標準管理規約を読むその1 理事長の仕事

マンション管理組合で理事になった方、または幸か不幸か理事長に選出された方、理事長って何をするの?ということについて、国交省が出しているマンション管理標準管理規約(単棟型)を解説しながら説明したいと思います。

マンションの管理規約を全部読むのは大変ですが、標準管理規約の38条(理事長)、48条(総会)あたりを読むと概略が理解できます。

ずばり一言でいうと、理事長の仕事は、総会で議決権行使書を含む出席組合員の過半数(特別決議は組合員総数および議決権総数の3/4)で決めたことを、総会で決め予算で、総会終了後の1年間で粛々と実行することと、翌年の総会で承認してもらう議案を1年間かけて検討することです。もちろん一人ではできないので、理事の力を借りて、管理会社と協議しながら進めることになります。

実際には、迷惑住民への対応や、管理費・修繕積立金の未納者への対応などクレーム対応もありますが、別の機会で説明したいと思います。

分譲マンションを購入した人は、購入した部屋のオーナーなりますが、守らないといけない法律が区分所有法です。区分所有法を、具体的なルールに落とし込んだものが、マンション管理規約です。このマンション管理規約のもととなっているものが国交省のマンション標準管理規約(単棟型)です。分譲マンションの管理規約は、国交省のマンション標準管理規約(単棟型)がベースになっています。

その1では、管理組合の仕事、とくに理事長の仕事を中心に解説したいと思います。

国交省のマンション標準管理規約(最終改正 平成29年8月29日 国住マ第33号)の第6章 管理組合は、第30条から第55条までで構成されます。

第6章 管理組合

  • 第1節 組合員 第30条(組合員の資格)、第31条(届け出義務)
  • 第2節 管理組合の業務 第32条(業務)、第33条(業務の委託等)、第34条(専門的知識を有する者の活用)
  • 第3節 役員 第35条(役員)、第36条(役員の任期)、第36条の2(役員の欠格条項)、第37条(役員の誠実義務等)、第37条の2(利益相反取引の禁止)、第38条(理事長)、第39条(副理事長)、第41条(監事)
  • 第4節 総会 第42条(総会)、第43条(招集手続)、第44条(組合員の総会収集権)、第45条(出席資格)、第46条(議決権)、第47条(総会の会議及び議事)、第48条(議決事項)、第49条(議事録の作成、保管等)、第50条(書面による決議)
  • 第5節 理事会 第51条(理事会)、第52条(招集)、第53条(理事会の会議及び議事)、第54条(議決事項)、第55条(専門委員会の設置)

から構成されます。

このうち、とくに重要ばポイントである第32条(業務)、第38条(理事長)と、第42条(総会)、第47条(総会の会議及び議事)を中心に解説します。また、理事長が陥りやすい勘違いについて、会社の仕事、自治体の仕事と比較しながら説明します。

以後、固くなりますが、管理組合の仕事、総会で決めること、理事長の仕事と説明していきます。

管理組合の仕事

管理組合とは何か、第32条を抜粋すると「建物並びにその敷地及び附属施設の管理」をするための組織がマンション管理組合であることがわかります。分譲マンションは通常各部屋ごとに購入したオーナーが所有しており、オーナーが住んでいるか、また、そのオーナーが賃借人に貸していることもあります。マンションの各部屋の所有することを区分所有、その部屋のオーナーは区分所有者と言います。区分所有者が管理組合員であり、通常部屋の大きさに差がない場合のマンションでは、1部屋あたり1票の議決権をもっています(正確には第10条により、専有部の面積によって共有部の持ち分も決まり、共有部の大きさによって第46条により、議決件数は異なる)。毎年、マンション管理組合で総会を行い、当該年度の実施する管理業務や修繕内容を決めて予算化した議案を、区分所有者による議決して決定します。

マンション各部屋は専有部といって、区分所有者の所有物ですので区分所有者が維持・管理します。専有部のキッチン、お風呂、トイレなどが壊れれば区分所有者が修理して、専有部の給水配管から水が漏れたら区分所有者の責任で修理します。一方、専有部以外の部分、例えば敷地や、エントランス、屋上、階段などの専有部以外の建物や、給水設備、排水設備、駐車場、エレベータなどの設備、これらを共用部分を管理するのが管理組合です。

具体的には第32条に書かれています。わかりやすい言葉でまとめます。

標準管理規約 第32条 管理組合の業務 (建替え、管理組合解散の業務については除く)
1.管理する敷地及び共用部分等の保安、保全、保守、清掃、消毒及びごみ処理などを実施すること
2.組合管理部分の修繕(基本的には専有部以外の敷地・建物)
3.長期修繕計画の作成・変更・管理
5.設計図書(建物竣工図面)の管理
6.修繕等の履歴情報の整理及び管理
7.共用部分の火災保険、地震保険その他の損害保険
8.区分所有者が管理する専用使用部分のうち、管理組合が行うことが適当であると認められる管理行為
9.敷地及び共用部分の変更、運営
10.修繕積立金の運用
11.公官署、町内会等との渉外業務
12.マンションと周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災ならびに居住環境の維持及び向上に関する業務
13.広報及び連絡業務
15.その他建物並びにその敷地及び付属施設の管理に関する業務

一言でまとめると、マンションの共用部分の維持・修繕業務全般と、その長期計画の作成と必要な修繕積立金の運用を行うという役割を持っていることになります。

一点注意点として、2016年3月の管理規約変更で、「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成」が削除されました。国交省のコメント(解説)を読みますと、「コミュニティ」という用語の概念のあいまいさから拡大解釈の懸念があり、とりわけ、管理組合と自治会、町内会等とを混同することにより、自治会的な活動への管理費の支出をめぐる意見対立やトラブル等が生じている実態がある、と指摘しています。つまりマンション管理組合は自治会活動ではないので、飲み会やレクリエーションに管理費を使うべきではないので、「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成」を削除したと理解できます。古い標準管理規約を使っている管理組合にはこの条文は残されているかもしれませんが、今の標準管理規約は削除されたと理解しておくと

区分所有者全員に必要な業務であり、区分所有者が負担すべき課題への対応するのが管理組合ということになります。

これらの業務を区分所有者だけで実務を行うのは難しいため、一般的には管理組合の業務にマンション管理会社に委託します。第33条には、業務を管理会社に委託できると記載があります。当然ながら、どんな管理会社に委託すべきか、どのように管理会社と付き合って管理組合を運営していくかが重要になってきます。管理会社は変更できることも頭にいれておくべきでしょう。

良いマンション管理会社の条件に書きましたが、分譲マンションのデベロッパーが決めた管理会社に管理委託しているマンションが73%だそうです。管理会社は管理組合の意思で変更することも可能です。

https://manshion.runkodaira.com/management-company/

具体的にはどのように管理組合の仕事をするかというと、区分所有者全員が意思を示すことができる総会で決めたことを実行することになります。

総会で決めるべきこと

第42条を見ると、「理事長は、通常総会を、毎年1回新会計年度開始以後2か月以内に招集しなければならない。」と記述があり、会計年度ごとに通常総会の開催が義務付けられています。そこで実施すべきことととして、その他必要な時はいつでも臨時総会を招集できるという記述もあります。議長は理事長が務めるとあり、これだけでも重い責任があります。

通常は、決議事項、出欠確認書、議決権行使書、委任状をセットにして2週間前に組合員に送付します。標準管理規約でも第43条で「少なくとも会議を開く2週間前までに会議の日時、場所および目的を示して組合員に通知」と記述されています。これは不意打ちをふせぐためです。組合員が検討する時間を与えるためです。

総会では何をするのでしょうか?第48条で定義されている議決事項をわかりやすい言葉でまとめました。

1.前期の収支報告と事業報告
2.今季の収支予算と事業計画
3.管理規約と細則の制定、変更、廃止
4.長期修繕計画の作成、変更
5.修繕積立金を、計画的、不慮の事故、その他特別の事由、敷地、共用部分の変更で実施するための修繕工事の積立金(または借入れ)の使用方法、金額、残額の確認
6.管理費、使用料(専有利用権のある部分、駐車場などの)、修繕積立金の金額の見直し、徴収方法
7.区分所有法の義務違反(管理費未払、迷惑行為など)の区分所有者への使用禁止、区分所有権の競売請求
8.建物の一部が滅失した場合の復旧
9.マンションの建替え決議
10.役員の選任および、解任、役員活動費の額、支払方法
11.管理委託先の管理会社との管理委託契約
12.その他重要事項

これらは、標準管理規約の第47条によれば、議決権行使書や委任状を含めて出席者の過半数で決議できます。ただし、3の管理規約の変更と、5のうち敷地及び共用部分等の変更を伴う工事、7の区分所有法の義務違反(管理費未払、迷惑行為など)の区分所有者への使用禁止、区分所有権の競売請求、8の建物の1/2以上の部分が滅失した場合の復旧は、組合員総数および議決権総数の3/4の賛成が必要です。なお、大規模修繕工事の実施は、敷地及び共用部分等の変更を伴わなければ出席者の過半数で決議できます。

敷地及び共用部分等の変更を伴う工事とは具体的には、例えば給水方式の変更、貯水槽方式から直結方式に変更する場合などが、当たります。管理規約の変更は、例えば、これまでは理事の選出のルールがなかったとして、輪番制にするなどの管理規約を変更する場合です。これらの変更では、組合員総数および議決権総数の3/4が必要になります。なお、管理費・修繕積立金の変更については、標準管理規約には添付されていませんが、マンションによっては管理規約に添付されている場合があります。議決権行使を含む出席者の過半数で決議したことに対して、議決権総数の3/4、特別決議が必要として裁判を起こした例がありますが、普通決議、議決権行使を含む出席者の過半数で決することができるという判決になっています。

平成14年11月5日 神戸地方裁判所 平成14年(レ)第90号管理費等請求控訴事件

話がそれましたが、通常総会で何を行うかを一枚にまとめると以下のようになります。

図1.マンション管理組合通常総会で決めるべきこと

マンションの管理組合の会計期は1年単位です。管理会社との管理委託契約や、共用部分の保険の契約期間も1年単位ですが、時期がずれています。これは、通常総会で管理会社の変更も、共用部分の保険も決議できるようするためです。

先に触れた管理費・修繕積立金不足のマンションでは、値上げの決議する必要もあります。消費税が値上がりに伴って、支払いは増えるので上げる必要もありますし、管理会社が最低賃金の値上がりから人件費高騰について管理費の値上げを要求してくる場合もあります。マンションの共有部の保険も近年、異常気象による災害が増えていることから値上がり傾向にあるため値上がり傾向にあります管理費を支払っている項目、清掃回数や、年間に実施する設備点検の回数など調整して下げられば良いですが、そうならない場合は、管理費の値上げなどを決議する必要があります。

修繕積立金については、もっと深刻な場合があります。修繕積立金が安すぎるマンション、専有部平米あたり約200円が妥当なところですが、100円以下のマンションもあります。大規模修繕工事が出来なくなる事態も想定されますので、値上げを議題にする必要があります。

1年で実施すべき修繕工事などは、事前に理事会で協議して仕様について合意をとり、工事業者から見積もりを取って、業者選定まで実施して見積書を添付して決議するべきです。管理会社に手伝ってもらえるのですが、管理会社が間に入って高くなっている場合は、管理組合で工事業者から見積もりを取ることが必要になる場合もあります。とくに大規模修繕工事については、修繕積立金の大部分を使用して行う工事なので外部の大規模修繕工事会社に直接見積もりをとることをお勧めします。

大規模修繕工事、管理会社にお任せして実施することが最良と言えるか、よく考える必要があります。参考にしてください。

マンション管理会社とうまくつき合い大規模修繕工事を適正価格で実施する

そのほか、役員の選定なども総会で毎年決議しますが、なかなか決められずに固定化してしまいますが、不平等であることと、長年同じ人が理事長、理事を務めるのは不正の温床となるため、輪番制などに変更すべきでしょう。輪番制にするかしないかは別としても、総会の議案には、役員(幹事と理事)を決めて議決して決めることになっています。なお35条に記載がありますが、理事長は、専任された理事の中から選任されることになっています。

理事の選出方法は、標準管理規約にはありません。下記のブログで理事のなりて不足を解消して、かつ、理事が暴走しないような管理規約の改定方法をまとめています。

標準管理規約を読むその4、暴走理事長を生まない役員規約

これらの課題を管理会社の協力のもと、1年間かけて、理事会で管理組合としての案をまとめるのが理事長の仕事になります。

理事長の仕事

理事会で実施することは、第54条に記載がありますが、この総会で決議された内容を管理規約・細則を順守して1年かけて実行して、翌年の通常総会に上程する案をまとめるのが理事会の基本業務です。そのほか、管理費・修繕積立金の滞納者への対応、専有部分で共有部分と関連する工事の許可、災害などで応急的な修繕工事、その実施に必要であれば資金借入れ、修繕積立金の使用の決議などを行うことも出来ます。

第54条(理事会の議決事項)  理事会は、この規約に別に定めるもののほか、次の各号に掲げる事項を決議する。
 一  収支決算案、事業報告案、収支予算案及び事業計画案
 二  規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止に関する案
 三  長期修繕計画の作成又は変更に関する案
 四  その他の総会提出議案
 五  第17条(専有部分の修繕)、第21条(敷地及び共用部分の管理)及び第22条(窓ガラス等の改良)に定める承認又は不承認
 六  第58条第3項(予算期末から総会までの間の経費の承認)に定める承認又は不承認
 七  第60条第4項に定める未納の管理費等及び使用料の請求に関する訴訟その他法的措置の追行
 八  第67条(理事長の勧告及び指示、管理規約・仕様細則違反者への勧告及び指示)に定める勧告又は指示等
 九  総会から付託された事項
 十  災害等により総会の開催が困難である場合における応急的な修繕工事の実施等
 2  第48条の規定にかかわらず、理事会は、前項第十号の決議をした場合においては、当該決議に係る応急的な修繕工事の実施に充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩しについて決議することができる。 

理事長の仕事は、第38条に以下の記載がありますが、理事会を開催して、上述の理事会の業務を統括すして遂行することになります。

第38条(理事長)  理事長は、管理組合を代表し、その業務を統括するほか、次の各号に掲げる業務を遂行する。
 一  規約、使用細則等又は総会若しくは理事会の決議により、理事長の職務として定められた事項

理事長の仕事をまとめると、総会で出席組合員の多数決(特別決議は組合員総数の3/4)で決めたこと、およびその予算で、総会終了後の1年間で粛々と決めたことを実行することと、翌年の総会で承認してもらう議案を1年間かけて検討することです。

総会で議決したことを実施する義務は管理規約に明確に書かれているかというと不明確ですが、第48条 議決事項の二に「今季の収支予算と事業計画」があり、第54条の一に、「収支決算案、事業報告案」とあります。普通に読めば、総会で決議したことを事業年度で実行して、翌年の総会で収支決算、事業報告するという流れになります。しかし標準管理規約には、明確に総会で決議したことを事業年度に実施するべきとは記載がありません。その理由はわかりません。しかし、管理規約の上位にある区分所有法に明確に書いてあります。

第26条  (権限)
1.管理者は、共用部分並びに第21条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設(次項及び第47条第6項において「共用部分等」という。)を保存し、集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う。

区分所有法の管理者は、標準管理規約の第38条(理事長)の2に「理事長は、区分所有者の管理者」とするとあり、第42条(総会)の2には、総会は、「通常総会及び臨時総会とし、区分所有法に定める集会とする」とあるので、区分所有法の26項(権限)に従い、「管理者=理事長は集会=総会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う」ことになります。

第37条に、必要経費の支払いと報酬を受けることができるとされています。管理規約や細則に報酬を明記して、決議すれればいくばくかの報酬はもらえますが、通常微々たるもので、ほぼボランティアで行われると考えるべきです

理事長は面倒なだけで何も良いことがないではないかのように思われるかもしれませんが、もし戸建て住宅をお持ちでお住まいならば、建物・敷地の維持に関することはすべて自分で決めています。例えば、家の塗装工事をやるときは、1社の見積もりだけではなく、複数の業者に声をかけて見積もりをとり説明を聞いて決定していると思います。そう考えると、マンションの理事長は順番で回ってくるのが通常ですが、毎年やらないといけないわけではないので、戸建ての持ち家よりは負担は大きいですが、期間が短いと考えれば大きな差はありません。自分の住居を自分で維持管理して守っていく役割を交替で担うということです。

理事長の業務と責任はとても大きいです。もちろん、実務を一人で行うわけではなくて、管理会社に多くの業務を委託して主に判断だけをすれば良いのですが、すべて管理会社任せにできるかとというとそうではありません。

管理会社まかせにしないで、自ら調査したり第三者の力を借りて管理会社を動かす、あるいは管理会社を変えるなどによって軌道修正する必要があります。軌道修正するにしても、費用がかかる場合は、その必要性を訴えて、かかる費用を総会で議決しないといけないので簡単ではないですが、まずい点があれば放置せず、未来につけをまわさないことが理事長の責務です。

会社、管理組合、自治体の仕事の比較

理事長になった場合は、理事長の立場をよく理解しておいた方がよいです。理事長が理事会の決議を得て決められるのは、突発的な事故やトラブルに対応すための修繕工事のうち一般会計で予算取りした管理費内の小修繕費の使い道や、お茶代と場所代のための役員活動費くらいなもので、大きな決定権や裁量があるわけではありません。つまり理事長の判断で使える予算はないに等しいと考えるべきです。

ところが組織上は、管理組合の代表者になっており修繕工事の発注の契約書などの名義は自分の名前で行わないといけません。これはとても重い仕事です。しかし、そのタイミングで理事長になったらやらなければいけません。ですから、なるべく通常総会で情報を開示して組合員から承認を取っておくことが大事です。それが理事長としての自分の背負うリスクを減らすことになります。

管理組合の仕事を、会社組織と、自治体の運営と比較しました。

図2.会社組織、管理組合組織、自治体の組織

会社組織と、管理組合は、意思決定の矢印が異なります。社長の指示から役員会で判断して、顧客(市場)と向き合って、商品・サービスを提供して対価を得るのが、ビジネスである会社組織です。顧客から対価をいただき、会社を回しています。管理組合は、管理会社に委託処理を払い、仕事をしてもらっています。管理会社は理事長の方を向いておりあれこれ提案されるので、ついついえらくなった気持ちになりがちですが、あくまでも決定するのは総会、総会で決定したことを1年かけて実施するのが理事会であり、理事長であるという認識を持って、理事、組合員と接しないといけません。

組合員に、管理組合として実施すべきことを丁寧にご説明してリスクがあればそのリスクも共有して、理解を得ながらすすめていくということが大事です。

管理組合の運営は、自治体の運営に似ています。管理費が市民税、修繕積立金が固定資産税や都市計画税で、予算編成するのは市町村長(行政)で理事長、1年間の予算を承認するのは市民が選んだ市町村議会で理事会。前年度の決算を認定するのも市町村議会と近いといえます。

選挙という形で、市町村長や市町村議が選ばれて、主権在民の原則から考えると決定権があるのは市町村民というのが建前になっています。マンション管理も同様で、総会で選ばれた理事が、管理組合員の要望を吸い上げて、必要な管理や修繕のための予算をつくって、総会で組合員に承認されて1年かけて執行するということになります。

市町村長も理事長のどちらも暴走して好き勝手する例はよくあることです。歯止めとなる市町村議のチェックであるのに対して、理事長が暴走しないように意見していくのが理事、不正をおこさないような監視するのが監事の役割です。

市町村長は、十分な報酬を得て行うのに対して、マンション管理組合の理事長は、無償もしくは小遣いにもならない程度の報酬と大きな差がありますが、理事長に選ばれても、貧乏くじを引いたと考えるのはよくありません。理事長の仕事をまじめに行って、将来にわたって自らのマンションの状態を維持していくと考えるべきです。

今後は人口減少が加速するため、国内に建てられた分譲マンションの部屋があまっていきます。分譲マンションの中古市場価値は、立地や築年数がもちろん重要ですが、マンションの維持管理の質も問われるようになります。将来にわたって修繕計画を実施できる見通しが立てられる長期修繕計画とそれに見合う修繕積立金が積みあがっているか、適正な修繕工事がされているか、その価値も問われるようになります。

マンション管理適正化法は2020年6月24日に改正されて自治体がマンションの管理に指導助言できるようになりました。国も今後のマンションの維持管理を重要視している証拠です。長い将来にわたってマンションの資産価値を維持していくことが中古市場でも選ばれる基準となっていき、空室が増えて、管理費・修繕積立金の未払いの問題を起こさないマンションとしてその価値を維持できるようになるでしょう。

まとめ

  • マンション管理組合の仕事は、分譲マンションの建物並びにその敷地及び附属施設の管理することです。
  • 標準管理規約ではマンション管理組合は、1年に一度会計期末から2か月以内に通常総会の開催が義務付けられており、この1年の会計・事業報告の確認と、今季1年の活動と通常管理、修繕工事などの予算を、総会で議決します。
  • 理事会は、理事長を中心に、この総会で、議決された活動と予算に従って1年間の活動を行います。

以上