築30年を超えるマンションでは、共用部の排水竪配管、専有部給湯配管など漏水リスクが高まります。

給排水管の配管保守は、マンションの長寿化の最大のポイントになります。

このブログでは、建物構造の変遷と、配管の漏水リスクについてと、長期修繕計画で見ておくべき更新費用についてまとめたいと思います。

このブログでは、以下の動画でも詳しく説明してますので参考にしてください。

長期修繕計画、給排水配管の修繕費が足りているかを検証しよう

築年代別のマンションの建物構造

マンションの配管の更新を検討する際のポイントは、3か所になります。

一つ目のポイントは、排水配管が埋設されているかどうかです。万一漏水すると、1階の専有部から床を開口して掘り返さないとメンテできないので相当な費用がかかります。1部屋で5-600万円という例も聞きました。居住者に一時的に引っ越しして頂く費用も支払う必要もあります。図1が埋設、図2、3がピット構造になっています。

二つ目は、排水配管が専有部内の壁の中にあるか、パイプスペースなどメンテしやすい場所にあるかどうか、これで排水配管の更新費用がかなり大きくなります。図1,図2がこのタイプになります。排水管がパイプスペースの中などメンテしやすい位置に集約されている構造の図3だと排水管更新費用もだいぶ抑えられます。

三つ目のポイントは、配管材質です。2000年より以前のマンションでは、給湯管が銅管、排水管で白ガス管(鋳鉄管を亜鉛メッキしたもの)、給水管が給水管ライニング鋼管が、使用されていることが多いですが、やがては確実に漏水することがわかっています。2000年以前のマンションではこれらの材質が使用されている場合が多いです。

マンション建物構造、ピットなし、排水管専有部

図1. 排水管は埋設、排水竪管が壁の中にある構造(点線内が共用部)

1980年代及びそれ以前のマンションは、排水管が埋設されている建物が多いです。給水管はパイプスペースで立ち上がるので埋設管が破裂しても床を掘り返して修理すれば良いのですが、排水管は破裂すると専有部を掘り返すことになり費用が大きくなるとリスクが大きくなることを意識しておきましょう。

なお、埋設給水管は、塩ビが使われているケースが多いので、腐食することはありませんので地震や地盤沈下などがなければそうそう破損するものでもありません。

この時代の排水配管は専有部の壁に埋められています。壁を壊して工事になりますので、交換費用は大きくなります。なお、排水管は、ファミリータイプの場合は、2本ある場合が多いです。

マンション建物構造ピットあり、排水管専有部

図2. 排水管はピットにありメンテ可能、排水竪管が壁の中にある構造(点線内が共用部)

図1に対して、ピットがある構造のマンションだと、地下配管から漏水した場合はピットに入って修理できるので地震や地盤沈下の際の漏水があっても大きな工事費が多額になるリスクはありません。

マンション建物構造ピットあり、排水管集約

図3. 排水管はピット、排水竪管がメンテしやすい場所に集約されている構造(点線内が共用部)

もっとも新しいメンテナンス性を考えた建物構造になります。図2と同様、ピットがある構造のマンションで、地下配管から漏水した場合はピットに入って修理できるのでリスクは低いです。排水管はメンテしやすい位置、パイプスペースにあり、更新コストも安く抑えられます。

2000年代以降に図3のような排水竪管がメンテナンスしやすい構造のマンションが出てきたのですが、新しいマンションではすべて図3のような構造なのかというと、そうではありません。むしろ、図2のタイプの方が多いのが現状です。

配管工事会社にお話を聞いても、排水配管は1/50の勾配で流すので距離を長くすると流れが悪くなったり閉塞する原因になるので避けたいという思いがあるようです。また、床も高くあげないといけなくなり、建築設計の視点でも好ましくないと考えられているようです。

しかし、居住者からすれば、排水竪管の工事で専有部に入って壁を壊すような工事は負担が大きいので、図3のような構造のマンションは望ましい構造と言えます。

マンション配管の3大漏水リスクとは

図1の埋設排水管のリスクについて触れましたが、万一漏水すると被害は甚大ですが、実際の事故の頻度はそんなには高くはありません。

では漏水しやすい配管はどの配管でしょうか?

埋設給水管が給水用塩ビライニング管を使っている場合、リスクは高いです。20年前後で漏水リスクが高まるので、20年前後で交換したほうが良いでしょう。

建物の中の配管では、専有部の床下を通っている給湯銅管と、共用部にあたる専有部の壁の中に入っている排水管の白ガス管など鋼管は、30年前後で漏水リスクが高まり、漏水リスクが高い配管になります

さらに、給水管からの漏水も事例はあるのですが、上記の3つよりはリスクは低いです。

表1 マンション配管の3大漏水リスク

配管材質漏水箇所責任漏水時期
埋設給水管の給水用塩ビライニング鋼管(SGPV)マンション敷地内の埋設部分管理組合 20年前後
給湯用の銅管(Cu)専有部 床下(被害は下の階)専有部30年前後
排水管の白ガス管(CIP or SGPW) (亜鉛メッキした鋼管)専有部の壁の中やパイプスペースを立てに通っている。管理組合30年前後

なお近年は、給水竪管にステンレスや樹脂(エスロンハイパーやHIVP)、排水竪管にも樹脂配管(耐火VP管や耐火二層管)、専有部の給水・給湯管には架橋ポリエチレンと言うチューブが使われており、表1の材質は、あまり使われていません。

表1の話を戻します。

埋設給水管は、事故を起きたら断水になります。水があふれてくるのですが、どこで漏水したか特定するのに苦労する場合があります。

できれば、埋設部分をなくして、地上にあげるか、トレンチにして、直接、土とふれないような構造で配管を通すのが良いでしょう。しかし、配管を支持する構造物がなかったり、人の動線の問題で地上化できない場合で埋設せざるを得ない場合は、材質を波状ステンレス管にするか、エスロンハイパーや、HIVPなどの樹脂にするのが良いでしょう。

埋設給水管の費用については、配管の長さ、工事エリア、改修後の形状によってさまざまになるので、概算費用はなんともいえません。給水設備業者さんに見積もってもらい、長期修繕計画に入れておくと良いでしょう。

給湯用の銅管ですが、専有部の床下になります。私は管理組合の負担で一斉交換することを推奨しています。3大漏水リスクほどではないですが漏水リスクの可能性がある専有部の給水管(竪管が給水用塩ビライニング鋼管なら)、専有部も給水用塩ビライニング鋼管が使用されている)も、同時に更新するのが良いでしょう。

専有部の給水・給湯管を修繕積立金で一斉更新する手順、規約改正案もまとめています。

築古マンション専有部配管の一斉更新のための標準規約改正案

排水竪管については、専有部にあるのですが共用部扱いの工事となりますが、専有部工事になり居住者の負担は大きく大変です。

なお、排水配管の流れるものによって、漏水リスクは異なります。雑排水と汚水(トイレ)が二つに分類されます。

雑排水のうちキッチンの排水が流れている竪管の漏水リスクは、お風呂・洗面台・洗濯機の排水竪管よりリスクが高いです。

汚水(トイレ)は雑排水と建物内で合流しない単独配管タイプでは漏水リスクは低いです。汚水と雑排水が1本に合流して竪管になっている場合は、雑排水のリスクと同じレベルの漏水リスクになります。

続いて費用の概算について説明します。

専有部給水管・給湯管と排水竪管の更新費用概算

配管の漏水をふせぐために費用を見ておく必要があります。長期修繕計画の数字のチェック用に是非、使ってくださればと思います。

給水専有部の更新費用は表2になります。併せて、給水管のパイプスペースのメーターボックス周りの配管交換費用(共用部)と、給水管の竪管(共用部)もまとめておきます。

表2 専有部給水管の更新費用(一斉交換の場合)

専有部 給水管・給湯管70万円~/戸(原則専有部負担) (交換する配管は、架橋ポリエチレン管などチューブ)※1
メーターボックス周りの配管交換費用(共用部)5-7万円/戸(共用部)  
共用部 給水竪管25万円~/戸(※2)
※1)建物構造や更新(交換)後の配管ルートにより価格は大きく変わります ※2)交換作業中の仮配管工事も含めた価格

専有部の排水横引き配管は、塩ビや、耐火二層管(中身が塩ビ、外側モルタル)が使われており、施工が悪くなければ50年以上持つ場合もありますので、上記の交換費用に含めていないのでご注意ください。排水管白ガス管など鋼管が使用されている場合は、漏水リスクが高いので同時に交換したほうが良いです。専有部の給水・給湯管に加えて、排水管も更新するとなると、戸当たり100万円以上という事例もあります。

共用部給水竪管は、仮配管をすることを考慮した費用になり高めになります。断水して1日で工事を終わらせる小規模マンションではコストを抑えられる可能性もあります

排水管の竪管更新の工事費は表3となります。

表3 排水竪管の更新(一斉交換の場合)

 単価備考
排水管が室内にある 防火区画内にある場合25~30万円/1開口・1系統 で耐火VPなどへ変更内装工事比率3割程度 (仕上げによって費用も変わる)※1
排水管が外廊下に面した パイプスペースにある15~20万円/1開口・1系統 で耐火VPなどに変更内装工事はないため工事費は抑えられる。
※1)配管の材質や、建物構造により価格は大きく変わります ※2)但しパイプスペースで排水管の前に配管があって工事出来ない場合は高くなることあります 

排水管更新の費用は、図1,図2のような壁に埋まっている場合と、図3のメンテしやすいパイプスペースにある場合でかなり費用に差が出ます。図1,図2の場合は、内装工事の比率が大きくなります。排水管の種類も、さまざまあり、建物構造、配管材質によっても更新(交換)費用も異なりますのでご注意ください。

なお、上記の費用は、1開口あたりの値段なので、1部屋で別の場所に2本排水配管を更新する場合は、2倍の価格になります。

長期修繕計画に入れている配管工事は、排水竪管と給水竪管のみですが、漏水を起こす確率が高いのは、専有部の給湯銅管です。私は、共用部の給水竪管の直管部は交換時期を先延ばしして、先に専有部の給水・給湯配管を更新することを考えたほうが良いと考えています。

これらの数字をつかって、長期修繕計画を見直す際のヒントにしていただければ幸いです。給水排水配管については、更新費用が小さく見積もられている場合がありますので、注意が必要です。

まとめ

・配管の更新の視点で建物構造を考えると、地下にピットなし、排水竪管がパイプスペースにあるかで、3種類に分類されます。

・地下にピットがない排水配管埋められているマンションでは、通常塩ビが使われているため漏水リスクは大きくはありませんが、もし配管から漏水したら1階の床を掘り返す工事が発生した場合、被害は甚大で、500~600万円以かかったという事例もあります。

・漏水リスクの高い配管は、埋設された給水用塩ビライニング鋼管、給湯銅管、排水竪管の白ガス管と、専有部の給湯管です。

・給湯銅管は専有部ですが、漏水リスクは高く個人負担で更新(交換)するのも大変なので、給水管と併せて管理組合として一斉更新することも検討べきでしょう。

・排水管の交換は図1,図2のような壁に埋まっている場合と、図3のメンテしやすいパイプスペースにある場合でかなり費用に差が出ます。竣工図面をみて、配管の材質を調査してリスクを確認の上、マンションの建物の構造を確認して、妥当な数字が入っているかどうかを確認して、長期修繕計画で妥当な費用が見込まれているかを確認しましょう。

以上

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