賃貸用ワンルームマンションを購入したときに既に、管理会社による第三者管理者方式だった。購入時は選択の余地がなかったが、これまでの修繕積立金の値上げの経緯や、大規模修繕工事の価格などを考えると、理事会方式に戻すことは出来ないのか、など相談をうけます。

今日は、組合員による管理組合総会招集権をつかった第三者管理者方式のやめ方について考えて見たいと思います。

ワンルームマンションの第三者管理者方式の問題

都心部にあるワンルームマンションの多くは投資用の分譲賃貸マンションです。区分所有者は居住せずに、賃貸に出しているため管理組合が存在していてもほとんど顔を合わせる機会がなく、その多くが管理会社による第三者管理者方式が採用されています。

管理会社による第三者管理者方式については、こちらのブログを参照ください

マンション管理会社による第三者管理者方式の現状

投資用のワンルームマンションの多くは、居住組合員がほとんどいない上に、管理会社が第三者管理者として理事長を出しています。年に一度の総会はほとんど出席する組合員はおらずに、管理会社の社員が第三者管理者をつとめており総会議案はチェック機能が働かずに可決されてしまうという問題がおこっています。

新築から10年目くらいまでは、修繕積立金も低く抑えられていますが、1回目の大規模修繕工事後くらいから、20年目くらいまで段階的に値上げがされていき、投資用マンションのはずがいつの間にか、利益がでていない、逆ザヤになっているという悲劇も耳にします。

投資目的で購入したので仕方ないとあきらめて物件をやすく売却してしまった人もいる一方、私に相談してくださる方は、透明性を確保したいとご意見をくださる方もいれば、ワンルームに居住している組合員で不透明な管理会社と戦っている方もいます。

  • 大規模修繕工事、管理組合会社の提案は高いので管理組合主導ですすめたい
  • ポンプ交換など緊急性が高くない工事が総会で事後報告されているが、その必要性も含めて納得ができない
  • 修繕積立金の値上げは仕方がないと思うが、値上げの根拠が不透明で本当に管理会社に任せて良いのかわからない。

などのご意見を頂いています。

なかには、管理費、修繕積立金をボイコットしている区分所有者から相談を頂いたこともあります。

組合員が主導権を取り戻すには、第三者管理者方式をやめるように規約を変更したり、管理会社を変えるなどの方法がありますが、総会決議が必要であり簡単ではありません。

組合員による総会招集権

区分所有法では、集会(総会)の招集は、理事長が行うことになっています。議案も理事長がつくることになっていますが、組合員が招集する事もできます。

区分所有法(集会の招集)
第34条 集会は、管理者が招集する。
2 管理者は、少なくとも毎年一回集会を招集しなければならない。
3 区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。
4 前項の規定による請求がされた場合において、二週間以内にその請求の日から四週間以内の日を会日とする集会の招集の通知が発せられなかつたときは、その請求をした区分所有者は、集会を招集することができる
5 管理者がないときは、区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、集会を招集することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。

3にあるように、1/5の組合員が氏名を出して、会議の目的(総会の議案)をつくって管理者(理事長)に請求すれば、最短4週間で総会を招集できることになっています。

標準管理規約でも第44条に同じ記述があり、1/5以上の組合員が総会の議案をつくって、総会を招集して決議すれば第三者管理者方式をやめるように規約を変更したり、管理会社を変えることなども可能です。

図1 組合員による総会招集権

組合員へのアクセス権(最初の壁)

しかし、投資用分譲ワンルームマンションでは、区分所有者が居住しておらずにお互いに、どこに住んでいるかもわからないため、問題意識をもった組合員がいても、1/5の組合員の方を集めて、あるべき姿について議論する機会がとれないという問題があります。

第三者管理者である管理会社社員の理事長に、組合員名簿を提供してもらうべく依頼しても、個人情報保護を理由に拒絶されてしまったという話を聞きました。

管理規約を見せて頂くと、標準管理規約の64条が第三者管理者方式採用の管理会社がつくった管理規約からは削除されていました。

単棟型2021年6月改定 標準管理規約 (帳票類等の作成、保管)
第64条  理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳票類を作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。

この管理規約の64条は、国交省の標準管理規約ですが、区分所有法では組合員名簿へのアクセスが明示された条項がないため、この条項を削除しても法律違反ではないのです。

すべての第三者管理者方式採用の管理規約で削除されているわけではないと思いますが、個人情報保護を理由に、管理組合員がお互いに連絡を取ることが出来ない投資型分譲ワンルームマンションは多いと思われます。

管理規約で組合員名簿へのアクセス権が削除されている場合は、登記情報提供サービスを使うことで、1件あたり332円の費用がかかりますが各戸の登記情報を取得することで、区分所有者の氏名・住所を知ることが出来ます。

しかし、登記情報からは、電話番号はわかりませんでので、お手紙による連絡か直接訪問しかできないため、なかなか大変な作業です。また住所変更になっていても登記の書き換えをしていない場合もあり、連絡をとれない場合もあるようです。

議案を通せるか?(最大の壁)

仮に総会招集が出来ても議案を通せなくては意味がありません。最大の壁は議案を通すことです。二つの方法を考えました。

この方法は実績があるわけではありません。もしもっと良い方法があるという方や成功例がある方は是非、問い合わせからご連絡いただけるとありがたいです。

困っている投資用分譲ワンルームマンションの管理組合員ために是非、情報提供いただければと思います。

管理規約を変更せずに管理会社変更議案を提案する

管理規約を変更するには、3/4以上の組合員の賛成が必要で、ハードルは高くなります。しかし管理会社を変更するには、過半数の議決権で実現可能です。

第三者管理者方式をやめる、もしくは、第三者管理者方式継続しても組合員による理事会は復活させてチェック機能を働かせる方式が、標準管理規約の別紙に理事用外部専門家型として説明されています。

図2 第三者管理者方式 理事長外部専門家型

あらかじめ別の管理会社と相談して、将来、理事会方式に戻すか、理事会を復活させる「理事長外部専門家型」の第三者管理者方式採用する約束をして管理板城契約の提案をしてもらいましょう。

管理委託項目は変更しない提案をもらい、その条件で、1/5の組合員による総会を招集して、管理会社変更の議決をするという方法です。

どうしても提案してくれる管理会社が見つからない場合は、問い合わせからご相談ください。立地や建物の状況にもよりますが、お力になれるかもしれません。

この方法では、過半数の議決権で可決できます。しかし、現管理会社を信頼している組合員もいるので、現管理会社の何が問題なのか?新しい管理会社に変更することで、どんな改善が期待されるのか、を整理して連絡のとれる管理組合員に事前説明することが、成功のためには重要なポイントになります。

管理会社はかえずに管理規約の変更する

管理会社を変更せずに管理規約を変更することも考えられます。その場合は、3/4以上の組合員の賛成が必要となるためハードルは高くなります。

第三者管理者方式は継続するにしても理事会を復活させる案を提案したいと思います。自らも理事になる覚悟と、最低でも理事・監事をほかに1名ずつ、自分を含めて役員を3名確保する必要があります。

標準管理規約の39条 副理事長、40条理事、41条監事、51~53条理事会関係の条項を有効にして、現管理規約と整合性をとる案をつくることを提案したいと思います。

この方法では、管理会社も変更することなく、管理組合のチェック機能を高めて、理事監事もすでに選任されえいれば組合員も賛成しやすいと言えるでしょう。

しかし議決権行使書や、委任状を返してくれる組合員を、3/4以上確保するのは難しいことです。組合員への働きかけをすることが成功の鍵をにぎっていると言えるでしょう。

総会招集権を使うタイミング

図3 通常総会のタイミングで臨時総会を招集する

通常総会のタイミングで臨時総会を招集する案を提案します。

臨時総会を、理事長に請求してから4週間で臨時総会を招集することが出来ます。

通常総会は、会計期末から2か月後または、3か月後の週末の土日に開催されます。この日程に合わせて1/5の組合員による臨時総会の招集をすることで、通常総会との同日開催が可能になります。

通常総会との同時開催とすることで組合への連絡も、通常総会と同時に対応できるので管理会社に対応してもらえることから組合員も回答がしやすくなると考えました。

管理会社も通常総会をして管理委託契約を承認してもらう必要があるため、組合員の意見に耳を傾ける時期です。臨時総会をぶつけるには、ちょうど良い時期ではないでしょうか。

まとめ

  • ワンルーム投資型分譲マンションの管理会社による第三者管理者方式の管理は、修繕工事が高いこと、事後報告で予算がつかわれてしまうことなど不透明なことが多く問題が指摘されています。
  • 1/5の組合員が名前を出して、会議の目的(総会の議案)を明確にして管理者(理事長)に要求すると、最短4週間以内に総会収集をすることができます。
  • 管理組合員名簿へのアクセス権がない管理規約の場合は、登記情報提供サービスを利用することで登記情報を入手することで、組合員への氏名・住所を入手することが出来ます。
  • ワンルーム投資用マンションの管理会社による第三者管理者方式をやめる方法として、1/5組合員による総会招集権をつかって臨時総会決議することで、過半数の決議で管理会社を変更する案と、3/4以上の特別決議で理事会を復活させる管理規約に変更して理事会チェック機能を働かせる案を提案します。
  • 1/5組合員による臨時総会招集の最適な時期としては通常総会と同日に臨時総会を開催を要求する方法が考えられます。

以上

マンション修繕・管理問い合わせ

問い合わせはこちら
マンションの修繕、管理、情報が少なく、合意形成できず、なかなか進まない。
管理会社さんの提案通り進めて良いのか?
そんなときは、お気軽にお問い合わせください。

【問い合わせ無料】
電話の場合はこちら
080-5071-0255 マンション管理組合目線 神尾直志