マンション大規模修繕工事、設計書作成とチェックポイント、その2

マンションは、共同住宅で区分所有者(各戸オーナー)のみなさんの財産です。限られた時間の中で、ボランティアの範囲で活動されている管理組合が最小限の努力で、大規模修繕工事を成功させるためには、設計書(工事仕様書、設計明細書)がとても重要です。

設計書(工事仕様書、設計明細書)があれば、マンション管理組合が直接、大規模修繕工事の会社に見積もりを依頼出来ます。最低2社、出来れば5-6社に声をかければ、競争の原理が働き、適正価格での提案を得ることが出来て、大規模修繕工事費を20%下げる可能性もあります。

「マンション大規模修繕工事、設計書作成とチェックポイント、その1」では、設計書をつくる準備段階の建物劣化診断調査、住民アンケートから工事範囲の決定までのやるべきことについて説明しました。大規模修繕工事の前年に、建物劣化診断、設計書作成、業者選定協力をできるように予算を前々年の通常総会で予算を確保して、工事範囲を決定するという説明しをしました。

設計書には、工事仕様書設計明細項目があります。設計書は、管理会社に依頼できるなら管理会社あるいは、設計コンサルタントに依頼してつくってもらいます。

詳しく中身を理解する必要はありませんが、管理組合が大規模修繕工事会社から直接見積もりをお願いするときに、質疑に応答できる程度には理解しておいた方が良いです。

「マンション大規模修繕工事、設計書作成とチェックポイント、その2」では、管理組合が大規模修繕工事会社から直接見積もりをとるために必要な理解をするために中身がどのようなものか、チェックするポイントなどを説明します。

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工事仕様書について

図1.工事仕様書の表紙と目次

工事仕様書には、工事をどのような施工すべきかを記載したものです。項目としては、図4の右側の記載の内容になります。

設計者がつくるべきもので専門的な内容も含まれますが、大規模修繕工事会社に見積もり依頼するときに、管理組合も簡単な質問であれば、ある程度こたえられるようにした方がよいです。

1.工事概要

どのような大規模修繕工事なのか概要を理解してもらうために書きます。見積もり依頼をする際も、工事概要についてはは最初にお渡しして、見てもらって提案できるかどうか判断してもらってから、提案してくださる会社にだけ設計書を渡して見積もり依頼すると無駄がなく進められます。

  • 物件概要:大規模修繕工事を実施する建物の住所、竣工年、戸数、階数、建物面積、延べ床面積など
  • 工事概要:仮設工事、外壁下地工事、シーリング工事、外壁工事、鉄部塗装工事、屋上・ベランダ・バルコニー防水、その他、など今回実施する工事の概要
  • 工期(限定しすぎると、提案してくれる会社が限定されるので、大規模修繕工事を実施決議する通常総会の翌月からその期末までに設定するのが良い)
  • 支払い条件(例:着手金契約後20日以内、検収月末締め翌月末現金、50%ずつなど、通常2回か3回に分けます。)

2.総則

  • 住民や近隣に対する周知や安全対策について(住民説明会、住民への連絡、相談などやりとりも業務に含まれていること)
  • 工事中の平日、土日、祝日の作業日と、作業時間、8:00AMから17:00までとするなどの規定
  • 工事期間中の防犯対策、整理整頓、風紀など注意事項
  • 事故、災害時の労災保険、第三者賠償保険に入っていることの確認
  • 工事作業員の服装の統一することの確認
  • 新型コロナウイルス対策、工事作業員の検温の実施など
  • 仕様材料の色見本の提出と管理組合への確認など
  • 各戸専有部のベランダ・バルコニーの不用品の廃棄処理を実施すること
  • 工事の確認や仕様詳細の決定(塗装色)などをもとめる管理組合との定期的な打ち合わせの実施

最近の大規模修繕工事会社の常識となっていることで、工事項目として見積もらない内容を記載するようになっています。第三者賠償保険など2億円以上など細かく規定する場合もありますが、あまり細かく規定すると、募集できる工事会社も限定される場合もありますので、不要かもしれません。

3.提出図書一覧

  • 工事請負契約書(契約時)
  • 工事工程表(提案時)
  • 現場代理人ほか、工事管理体制組織図(契約後、すみやかに)
  • 工事別、協力業者一覧(契約後、すみやかに)
  • 工事別、工事メーカーと材料リスト(契約後、すみやかに)
  • 仮設計画書(契約後、すみやかに)
  • 官庁届出書類コピー(契約後、すみやかに)
  • 工事完了引渡書と保証書(検収時、材料メーカー・工事会社・施工業者3社共同)
  • 工事写真、竣工写真(検収時、主要部分を工事前、工事中、工事後で同一か所で撮影)
  • アフター点検項目と日程表
  • 工事仕様書(変更があった場合)、見積もり明細書(実数清算や追加工事分を反映したもの、エクセルで要求)

ドキュメントは、電子データ(PDF)と、紙での提供1部or2部など決めておいた方が良いです。

4.項目別保証内容

下記のように工事内容別に保証期間を指定します。例としてあげたものです。工法や仕様が異なれば保証期間も変わります。

保証内容 保証年数
屋上、ルーフバルコニーウレタン塗膜防水(専有部の雨漏りにつながる防水、使用する材料によっては3-5年に一度のトップコートが条件とされる場合もある) 10年
階段、バルコニーウレタン塗膜防水(漏水) 5年
シーリング工事(漏水) 5年
下地補修工事(漏水) 5年
タイル補修工事(浮きの再発生) 5年
外壁・内壁塗装工事 (著しい変色、剥離) 5年
天井塗装工事 (著しい変色、剥離) 3年
鉄部塗装工事(著しい変色、発錆、剥離) 2年

 

5.アフター点検サービス

引き渡し後 1年、2年、5年など指定します。

大規模修繕工事会社によっては、10年後のアフター点検も提案してくれます。大規模修繕工事会社は一度受注した案件は、おおむね12年後の次の修繕工事も受注したいので、お客様である管理組合との関係を維持するために快く対応してくれます。新築物件との違いです。2020年4月の民法改正に伴う大規模修繕工事の契約書についての注意点は以下のブログを参照ください。

2020年4月の民法改正の瑕疵担保責任から契約不適合責任変更に伴う、民間(七会)連合協定工事マンション請負契約約款の変更へのマンションだ規模修繕工事の請負契約書の注意点についてまとめています。

2020年4月改正民法による大規模修繕工事の工事請負契約書への影響

6.安全対策

居住者に対する安全対策、作業員への安全対策、環境対策、防災対策、防犯対策などの大規模修繕工事会社が対策すべきことについての対策を含めることと、提案に含めることを記載します。

7.工事内容仕様書

工事内容の仕様書は例としてご覧ください。工法を詳しく指定したり、注意事項などを詳しく記載する仕様書もあります。使ってよい会社の材料指定をする場合もあります。設計者にお任せして良い内容ですがある程度理解しておいた方が良いです。見積もりを依頼する大規模修繕工事の会社もおかしいと思えば質問してきたり、この会社のものを使いたいと言ってきますので、その場合、工事仕様書を作った設計者に問い合わせして確認すれば良いです。

最終的には提出図書一覧で使用する材料については提出してもらいます。工事内容によって施工後に5年、10年の保証書は、材料メーカー、大規模修繕工事会社、実際に工事をする下請けの会社の3社が捺印して保証するものもあり、材料メーカーの材料の指定だけではなく、工法までメーカーの指定になります。

7.1 仮設工事

大規模修繕工事をするために必要は事務所、施設の準備にかかる費用です。管理組合に直接的なメリットがある工事ではありません。大規模修繕工事に必要であるため依頼する内容になります。足場など仮設工事にお金をかけるので、足場があるときに実施できることはまとめて実施した方が良いと考えられています。共通仮設・直接仮設と分けられます。共通仮設が、事務所、資材・廃材置き場、シンク、トイレなどで、直接仮設が足場の事です。

  • 水、電気の使用のうちマンションから供給できるものは無償とすること
  • 現場事務所、資材置き場、廃材置き場、シンク、トイレ、工事用掲示板などの配置計画を含む仮設計画書の作成と管理組合への説明
  • 危険物取扱について法規にしたがうこと
  • 建物に損傷を与えないように養生をして、万一損傷を与えた場合は修理すること
  • 足場はメッシュシートでの飛散防止養生を行うこと、関係者以外の侵入を防ぐ防犯対策の実施

足場の種類や規模によって、記載の内容は代わります。

 

7.2 下地補修工事

壁、廊下、階段の天井などのコンクリート面の補修についてです。

  • Uカット工法(幅0.5mm以上のクラック、Uカット、清掃、プライマー塗、シーリング材接着、モルタル補修、塗装)
  • セメントフィラーによる補修(幅0.5mm以下のクラック、モルタル塗り埋め補修、塗装)
  • 低圧エポキシ樹脂注入工法(モルタル浮きが見られる箇所の補修、5穴/mで穴をあけSUSピンからエポキシ注入して補修、塗装)
  • 塗装面爆裂部補修(打診テストでモルタルが剥離して鉄筋が見えている部分の補修、斫り、防錆剤塗、樹脂モルタルで補修、塗装)
  • 塗装面塗膜補修、欠損部補修(表面のモルタル剥離、モルタル塗り埋め補修、塗装)
  • 補修後の水洗浄およびエアブローについて120~150kg/cm2での高圧水洗浄

7.3 塗装工事

  • 作業中の環境条件、気温5℃以下、湿度85%以上の場合、風速10m/sを超える場合や砂塵が著しい場合は、作業禁止するなど注意事項
  • 塗装面の素地拵え(そじこしらえ)の仕様:塗装面を清掃、平滑にする手順など
  • 外壁塗装:工法、使用材料、下塗り、中塗り、上塗りの3回塗りとその工事間隔、それぞれの材質、所要量、使用する用具などの指定
  • 天井塗装:工法、使用材料、下地調整、下塗り、上塗りの2回丹塗りとその工事間隔、それぞれの材質、所要量、使用する用具などの指定
  • 鉄部塗装:工法、使用材料、下地調整、下塗り、上塗りの2回丹塗りとその工事間隔、それぞれの材質、所要量、使用する用具などの指定
  • 塩ビ系塗装:工法、使用材料、下地調整、下塗り、上塗りの2回丹塗りとその工事間隔、それぞれの材質、所要量、使用する用具などの指定

メーカー指定する場合は、日本ペイント、関西ペイント、エスケー化研などが指定されます。

7.4 タイル補修

  • タイル浮き補修(エポキシ樹脂工法:打診テストでタイルが破損せずに浮いている場合の仕様、モルタル目地に穴をあけてエポキシを注入する、穴の間隔や1回の注入量や注入圧力などを規定)
  • タイル張替(ヒビが入ったタイルについて、モルタル目地をカッターで切り込みをいれて斫(はつ)って、面を洗浄してプライマーを塗りモルタルをもりタイルを張り合わせる手順などを規定)
  • 補修後の洗浄について

7.5 シーリング打替工事

建築物の部材と部材の接続部分をシーリング工事の仕様です。

  • 既存シリコンの撤去、溶剤による清掃、養生テープ、プライマー塗布、シーリング材充填、ヘラ仕上げ、養生テープ撤去の手順の仕様
  • サッシ廻り、躯体(建て目地)、金物廻り(排気フードなど)などのシーリング対象ごとの工法
  • 材料:変性シリコン

メーカー指定する場合は、コニシ、日本シーカなどが指定されます。

7.6 屋上・ルーフバルコニー・バルコニーほか防水(下が住居で10年保証部分)

屋上防水の仕様としては、シート防水、アスファルトシート防水、ウレタン塗膜防水などがあります。ウレタン塗膜防水を例としています。ウレタン防水も、さらに通気緩衝AV工法、密着工法(補強のためのメッシュあり、なし)などさまざまの工法があります。

  • 亀裂・浮き・剥がれの補修、凹凸部の処理、亀裂が0.3mm以上だとVカット補修、はがれ箇所はモルタル補修
  • 平場・笠木と立ち上がり部での工法と、立ち上がり部で工法を指定
  • 工法:メーカーが指定している工法がそのまま記載されます。プライマー、ウレタン防水材、メッシュ、ウレタン防水材x2、保護塗料(トップコート)などがメーカー指定の工法が仕様として記載されます(密着工法の場合ですと、ダイフレックスの場合DSOR-300Mゼロ工法など、田島ルーフィングですとOATM-3Aなど、サラセーヌですとSD-EZ30TJフッ素など)

ウレタン塗膜防水ですとメーカー指定は、ダイフレックス、田島ルーフィング、AGCポリマー(サラセーヌ)の3社になります。

7.7 小庇(こひさし)、階段側溝、バルコニー防水(5年保証部分)

屋上・ルーフバルコニー防水と同様にメーカー、工法まで指定されますが、ウレタン防水であれば補強のメッシュを入れない工法などが指定されます。

上記が工事仕様書の概要の説明になります。詳しく工法や材質を理解する必要はありませんが、仕様書があがってきたら、マンションの共有部、屋上、階段、廊下、専有部の周りのサッシ、ドア、壁、排気フードのシーリング、壁の補修などが、入っているかどうかをイメージしながら見ておくと良いと思います。

工事仕様書は、他の類似のマンションの仕様書からコピペして設計者が作ります。そのため、ご自身のマンションには含まれない工事が含まれたり、異なる記述があったり、矛盾する記述があったりする場合もときにはありますので、遠慮なく設計者に質問して確認しましょう。

設計明細項目

図2.設計明細項目

 

設計明細項目は、いろいろな呼び方がされます。設計明細書とか工事明細書とかです。見積書の単価と金額を抜いたものだと理解すれば良いです。見積もり作業をするうえで、エクセルシートで渡した方が、作業しやすいので、必ず設計者にはエクセルでの提供を要求しましょう。

最初のページには、各項目の集計と、税抜き総額、消費税、税込み総額が記載されます。各集計別の項目を見る際の注意点を見ていきます。

A.共通仮設

共通仮設とは足場以外に工事作業を進めるにあたって必要な項目の見積もりになります。

  • 現場事務所兼作業員詰所、同事務所の備品、通信費(携帯電話、WiFiなど)、トイレ、工事用電気設備、工事用給排水設備(シンク)、資材置き場(囲い)、廃材置き場(囲い)、廃材処理代、共通養生費、清掃費、官庁申請費、駐車場代、防護管設置費(電力会社に委託して足場に近い送電線にカバーをつける費用)

などが含まれます。単位は1式が多いですが、10mx10mなど指定があるものもあります。共通仮設には場所代が占める割合が大きいです。見積もり依頼をするときに、管理組合でもマンション近所に空地などを借りられるのであれば、場所を確保するとコストが削減できます。防護管設置費などは、忘れがちなので注意しましょう。東京電力は2011年の東北大震災の原発事故以後、経営が苦しくなり有料になったようです。2011年3月以前の大規模修繕の設計明細にはなかったものです。

また、マンションに共用トイレがある場合は、仮設トイレは不要になります。細かいところですが見積もり項目に入っていたら削除してもらわないと無駄な費用が発生してしまいます。

 

B.直接仮設

足場代です。10階建て以下のマンションだと足場を組むのが通常のようです。それ以上の階数のマンションでは、ゴンドラなど別の方法を使う場合が多いです。大規模修繕工事では、間接仮設、直接仮設が占める割合が大きいです。仮設工事で大きな投資をするので、足場を使って改修できる項目はすべて実施する工事は含めるべきということになります。逆にいうと足場がなくても出来る工事は、雨漏りなど深刻な事態になっていなければ先送りしても問題ないわけです。

  • 足場組立・解体費(単位m2)、階段用足場・解体費(単位m2)、飛散防止養生(単位m2)、階段(〇箇所)、屋上渡り(〇箇所)、落下防止網(養生)(単位m)などが、足場そのもの明細です。
  • 安全対策人件費(ガードマン費用 単位〇〇人日など)、安全対策機材レンタル費(カラーコーン、看板などのレンタル費)
  • 防犯対策(LEDライト、足場入り口の鍵など)
  • 脚立、場内運搬費、資材運搬費(単位一式となっており、予備費的な要素もあり価格交渉できる項目)

大規模修繕工事(仮設) 見積書チェックポイント、その1

 

C.外壁下地補修、タイル面補修工事

外壁補修、ひび割れやモルタル浮き、タイル補修、交換などは実数清算と言って、実際に実施した修理の長さや面積やタイルの枚数を最後にカウントして単価をかけて清算します。設計明細項目作成時は、面積や長さを竣工図、現場での実測で計測して、そのうちの何%が修理すべきかを、築年数や見た目で判断して2%とか、8%とか項目別に設定して〇m、〇m2として設計明細項目に入れます。したがって見積金額と精算時の支払金額は異なります。

  • 下地補修調査費(外壁を全面打診および目視による見積もり、単位〇〇人日)
  • 外壁塗装面ひび割れ補修(工事仕様書記載のUカット工法、単位〇m)、外壁塗装面ひび割れ補修(工事仕様書記載のセメントフィラー工法、単位〇m)
  • 外壁塗装面モルタル浮き補修(工事仕様書記載の低圧エポキシ樹脂注入工法、単位〇〇〇穴)
  • 塗装面塗膜補修、欠損部補修(工事仕様書記載の塗装面塗膜補修、欠損部補修 単位〇〇m2)
  • 塗装面爆裂部補修(工事仕様書記載の塗装面爆裂部補修、〇箇所)
  • タイル撤去(工事仕様書記載のタイル張替、斫り撤去、単位〇〇〇〇枚)、タイル浮き補修(工事仕様書記載のエポキシ樹脂工法、単位〇〇〇穴)、タイル張替(工事仕様書記載のタイル張替、単位〇〇〇〇枚)、タイル目地欠損部補修(〇〇箇所)
  • 高圧洗浄(工事仕様書記載の塗装後の水洗浄、エアブロー 単位〇〇m2)

打診テストに代わって最近では、サーモグラフィをつけたドローンによる点検も話題になっていますが、足場がない段階での調査であり、建物劣化診断調査などで使われ、タイル浮が何%くらいあるかを見つけるために実施される使われ方であり、本工事では下地補修調査は打診テストを行います。

外壁・床にタイルが使われている場合はタイル代が入っている場合と分けている場合があります。焼いた特注品であればタイル加工代が別途かかります。2回目以降の大規模修繕工事ですと、過去の大規模修繕工事で残ったタイルがある場合もありますので必ず在庫を確認しましょう。管理会社に設計書作成依頼した場合はタイルの置き場所など把握していると提案してくれる場合もあります。管理会社に設計を依頼するメリットです。タイル在庫はカウントして不要であればタイルは支給として余計な費用を抑えることが出来ます。タイル代だけで、40~50万円(一窯として)が削減できます。

大規模修繕工事(下地補修) 見積書チェックポイント、その2

D.シーリング工事

現場をみながらチェックして、実測又は図面と確認しながら、シーリングする箇所をピックアップします。

  • 開口部廻り、打ち継ぎ目地(建て目地)、笠木・天端取合目地、アーチ廻り、サッシ・窓・出窓周り、玄関ドア廻り、バルコニー避難ハッチなど、ガラリ、エア小スリーブ廻り(単位 〇〇m)

図面で正確に距離を出せるので実数清算にはなりません。但し、項目が抜けおちやすいので、抜けがあると大規模修繕工事を実施する段階で、工事会社に指摘されて思わぬ追加工事が発生しますので、時間がとれるなら設計者に一つ一つどこの工事なのかを説明してもらうと抜け落ちにくいです。

E.外壁塗装工事

  • 廊下、バルコニー、ベランダ、階段、天端、天井の塗装箇所、建物境界線の外壁など(単位 〇m2)

図面で正確に距離を出せるので実数清算にはなりません。但し、項目が抜けおちやすいので、抜けがあると大規模修繕工事を実施する段階で、工事会社に指摘されて思わぬ追加工事が発生しますので、時間がとれるなら設計者に一つ一つどこの工事なのかを説明してもらうと抜け落ちにくいです。

F.鉄部塗装工事

あらゆる塗装すべき鉄部を現地調査、竣工図面にて調査してピックアップします。屋外だけではなく、機械室や屋上まで塗装はすべてやってしまったほうが良いです。というのは単価がさほど高くないという理由と、保証は1年とか2年が一般的ですが、10年経過しても劣化はあるものの塗装対象の内部が腐食するような事態にはならず耐えられる場合もあるからです。大規模修繕工事のタイミングだけで実施できる塗装はすべてやってしまってよいでしょう。マンションによって鉄部はさまざまなので、例としては以下のようなものがあります。

  • 屋上:マンホール、アンテナ台座、タラップ、庇鉄板、排水ドレン、小庇(こひさし)屋根(単位 〇箇所)
  • 玄関廻り:玄関扉枠、メーターーボックス、パイプシャッフト扉、排水ドレン
  • 1階、外構、エントランス:エントランスアーチ、管理人事務室扉、照明器具枠、換気ガラリ、水道メーター・仕切弁蓋、排水桝蓋、マンホール蓋
  • 地下室・機械室:地下出入口扉、受水槽廻り、受水槽基礎、ポンプ基礎、変電設備扉、分電盤、配管架台、換気ダクト(何か所)、照明枠
  • バルコニー:パーティションボード、雨どい配管、排水ドレン

鉄部塗装は、設計で抜けているとやはり大規模修繕工事で追加工事を求められる可能性がありますが、素人でもわかりやすいので、項目が抜けていないかを設計者とともに確認すると良いでしょう。

G. 屋上、ルールバルコニー、バルコニー、階段の側溝、工事

屋上防水、ルールバルコニーは、最上階の専有部漏水につながるため、大規模修繕工事でもっとも大事な工事の一つで、コストが占める割合も大きいです。但し、屋上防水の状態が良ければ、必ずしもフルスペックで実施せずに、コストダウンをはかることが出来る工事でもあります。屋上と、ルールバルコニーは、足場がないと工事しづらいですが、出来ないわけではありません。修繕積立基金の残額と、工事総額を踏まえて、設計者によく状態を見てもらって仕様を決めます。もっとも判断が難しい工事となります。

  • 屋上、ルーフバルコニー:洗浄、下地補修(単位m2)
  • 屋上、ルーフバルコニー:平場防水・立ち上がり・笠木・各基礎(単位m2)、入隅補強(単位m)のウレタン防水(工事仕様書の屋上、ルーフバルコニーウレタン密着工法による)
  • 小庇(こひさし)、階段側溝、バルコニー防水:洗浄、下地補修(単位m2)、平場・ササラ・巾木ササラ・巾木・側溝のウレタン防水(単位m2)、入隅補強(単位m)工事仕様書の小庇(こひさし)、階段側溝、バルコニー防水による)

H. その他の工事

一般的な大規模修繕項目に含まれないマンション特有の工事や、グレードアップ工事を記載します。集合郵便ポストの交換、VHFアンテナの撤去、階段、廊下の長尺シートによる滑り止め対策工事、段差の解消などバリアフリー工事などや、エントランスの改修などグレードアップ工事などの項目が考えられます。理事会や大規模修繕委員会で改善したい内容、住民アンケートの要望を拾って、具体的な対策は設計者に提案してもらって、設計書に入れてもらえば良いでしょう。自分たちで項目を入れて、大規模修繕工事に見積もり依頼する際に提案してもらうことでも良いでしょう。

その他の項目については見積り依頼して、金額を見て全体の予算に収まるかどうかと重要度を考えて、実施する工事を絞り込めば良いので考えれるものは入れておきましょう。

設計明細項目のイメージは出来ましたか?中身を深く理解するよりも、どんなものかを全体的に理解できれば、素人でも、大規模修繕工事会社に見積もりを依頼することが出来ます。

上記でまとめた設計書(工事仕様書、設計項目明細)をもとに、業者選定条件を設定して、大規模修繕工事会社に見積もり依頼します。

大規模修繕工事会社への見積もり依頼

業者選定条件については、詳しくは下記のブログを参照ください。

中小マンション大規模修繕工事、業者選定条件について

設計書(工事仕様書、設計項目明細)があれば、1か月程度、長くても2か月程度で見積もりをしてくれるはずです。管理会社も見積もりをして管理組合に提案をしてくれますが、管理組合でも最低2社、出来れば5-6社に依頼すれば価格差が20%程度は出てきます。

現地調査日程を決めて、現地を案内して提案してもらえば良いでしょう。必ず良い提案をすれば選定すると伝えて管理組合の本気度を伝えることが大事です。また、仕様外に含まれていない項目でも、気付いたことがあれば提案してもらえるようにお願いしておくと、見積漏れや、わずかな追加コストでメンテナンスコストを下げるより良い提案をしてもらえる場合もあります。また保証内容や、アフターサービスも長くしてもらえることもあります。

不明点があれば、質疑応答になりますが、管理組合で回答できない内容は設計者に確認して回答しましょう。1社からもらった質問回答は、全社に共有するようにしましょう。1社が誤解するという事は他社も誤解することになります。

工事会社選定協力を管理会社や設計コンサルタントに依頼していれば、比較表をつくって業者を絞り込んでいきます。業者選定後については、こちらのブログを参照ください。中小マンションでは工事監理を依頼しないで管理組合で工事を確認しながら進める方法も考えられます。

中小マンションでは、設計書(工事仕様書、設計明細項目)をもとに、見積もりを取り、工事会社に直接発注する手順についてまとめています。

中小マンションの大規模修繕工事 設計監理方式を採用すべきでない理由

まとめ

  • 大規模修繕工事の見積もり取得のための設計書(工事仕様書、設計明細項目)がどのようなものか概要を説明しました。中小マンションであれば、大規模修繕工事の前々年の総会からの準備で十分間に合います。前々年の通常総会で、建物劣化診断、設計書作成、業者選定補助の見積もりを予算化して、大規模修繕工事の前年に、建物劣化診断と住民アンケートを実施して大規模修繕工事の見積もり範囲を決めて、設計書を準備して、大規模修繕工事会社への見積もり、業者選定すれば、大規模修繕工事の直前の通常総会の議案をまとめることができます。
  • 工事仕様書、設計明細項目ともに専門的な内容ではありますが、概要を理解すれば、素人でも大規模修繕工事会社に見積もり依頼することが出来ます。最低2社、出来れば5-6社に声をかければ、競争の原理が働き、適正価格での提案を得ることが出来ます。大規模修繕工事費を20%下げることも可能です。

以上

 

「管理会社とうまく付き合い大規模修繕工事を成功させる」セミナー詳細確認

◆日時 :2021年7月24日(土)16:00~18:00
     (予備日も開催決定 2021年7月19日(月)19:30~21:30)
     @Zoomオンラインセミナー
◆価格 :2,000円(税込)
◆対象 :大規模修繕工事を現在または、将来検討している分譲マンション管理組合理事・元理事、
     または修繕委員
◆対象分譲マンション :中小規模マンション(タワー型マンションを除く)
◆対象エリア :日本国内のマンション
◆講座のゴール :大規模修繕工事の流れを理解し、やるべきこと、課題を整理する。
◆日程が合わない方でセミナーに興味がある方、 :申込ボタンから、「その他、大規模修繕工事でお困りのこと、もし日程が合わないけどセミナー受講したい方は希望日程を書いてください。」に希望日程、曜日など連絡ください。こちらからご連絡します。