マンション管理組合が、直接工事会社に発注するとリスクはあるのか?

管理組合の総会で、大きな修繕工事を専門工事会社に、組合から直接発注する議案をあげると、

価格が高くても管理会社に発注してもらいたい、アフター点検も安心

管理会社を経由して発注できないか、何かあったとき管理会社から工事会社にクレームしてもらえる

などの意見が出されます。

本当に管理会社経由で発注する意味はありますか?

その必要はありません。

そもそも、選考プロセスに管理会社が関与していない場合は、管理会社は間に入ることは嫌がります。

つまり工事会社に管理会社を選ぶか、別途工事会社を選ぶかの2択になります。

築古マンションの管理組合は、今後発生するエレベータ、給排水設備更新工事、機械式駐車場などの工事に備えて修繕積立金の取り崩しを最小にするように努力しましょう。価格にシビアになったほうが良いです。

以下、理由を整理します。

修繕工事の品質やコストについて

管理会社が元請けをする会社の場合、修繕工事を多数実施しており経験豊富な会社も多く、工事も熱心に提案してくれますが、価格は高いです。

管理会社と同じ仕様書で大規模修繕工事専門工事会社に見積もり依頼すると20%価格は下がります。

予算に余裕が出れば、仕上の材料品質を上げたり、廊下・階段をすべりにくくする長尺シートを貼ったり、郵便ポストを交換するなど、+αの工事も検討できます。つまり、専門工事会社に依頼することでコストを下げて品質を上げられるのです。

SNS時代でいい加減な工事会社は淘汰

インターネット・SNS情報発信時代ですから、いい加減な工事をして、事故をおこして放置したら、悪い評判はあっという間に広がってしまいます。そんな時代ですから、ひどい工事会社がゼロとは言えませんが、かなり淘汰されています。

但し、工事会社規模と依頼内容にミスマッチがあるトラブる可能性はあります。

依頼する工事規模に対して、工事会社の資本金、売上規模、従業員数、実績などには条件を設定して工事会社を選びましょう。

修繕工事選定条件については、こちらをどうぞ

中小マンションの大規模修繕工事の業者選定条件について

保証期間とアフター点検

保証内容について不備があれば、工事会社に言えば良いのです。

大規模修繕工事会社が、管理会社と同じ仕様で保証期間を短くすることはまずありません。

アフター点検も管理会社より長く設定してくれる会社は多いです。

12年後以降、次の大規模修繕工事を取りたいため、屋上防水点検で10年後の理事長にあいさつが出来れば、そのまま営業できますから。

民法改正に伴う民間(七会)連合協定工事請負約款の変更についても深く書いた記事ですが工事別の保証期間の例についてまとめています。

2020年4月改正民法による大規模修繕工事の工事請負契約書への影響

修繕工事後に、管理組合がやるべきこと

管理組合としてすべきことは、完成図書を残して管理組合の書庫で、管理規約や総会議事録とともに、将来の理事が閲覧できるようにしておくことです。

大規模修繕工事では、完成図書にしっかり工事写真を残すこと、実数清算の数や追加工事なども、見積明細書に反映して12年後以降の工事で検討材料にしましょう。工事会社に完成図書のPDF化を依頼して、工事仕様書はワード、見積明細書はエクセルで提出してもらえると引き継げます

給排水工事であれば、設備平面図や設備系統図に修繕履歴を残しておくことです。築古マンションでは紙しか図面は残っていないと思われますが、工事会社にコピーに赤字をいれてもらうと良いでしょう。

さらに修繕履歴を残しておくことです。支払いは管理会社がやるので、管理会社は金額、発注先を知っていますので、管理会社に1年に1回エクセルで更新依頼すれば良いでしょう。

たとえ、これまで履歴を残っていなくても今期からでも工事履歴は残すべきです。

マンション標準管理委託契約書の第14条に、所有する専有部分の売却の依頼を受けたマンション管理会社が、宅地建物取引業者に開示する情報が別表5の7項共用部の修繕実施状況(工事概要と時期)にあげられています。

2018年10月の総務省統計によれば、日本の総住宅数は6,240万世帯で、総世帯数5,400万を上回り空家率は13.6%となっています。毎年空家率は上昇しています。

古くても選ばれる資産価値の高いマンションの条件の一つに、工事履歴が残っていることも重要になっていくでしょう。

以上

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