直結給水への切替まとめ、総会向け資料について

築30年を迎えたマンションでは、直結増圧給水または、直結直圧への切替をしているマンションが増えています。

最近も、お話しさせていただいた300世帯近い、団地型マンションでも昨年、直結増圧方式への切替をされたとのことでした。

アドバイザーをさせていただいている20世帯3階建てのマンションでも、直結増圧方式への切替が臨時総会で決議されて業者選定に入っています。都内で3階建てなので、増圧ポンプ不要なので、直結直圧でど、アドバイスしましたが、増圧ポンプ入れるということで方向は決まったようです。管理会社のミスリードで、ほとんど動かない維持費だけがかかる増圧ポンプを入れるのはいまいちですが、小規模マンション修繕コスト削減士の力不足でした。仕方ありません。

直結給水への切替については、3本ブログを書きましたが、管理組合総会決議に向けてのまとめのブログをかくことにしました。

大型マンションも小型マンションでも貯水槽方式から直結方式への切替を前提に、総会決議に向けて準備しておくべきことを整理します。

給水方式の決定方法

図1 貯水槽が更新時期を迎えた場合の給水方式の検討フロー

前提として、築30年前後のマンションで、これまでは貯水槽方式で給水をしてきたとします。

なぜ給水設備を更新を検討するか?貯水槽のパッキンから漏水が始まったのか?圧送用ポンプが異音が発生して壊れかけている、もしくは、長期修繕計画で機器の耐用年数を大幅に超えており給水設備更新時期に来ているなどの理由があるのだと思われます。

貯水槽のパッキンからの水漏れを補修する方法もあります。また、圧送ポンプの問題が、回転数を制御するインバータ制御基板の問題であれば制御基板を交換することでまだ使用できる可能性もあります。

修理の内容にもよりますが、何か不具合がある状態で検討を始めると時間がないことから選択を誤る可能性があります。直結給水への切替は方式の検討、見積もり比較、工事会社選定、総会議決、工事とかなり時間がかかりますので、応急措置で機器の不具合は修理して落ち着いた状態から検討を始めましょう。

給水工事自体は、単棟型の中小マンションであれば通常は1か月程度で終わります。しかし、東京都水道局の補助金で増径工事をお願いする場合などは、東京都水道局側の事情で、何か月も待たされることもありますので、十分にスケジュールに余裕がある段階で検討をした方が良いです。

直結給水方式が認められている都市(直結給水可の都市水道局のリンクあり)とそうでない都市がありますので、まずは、検討中のマンションの所在地の水道局が直結給水が可能なのかを確認しましょう。直結給水不可の水道局の場合は、自動的に貯水槽方式を採用することになります。

直結給水が可能であれば、水道局を訪問して、地域水圧を確認しましょう。平日お休みを取らないといけないため大変ですが管理会社に任せておくよりも一度は管理組合の理事の方が水道局に相談に行かれた方が良いです。この後、検討進める中で判断に迷うこともありますが、ご挨拶しておけば相談に乗ってもらえます。また、近隣で直結工事をしたマンションの事例なども教えてくれるかもしれません。参考になると思います。

地域水圧での、簡単な目安としては、地域水圧が0.2MPaあれば3階までは可能で、0.25MPaあれば4階まで、増圧ポンプなしで直結直圧給水可能です。直結直圧給水が可能ということであれば、直結直圧を本命にしてに切り替えること検討をすすめましょう。

地域水圧がわかったら、マンションの最上階の高さの最も大きな圧力が求められる機器までの水理計算を行って、直結給水した場合に増圧ポンプが必要かどうか確認します。水道メーターまでで0.17MPa確保できれば直結給水可能で、増圧ポンプは不要です。実際にはもっと低くても可能です。あくまでもそのマンションの相対的な差になるので、現状の圧力を圧力計かポンプの性能曲線と水理計算することでわかります。

詳詳しくはこちらで水理計算の説明をしています。

中小マンション直結直圧給水可否をポンプ設定で検証する

直結直圧給水が不可の場合は、直結増圧方式に切り替えるほうが良いのか、貯水槽方式更新が良いのかをいよいよ検討することになります。

貯水槽方式では、仕様書は不要で、現地で工事会社に同じように貯水槽入れ替えしてくださいと言えば話は通じます。しかし、直結給水方式へ切り替える場合は仕様をまとめる必要があります。管理会社が仕様書作成に協力してくれる場合は、管理会社にお願いしましょう。但し、管理会社に発注ありきでお願いするのではなくて、管理組合から給水設備工事会社にも直接見積もりを取りたいので、仕様書作成のみ有償で協力してほしいと伝えましょう。

もし管理会社に仕様書作成に協力してもらえないならば、以下のブログを参考に見積もり依頼の資料を参考に作成してみましょう。現地を見ながら考えれば普通に出来るはずです。仕様書と呼べる形式にこだわる必要はありません。やりたいことが整理されていればよいのです。専門知識は不要です。

直結給水へ切り替える場合の仕様のまとめ方は以下のブログを参照ください。

直結給水工事の見積所得のための仕様書作成について

この情報をもとに、管理会社または、他の会社に貯水槽方式更新か、直結給水方式(増圧または直結)の見積もりを出してもらいましょう。この段階では、シビアにやらなくても良いかもしれません。

直結増圧方式に切り替える場合は、管理会社か、増圧ポンプメーカーか、設備メンテ会社に問い合わせて、設備点検費と機器メンテナンス費について確認しましょう。

維持費は、直結直圧給水はゼロ円となります。維持費は断トツで安くなります。直結増圧給水の場合は、設備点検費と機器メンテナンス費がありますが、増圧ポンプ稼働時間は低層階への供給時は動かないため電気代は貯水槽方式より安くなり、貯水槽清掃費がなくなるため、直結増圧給水の維持費は、貯水槽方式より安くなります。

一方、直結増圧の場合、埋設部分の工事比率が多いと貯水槽方式の入れ替えより高くなる可能性があります。貯水槽方式と直結増圧方式の、初期費(工事費)、維持費(設備点検費、機器メンテナンス費、電気代)を直結増圧方式と貯水槽方式で比較することで、貯水槽方式または直結増圧方式が良いか判断できます。

詳しくはこちらでの貯水槽方式の工事費を直結増圧方式の差で維持費何年分で回収できるかのシュミレーションを確認ください。

中小マンション直結給水方式への切替方法

直結増圧切替が、貯水槽方式の更新より初期費(工事費)が高いとして、その差額が、維持費10年で回収できるのであれば直結増圧方式を選択しても良いかもしれません。

ビジネスの投資回収は、2年以内回収など短期回収の判断が求められますが、長く住むマンションでは話は別です。築30年だとしても、現在考えられているマンションの寿命の60年まで30年あるわけですから、10年後も存在しているので、10年以内で回収できるなら、直結増圧にして、10年で回収して、その後は維持費をさげていくということで良いと考えられます。

投資用で賃貸用としている組合員は、もっと短期で回収をと考えるかもしれませんが、管理費・修繕積立金が値上がりしなければとくに意見はないオーナーも多いでしょう。

貯水槽の災害時の貯水効果についての検討

直結方式への切替の場合は、議決権総数の3/4以上の特別決議が必要になります。標準管理規約でいうと、第47条総会の会議及び議事の3項の二の「敷地及び共用部分等の変更」にあたります。

貯水槽更新の場合は、単なる設備更新となるため共用部分等の変更に当たらないため議決権数の1/2以上で決議できます。

直結給水の切替では総会議決の敷居が高いことを覚えておきましょう

貯水槽を辞める際に、必ず貯水槽の災害時の貯水機能をなくしてしまって良いのか?が議論になります。貯水槽の設計は、通常はマンション使用量の半日分の容量で設計されます。水道局側のトラブルや災害等で断水がおこった際には、半日分の水が確保されることになるのです。これはメリットと言えるでしょう。

貯水槽の水も節約すれば、1日、2日分完全断水の場合でも使える可能性がありますが、2日以上断水が続けば使えなくなります。また災害の場合停電となっている場合は、貯水槽まで水を汲みに行かなければいけません。それから災害用の弱地を貯水槽につける必要もあります。

直結給水にする場合は、貯水槽を失うことに対して、管理組合として対応を説明できるように考えると良いでしょう。災害時の水の確保は、各自自助努力で確保することは前提として、共助として管理組合で貯水槽が撤去された後のスペースに防災倉庫を持って水の確保などの対策も考えられます。直結給水にすることで、維持費が下がる分から捻出することで可能でしょう。

さらに、敷地が広いマンションなら、防災井戸を掘ることを検討できます。停電時でもつかるような手押し井戸がもっとも効果があると言えるでしょう。災害時に水の確保が必要と言う事であれば本当の対策は、水源をわけることであり、手押し井戸は有効と言えます。飲料水にしなければ水質テストも不要となります。

消防法では、50人以上の住民がいるマンションでは甲種または乙種防火管理者が設置が求めれて、消防計画の作成が求められますが、備えについては考える機会がありません。マンション管理規約では、防災・消防などに関しては、記述は少ないです。

しかし標準管理規約の第32条管理組合の業務として十二には、「マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上に関する業務」と記載されております。

管理組合内に、長水槽の災害時の貯水効果を考えるべきだという意見がある場合は、直結給水方式への切替で維持費が下がる分で、災害時の水を確保する検討をしたうえで、総会で議案をあげると賛成が得られるでしょう。

直結直圧の場合は、最上階の水圧の確保がポイント

直結直圧が可能な3-5階の低層マンションで貯水槽方式のマンションでは、直結直圧方式はメリットが大きいです。一番のメリットは、維持費がかからないことです。維持費削減効果は、電気代、ポンプ維持費、貯水槽清掃費にまで及ぶためとても大きな効果をもたらすので、直結直圧が可能かどうかしっかり検討すべきです。

なお東京都の場合は、4階建て以上のマンションでは、(特例)直結給水方式として、地域水圧が下がった場合のために、増圧ポンプユニットの設置場所を確保しておくことが条件になっています。

直結直圧の場合は、最上階の住民は、下層階で水をたくさん使ったら自分の部屋の圧力が落ちるのではないか、水道局が渇水時に水量を減らしたら最上階まで水があがらないのではないか、という不安があります。

詳しくはこちらで水理計算の説明をしています。

詳しくはこちらで水理計算の説明をしています。

中小マンション直結直圧給水可否をポンプ設定で検証する

下層が水を使っているときに、最上階の水圧が落ちる可能性については、全戸の水道メーターの前に減圧弁ユニットをつけて、下層でも0.17MPaなどの設定として制限してしまえば、平等になるため、懸念は解消されます。

東京都の直結方式の仕様としては仕様書に記載はありませんが、都内での直結給水工事を実施する場合は、工事会社からはすすめられるはずです。全戸減圧弁ユニットをつけることは標準的な仕様といえます。

渇水時給水制限で水圧が下がった場合は、上階ほど水圧が下がるリスクがあるので、嫌がられる傾向はあります。しかし最上階の水圧の問題は、直結増圧でも直結直圧でも直結に切り替えた時点でおこる問題です。

東京都水道局の場合は、「制限給水時、事故時、水道施設の工事等による、一時的な水圧低下に伴う上層階での断水や出水不良が発生した場合は、共用の直結給水栓を使用します。」という一筆を管理者(理事長)がかくことが直結給水に切り替えるための同意書にあります。最上階のオーナー住民には、個々に説明することが大事です。

工事前の水量を確認する意味では、水栓をあけて、1Lのボールがいっぱいになる時間を計測しておくと良いです。
1Lが5秒(10L/min)なのか、6秒(12L/min)などの数字を残しておいて、直結給水切替後にも同様の計測をすると良いでしょう。

図2.1Lのボールに何秒で水がたまるかを測定することで水量計測できる

さらに、もし貯水槽方式でポンプ圧送で水を供給している場合で、ポンプにインバータ制御機能がついているのであれば、インバータで回転数を変えて、地域水圧で直結直圧した状態にポンプ設定することで、運転させて水量を確認できれば、直結直圧の状態をシュミレーション出来るため、懸念はなくなります。

インバータ制御でポンプユニットの回転数を変えてシュミレーションする方法の詳細はこちら

中小マンション直結直圧給水可否をポンプ設定で検証する

直結給水についての総会議決のための資料

直結直圧給水へに切り替えはコスト面を含めたメリット比較の資料によって比較することで、どの方式が良いかの見解がはっきりしますので理解を得やすくなるでしょう。

費用面とくに維持費が下がるメリットをきちんと説明して、災害時、給水制限時の水の備えについても検討出来ていることが望ましいです。

直結給水方式への切替工事について、複数の水道工事業者から見積もりを取っておくことが望ましいです。

水道局の指定工事業者であることとを条件に、検索することが出来ます。東京都を例にあげると、東京都指定給水装置工事事業者から業者を選択して、HPで実績を確認して、見積もり依頼先を見つけましょう。ネット検索すると広告を出している会社であれば見積もりしてもらえる可能性は高いです。また、 東京都管工事工業協同組合の直結切替工事施工事業者一覧(PDF)、 協同組合東京都水道請負工事連絡会の直結切替工事施工事業者一覧(PDF)三多摩管工事協同組合の直結切替工事施工事業者一覧(PDF)などに問い合わせれば見積もり可能です。

総会決議に向けての各方式の比較表の例をあげます。

この検討した仮想マンションの例では、水理計算上は、直結直圧では、末端水圧の計算上0.129MPaとやや低いが、総会では直結直圧で提案して、後日水圧が足らない場合は、増圧ポンプを置くというプランで、増圧ポンプ追加する場合の見積を取り、総会ではその予算取りもして、直結直圧方式への切替の提案をする場合の総会議案を想定しています。

例とした架空のマンションは、4階建て世帯数30世帯のマンション、貯水槽は1階、地域水圧0.25MPa、4階最長高さは10m、水道メーターでの圧力計算値0.129MPaと仮定しています。

表1 直結方式検討、総会向けに資料の例

貯水槽方式更新直結増圧方式直結直圧方式
水道局見解
(東京都の場合)
推奨(補助金対象)推奨(補助金対象)
水の鮮度〇(※1)〇(※1)
初期費700万円(※4)730万円(※4)480万円(※4)
維持費33万円/年20万円/年
(※4)
0円/年
(※4)
4階量水器圧力0.145MPa0.145MPa0.129MPa
(※5)
省エネ×(※2)〇(※2)〇(※2)
マンション停電時×△(水圧の範囲で)
水道本管工事・事故時〇(※3)××
給水制限時〇(※3)××
貯水槽撤去後
スペース
〇(※6)〇(※6)

※1)直結給水は直接蛇口まで水道水が届けられる。貯水槽の定期的な点検や清掃などの維持管理が適正に行われていることが必要(東京都の説明)。
※2)直結給水は配水管の圧力を利用するため、エネルギーを有効に活用できます。貯水槽で一旦水を受けるため、水道管の圧力が開放されてしまい、エネルギーを有効に活用できません。(東京都の説明
※3)貯水槽に残っている水を使用することが出来る。
※4)直結直圧は、貯水槽更新に対して初期費220万円削減のうえ維持費が33万円/年削減できる。増圧ポンプの場合は貯水槽更新の初期費(工事費)に対して730-700/(33-20)=2.3年で回収、コスト計算詳細はこちら 
※5)最大使用量での計算値、詳細はこちら、増圧ポンプを追加する場合は、プラス270万円で工事の見積を受領
※6)貯水槽があくスペースは防災倉庫、一時駐車場利用として検討する。防災倉庫では、管理費で水を購入することを検討とする。

表1のような補足資料で総会の議案とともに、なぜ直結直圧方式に至ったかの比較資料を準備しておくと、組合員から理解は得られやすいです。4階量水器での水圧は少し低くなるため、心配する声もあるため、実際に工事後に不具合があれば、その場合は増圧ポンプを追加するという説明をすれば安心するでしょう。

このケースですと増圧ポンプを設置してもほとんど動かない装置になる可能性が高いです。毎年、33万円の管理費の削減というのは、小マンションでは魅力的な削減額です。このあたりを説明すれば、総議決権数の3/4の支持も得られる可能性が高くなります。

まとめ

  • 貯水槽方式からの切替は、まずは、修理が可能か検討しましょう。
  • 修理可能ならば応急措置をしたうえで、更新する時期に来ているならば、その地域の水道局が直結給水工事をみとめているかどうかを確認しましょう。
  • 水道局を訪問して地域水圧を確認の上で、直結給水も可能からどうか検討しましょう。低層マンションであれば、水理計算で圧力が足りる場合は、直結直圧給水に切り替えるべきです。
  • 直結給水不可の場合は、工事費・維持費の概算見積もりをもとにコストシュミレーションをして検討しましょう。
  • 直結増圧への切替の場合は、貯水槽方式継続の場合の初期費(工事費)の差額を、直結増圧との維持費との差で何年分で回収できるかの算出をすると判断出来ます。
  • 総会決議資料では、検討した結果を比較表にまとめて説明すると理解が得られやすいです。

以上

直結給水切替サポート問い合わせ

直結給水に切り替えるべきか、否か、わからない。
管理会社は、増圧ポンプ必要と言っているけどどう検証すれば良いかわからない。
そんなときは、お気軽にお問い合わせください。

【問い合わせ無料】
電話の場合はこちら
080-5071-0255 マンション管理組合目線 神尾直志