つの例では、368戸、300戸、640戸もいますが、区分所有法・マンション建替え円滑化法によって、区分所有者の4/5以上の議決権数の賛成がないと建替え出来ません。背景には、居住者の持ち出しがほとんどなかったと思われます。

「一団地の住宅施設」は、建蔽率・容積率を低く抑えた分譲団地であるため、用途地域の建蔽率・容積率を利用しているところがポイントです。

なお、この他のマンションの建替事例については、公益社団法人 マンション再生協議会が詳しいので参照ください。

小川住宅の建替え成功率

小川住宅も、上記の大田区萩中、町田市山崎、多摩ニュータウンとほぼ同じ時期の1971年竣工で、8棟、230戸、5階建て、一団地の住宅施設の都市施設で、建蔽率20%、容積率70%、約2.4haとゆったりとした敷地です。おそらく住宅戸数を増やして、建て替えをすることが出来るため成功する可能性は高いと言えるでしょう。

小平市民等提案型まちづくり条例による、小川東町二丁目地区まちづくり計画の縦覧は撮影禁止だったためメモと記憶だけになりますが、北側の江戸街道側には、歩道の確保、東側の小川東第四公園と連続した緑豊かなの公園・広場を計画しているようで、周辺の市民も使えるスペースができそうで、良い方向に向かっていると思いました。

全国地価マップより引用

近隣住民でないため意見書をだすことは出来ませんが周辺住民としては、一般開放の公園・広場エリアを極力ひろくとってほしいと思いました。西側は商業施設の背面、東側はブリジストンの倉庫、南側は西武線と袋小路のため、土地利用の検討は限られます。商業施設も西側にあるため、北側に広場・公園をつくるというレイアウト以外は思いつきません。おそらく地区まちづくり計画通りにすすみます。

小川住宅の建替えと、地区計画策定の流れ

管理組合側と、小平市側のやるべき事と今後の流れを整理しました。管理組合は4/5以上の総議決権数の賛成による建替え決議を行って、併せて、建蔽率・容積率緩和を第一種中高層専用住宅の60%、200%の範囲で新規住戸を確保して売却益が見込める検討を事業協力者のデベロッパーとともに行って建替組合を設立して、建替に乗らない区分所有者分の売り渡してもらって、権利変換認可、建替えという流れになります。建替えのために引っ越し負担程度で持ち出しなしの見通しがつけば、4/5以上の総議決権数の賛成は得られて、成功の可能性は十分あるでしょう。(後日、区分所有者の住民の方にヒアリングしたところそこまでは安くできないようです)

市は、小平市民等提案型まちづくり条例をつかって小川住宅側の提案による地区まちづくり計画を策定することで、市民の提案をすすめているということで、事業をすすめやすくなります。今後は一団地の住宅施設の規制を外して、管理組合側、周辺住民と協議しながら、都市計画法の地区計画として、まちづくりの目標、区域の整備・開発及び保全に関する方針を策定し具体的に公園・広場にするエリア、住宅にするエリアの規制を決めていきます

管理組合は、小川東町二丁目地区まちづくり協議会として、助成金が市から年間20万円出て、市の認定した団体として計画を検討しやすくなり、小平市も住民提案によるまちづくりの実績つくりにもなります。実際に、今回の地区まちづくり計画は、良い活用事例と言えるでしょう。

小川住宅は、西武多摩湖線の八坂駅からも徒歩5分、商業施設と隣接しており良い環境ですが、5階建て・エレベータなしの旧耐震の築50年のマンションは、若い世代は購入しづらくかなり高齢化が進んでいたようです。縦覧資料には65歳以上が7割を超えるとありました。今後、小平市で恐らく初めてのマンション(団地)建替えの事例となりますが、検討が加速することを期待します。小平市の人口はまだ微増していますが、減少は間もなくであることを考えると、建替えは急いだほうが良いでしょう。

「一団地の住宅施設」の資産価値

小川住宅の建替えで気づきましたが、立地が悪くない団地ですが、若い世代が選ばれる住環境ではないですが投資価値があると思いました。今の資産価値はネットの住宅情報では53m2、2LDKで1200万円程度とリーズナブルな価格ですが、建替をリーズナブルに進められれば、権利変換で得られる住戸の価値は高く、資産価値があると言えるでしょう。但し、建替えに成功する保証はありません。

中古マンションの見極めのポイントとして、土地が広い・築古マンション、建蔽率・容積率に余裕がある団地型マンションはおなじ原理で、建替えや敷地売却まで見越すと資産価値があると言えるでしょう。

まとめ

  • 「一団地の住宅施設」である都市施設の団地は、建蔽率・容積率を抑えて土地利用しているため、建替え時に地区計画に移行することで、建蔽率・容積率を使って住戸数を増やして費用を捻出することで、建て替えをしやすくなります。
  • 小平市小川東町2丁目にある小川住宅は、1971年竣工、11棟、230戸、5階建て、一団地の住宅施設の都市施設で、建蔽率20%、容積率70%、約2.4haとゆったりとした敷地です。住戸数を増やして建て替えをすることが出来るため成功する可能性は高いと言えるでしょう。

以上

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