2040年までに、日本の人口の1,000万人以上減少します。現在1億25百万人のうち8%に当たります。

国立安全保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口(2015年)を読むと外国人が極端人流入しない限りは、1,100から1,400万人ほど減少します。

2040年人口1000万人減少の衝撃と築古マンションのやるべき事

詳しくはこちらのブログ。

1500万人がマンションに住んでいると言われていますが、8%分の空室になる計算になります。

マンションは増え続ける一方で2040年に、築50年を迎えるマンションが213万戸となります。

分譲マンションには、どんな未来が待っているでしょうか?

2040年分譲マンションの未来予想をして見たいと思います。

国交省のマンション政策

2021年9月にマンション修繕積立金のガイドラインを10年ぶりに改正しましたが、大幅に値上げしました。専有部面積5,000m2以下の修繕積立金の平均額を218円から335円に1.53倍に値上げしました。

2022年4月から早い自治体ではじまる管理計画認定のために国交省が作った「マンションの管理計画認定に関する事務ガイドライン」の17項目の基準には、「直前の事業年度の終了の日時点における修繕積立金の3ヶ月以上の滞納額が全体の1割以内であること」という項目があります。

そして、「長期修繕計画の計画期間全体での修繕積立金の総額から算定された修繕積立金の平均額が著しく低額でないこと」という項目があり、事例の3分の2以下の下限値以下を下回らない事、という項目があります。

1割未納も認定という修繕積立金未納に、やけに緩いルール。修繕積立金設定額には厳しい設定。

人口減少が始まり、マンションは人口だけに注目すれば、新築は建替え分の数以上には不要な状況ですが全く規制する様子はない。国交省の天下り先である業界の反発があるのでしょう。変われない日本の象徴といえるでしょう。

マンション建替え円滑化法による建替えや除却の認定要件は広がっていますが、4/5以上の組合員の合意が必要であることや費用負担の問題などで、簡単ではなく年間10棟程度にとどまっていますが、新築分譲マンションは年10万戸のペースで増えつづけています。

国交省は、修繕積立金を上げた理由には、マンションの長寿化を促す目的がありますが、どうがんばっても空室率が上がり修繕積立金の未納が起こることも踏まえて、空室率10%以下であれば、管理計画認定の基準OKとしたと読むことが出来ます

こういう基準を10年後に下げるということも出来ないため、開始時から甘い基準の10%と設定したと見て良いでしょう。

10%未納があっても、長寿化に向けて回せるように、マンション増税(修繕積立金値上げ)を課されたと考えると、国交省の政策がつながります。 今後は、除却認定の基準は下げていくと予想します。それでも規約変更3/4以上より緩い基準以下には出来ないでしょう。多くのマンションは容積率がいっぱいであるため持ち出し負担が大きすぎて建替え出来ないでしょう。立地が良い場所は除却して土地を売却が現実的で、郊外の容積率が余っている団地は組合が努力すれば建替えも可能ですが、住宅余り目に見えるようになっていきますので、2040年になると、郊外団地は、公的資金も入って取り壊す例なども出てくるでしょう。

都心マンションとの格差

都心の大型巨大マンションと、郊外、地方のマンションの差。これは、埋めようがないもので、日本の格差社会そのものを象徴するものです。

専有部の面積は、郊外の中小マンションと変わらなくても、住んでいる人の層が違う、少なくてもお金にはなんの心配のない人が住んでいます。

人口減少社会でも、世界中から富裕層は集まってくるため2040年もあまり変わらないでしょう。

2040年では、建物の劣化も、設備の劣化も心配は不要です。

巨大すぎて責任も重い、素人理事会が管区組合活動をするべきでないという考えから、第三者管理方式というアウトソーシングも加速していくのでしょう。

地方、郊外マンションの格差

多くの郊外のマンション、こちらは立地、築年数、建物修繕状況、マンション管理組合の活動、管理費・修繕積立金の金額、若い住民が増えて世代交代が起きていること、などによって、選ばれるマンションと選ばれないマンションと別れていくでしょう。

修繕について

立地は変えられません。その立地の付近にあるマンションとの競争になります。修繕については、組会活動が活発であることが前提ですで、長寿化に向けた取り組みをすすめたマンションは評価されるでしょう。築古マンションであれば、共用部給排水管のみではなく、専有部の給排水管も管理組合で一斉交換していることは大きな差別化要因になります。さらにカバー工法等で断熱性能の高いサッシ・窓に入れ替えていることなど選ばれるマンションの条件になるでしょう。

管理組合活動について

がんばるリーダーが、管理組合を正しい方向に導いている例は多々あり素晴らしいのですが、リーダーはいつまでも頑張れるわけではないので、交替できる仕組みがあって、かつ、リーダーががんばっていることが理想です。

そして、世代交代が起きていることも大事な要素です。

立候補優先の輪番制、任期ありの仕組みが確立して、強いリーダーだけではなく、何人かのリーダーが育って行くマンションが理想です。

素晴らしい組合活動は、見える化が進んでいく時代になると考えています。 管理組合のHPによるアピールや、不動産物件サイトの紹介では、管理計画認定などよりも、組合活動が評価されてアピールされる仕組みも出来ていくでしょう。

管理費・修繕積立金の金額

管理費・修繕積立金はシビアに見られます。植栽や清掃などの管理が行き届き、必要な修繕が出来ていることが大前提ですが、その上で、管理費・修繕積立金が低く抑えられているマンションは選ばれるでしょう。

世代交替が起きていること

建物とともに住民が老いていくマンションは多いです。良い管理状態のマンションには、区分所有者にしても、賃借にしても若い世代が入ってくるものです。新築購入者世代の子世代も、親が高齢になって戻ってきている例もあります。

マンションの寿命は、人の一生よりも長いのです。世代交代がすすんでいるマンションは、次の世代にも選ばれると考えるのが普通でしょう。 若い世代に選ばれることを意識した組合活動を考えていく必要があります。

2040年までに分譲マンションに起こる変化

マンションの空室を埋める努力を区分所有者がする

築古マンションには、空室が増えます。まずは自然減。立地や管理状態で相続放棄も起きるマンションも出てくるでしょう。これまでは、相続があっても区分所有者の問題として見て入ればよかったですが、組合として空室問題に取り組みを考えていく必要が出てくるでしょう。

具体的には、子供がいない高齢夫婦が、あらかじめ相続人に後継者を見つける家族信託契約をする費用負担の一部補助をするなどの取り組みが出てくると予想します。後継者がいない専有部はリスクになるのです。 優秀な管理会社は、専有部サービスとして後継問題を解決する提案をしているかもしれません。

マンションコミュニティーが活発になる

マンションは、人付き合いがしたくない人が選ぶとも言われていますが、2040年は事情が変わっているでしょう。空室問題に向き合うことで、マンション内では、管理費・修繕積立金の値上げなど問題が話し合われる中で、いやでも協力関係は強くなると予想します。正しくは、そうなることを願います。マンションは、人付き合いがしたくない人が選ぶとも言われていますが、2040年は事情が変わっているでしょう。空室問題に向き合うことで、マンション内では、管理費・修繕積立金の値上げなど問題が話し合われる中で、いやでも協力関係は強くなると予想します。正しくは、そうなることを願います。

管理員・清掃を住民が引き受ける

管理員、清掃員の人件費は高騰して、管理会社や外部に発注するよりは、住民の中にアルバイトで手を上げるものが出てくるでしょう。

会計業務やコミュニケーションやドキュメント管理については、DXは始まっている通りで管理組合の選択肢は増えます。管理員業務も一部AI化できる部分もあるかもしれませんが、清掃はロボットでは無理で住民が行うケースが増えていると予想します。

まとめ

  • 2040年には、人口は1,000万人減少しますがマンションは増え続けます。国交省の空室率があがることも想定した上で、修繕積立金の大幅値上げによって、長寿化を促す政策をとったと言えます。
  • マンションの格差は広がっていきます。郊外の同じ立地にあるマンションでも、組合活動、修繕・管理状態などで若い世代に選ばれるマンションと選ばれないマンションに二極化するでしょう。 マンションの空室率を埋めることも管理組合の重要な活動になるでしょう。

以上

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