このブログは、築30年以上、50世帯以下の2040年に築50年超えとなる中小マンション向けに書いています。

2021年6月の総務省の発表で令和2年国勢調査の結果として、2015年10月から2020年10月までの5年間で人口減少が86万8千人と0.7%減少(12月に、94万9千人に訂正)したと報道がありました。

この後の20年間では、どうなるのでしょうか?人口が減少するということは、マンションにも空家が増えるということです。空家が増えると、管理費・修繕積立金のリスクが高まるということになります。

これまでは、「101号室の方は、亡くなった」「204号室は売却された」など、区分所有者の問題として、管理組合とは無関係のように捉えていたでしょう。

しかし、2040年の人口減少、1000万人~1400万人くらいになることが見込まれております。首都圏でどれだけ減少するかは別ですが、影響は大きいでしょう。

築50年のマンションが2040年には213万世帯になります。ほとんどのマンションは容積率の問題で建替えは難しいです。長寿化を意識して管理して行かないと行けません。

どのような立地でも近隣との競合となるマンションがあり、選ばれるマンションと選ばれないマンションに分かれて行くことが予想されます。

築古マンションでも、管理状態の良いマンションは、選ばれるマンションになるでしょう。管理費・修繕積立金が建物・設備に見合った適正価格であることは言うまでもありません。

ファミリータイプでは、若い世代が住みやすいマンションであることが、重要になってきます。外国人が増えることも避けられないため、開かれた管理組合であり、外国人にも規約を守って済んでもらえるマンションであることが、選ばれるマンションになるための条件になります。

人の一生より長く、マンションが使われる時代が近づいており、管理組合も多世代・多人種で構成されて、合意形成されていることが大事です。とくに、管理組合を担っていく若い世代が組合活動に入っていき、若い世代の声が管理組合活動に反映されていくことが大事です。

以下のような流れでまとめました。

2015~2020年までの人口減少86万8千人の検証

令和2年国勢調査 人口速報集計 結果の要約

人口減少は、2015年から、86万8千人減少ということでしたが、2015年の国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口(平成29年推計)報告書(以下、報告書)の223ページの表10-1 総人口:出生中位・高位・低位(死亡中位・高位・低位)各推計値によれば、表1の予測となっています。

表1 2015年報告書の総人口:出生中位・高位・低位(死亡中位・高位・低位)各推計値

 死亡率中位
出生中位
死亡率中位
出生高位
死亡率中位
出生低位
死亡率 高 位
出生中位
死亡率高位
出生高位
死亡率高位
出生低位
死亡率低位
出生中位
死亡率低位
出生高位
死亡率低位
出生低位
2015年127,095127,095127,095127,095127,095127,095127,095127,095127,095
2020年125,325125,658125,016124,864125,197124,556125,761126,094125,452
減少▲ 1,770▲ 1,437▲ 2,079▲ 2,231▲ 1,898▲ 2,539▲ 1,334▲ 1,001▲ 1,643

2015年の127,095千人は、,総務省統計局『平成27年国勢調査 年齢・国籍不詳をあん分した人口(参考表)』

9種類の予測があるのは、死亡率が高中低の3つに分けた場合で、それぞれについて出生率を高中低に分けて場合分けしているためです。いずれも2021年の6月の発表より減少幅が大きく、86万8千人との差が大きいです。

この差は、外国人の入国超過数の見立てにずれが原因であることがわかります。2015年の報告書の39ページによれば、外国人の入国超過数を7万人/年程度と見ています。5年で35万人増加する予測を加味していることになります。

現実には、出入国在留管理庁の2020年6月公表資料によれば、この5年間の在留外国人数は、2015年の2,121千人から、2,887千人と、65万5千人増えていることがわかります。つまり、30万人ほど2015年の予測を上回って、外国人が入ってきたことがわかります。


図2 出入国在留管理庁の2020年6月公表資料

表1の将来予測が、30万人ほど在留外国人数が増加したことによると、現実に最も近いのは、死亡率低位仮定の出生高位の▲1,001千人か、中位の▲1,334千人の減少の中間の▲1,167千人、に30万人加えた86万人が妥当と言えます。

出生率の仮定は、報告書29ページによると、高位:1.59、中位1.40、低位1.21となっています。現実の出生率は、2015年から2020年まで1.45、1.44、1.43、1.42、1.34と、中位と高位の間と言う状況であるので、将来推計人口は死亡率低位、出生率、高位が予想に近いです。結果もその通りになっています。

つまり在留外国人の数を除くと、死亡率は低位、出生率は中位から高位の間が現実の予想にあっていると言えます。

2040年までの人口減少は少なくとも▲1,000万人

報告書の2040年の人口予測は、表2となります。

表2 報告書の2040年総人口:出生中位・高位・低位(死亡中位・高位・低位)各推計値)

 死亡率中位 出生中位死亡率中位 出生高位死亡率中位 出生低位死亡率高位 出生中位死亡率高位 出生高位死亡率高位 出生低位死亡率低位 出生中位死亡率低位 出生高位死亡率低位 出生低位
2020年126,627126,627126,627126,627126,627126,627126,627126,627126,627
2040年110,919113,739108,329109,533112,352106,945112,284115,106109,693
2020年から減少▲ 15,708▲ 12,888▲ 18,298▲ 17,094▲ 14,275▲ 19,682▲ 14,343▲ 11,521▲ 16,934

2015年から2020年の5年間の86万人でしたが、同じペースで推移すると仮定すると、2040年は、死亡率低位の出生中位では、▲1434万人減少、出生高位では、▲1152万人の減少となります。この数字に、外国人在留人口が2015年から2020年と同じペースで毎年6万人ずつ増加すると仮定すると20年で120万人増加するので、出生中位で▲1,314万人から、出生高位の▲1,032万人の減少し、2020年の10月の人口から8%から10%減少する予想です。

800万人いる団塊世代が2022年から後期高齢者に入ることを考えると、理解できる数字です。出生率を上げることは、2010年のこども手当などの対策効果などを見ても、簡単ではなく大きな改善は期待しない方が良いでしょう。

外国人移民を積極的に受け入れるような政策展開しない限りは、この予想通りの人口減少が待っているでしょう。

マンション戸数は、2021年には、675万戸、1500万人ほど住んでいると言われていますが、マンション戸数の6割から、9割近くの人口が減少する現実なのです。

分譲マンションでは、2020年には213万戸が築50年を迎えます。相続放棄、あるいは賃借人がつかずに、管理費・修繕積立金の未払いが起こる可能性が高まります。

マンションDX、AI、ロボティクスの発展で労働人口をカバーする面はある可能性はありますが、フロントマン不足、清掃員不足は、2040年では代替しきれないと予想します。

マンションだけの問題ではなく、労働人口を増やすため、在留外国人を増やしていく方針に国は舵を切らざるを得なくなると予想します

2040年の築古マンションの修繕工事

2040年までに、築50年を迎える築古マンションは、どうすれば良いか。建替えは団地型で、容積率がスカスカのマンションか、再開発エリアで補助金が期待できるマンションなど限定的になります。

2040年の時点では、多くの築50年マンションが長寿化を選択することになるでしょう。

まず改修工事で、実施しなければ行かないことは、床下専有部の銅管と、鋼管やライニング鋼管の更新です。築50年までには、銅管・鋼管の漏水は避けられません。

標準管理規約では、専有部なので、区分所有者の負担での実施とされていますが、修繕積立金を使って一斉実施をすべきでしょう。漏水が多発する前に実施すべきです。

専有部に修繕積立金を使う事についていろいろ課題がありますが、詳しくはこちらのブログを参照ください。

築古マンション専有部配管の一斉更新のための標準規約

次にやるべきこととしては、サッシ・窓に交換です。但し、築50年以上経過後の交換で遅くはありません。2000年より前の古いマンションではサッシの断熱性能が低く、結露もしますが、それでも一戸建てと比べると断熱性能はずっと高いです。

今後、CO2削減に向かい、断熱効果が問われて、住宅の性能基準が上がっていくため新しい家との差が出てきてしまうので、築50年、4回目か5回目の大規模修繕工事で、カバー工法などで新しいサッシに交換できると、良いでしょう。

これらは、大規模修繕工事並みの費用がかかる工事です。とはいえ、修繕積立金を安易に値上げするのではなく、大きな工事の際に、少しずつ節約して、どうしても足りない分を値上げすることが望ましいです。

図3  築古マンションのすべきこと

2040年の築古マンションの組合運営

世代交代を意識したマンション管理

親世代から相続した世代が戻ってきて住みたくなるマンションであることと、中古で販売するときに、若い世代に選ばれることと二つが考えられます

相続世代の受け入れのためには、民事信託などで積極的に後継者が決まる際に、契約にかかる費用を管理組合が費用負担を補助する制度などが考えられます。相続人が全員放棄した場合など、相続財産管理人の選任など、管理組合の費用負担になることもあり得るため、積極的に後継者を決めて、死後事務委任・相続がはっきりしていることは管理組合にとって安心材料になります。

子育て世代への配慮は、まずは組合員の配慮や目線が優しいマンションとして受け入れること、管理組合にも若い世代に入ってもらえるような空気をつくっていくことが第一歩でしょう

外国人区分所有者を意識した管理組合運営

次世代の若い世代に選ばれるマンションになることと同時に、外国人区分所有者が入ってくることを意識した管理組合運営が求められます。

外国人は既に、川口市の芝園団地マンションなど、中国人がたくさん住んでいるマンションで有名ですが、 芝園団地 のような極端な例以外にもポツポツと区分所有者として入ってくることは避けられないでしょう。

騒音、ゴミ出し、マナー等を、管理規約に従って生活できるような管理組合の支援が必要になります。外国人向けの多言語オリエンテーションなどが組合の仕事になるかもしれません。

情報公開の重要性

マンションの情報公開していくことも、選ばれるマンションの条件になるでしょう。専有部配管の交換、サッシの交換が終わっているマンションは、安心材料になります。管理計画認定制度のような公の制度でアピールも意味はあると思いますが、漏水しない 専有部配管の交換 済のことをアピールするほうが重要だと考えます。

2040年には、築古マンションは、誰かが購入してくれる、相続してくれるという状態から、積極的に選ばれるマンションになるという姿勢が求められるでしょう。

まとめ

  • 2015年から2020年までの5年間では、人口は86万人(後の発表で94万人)減少しましたが、2020年から2040年までの30年間では、1,000万人以上の人口が減少されることが予想されます。
  • 2040年で築50年となる213万戸のマンションの多くは、長寿化をする選択がベストで必要な改修・修繕が必要となります。とくに専有部の床下配管や、サッシの交換などが必要となります。
  • 人口大幅減少に伴い、空室が増えて滞納問題も増えることが予想されて、若い世代に選ばれるマンションになる努力が管理組合運営に求められるようになります。
  • 外国人区分所有者が増えてくることも避けられないため、多世代・多人種が共存できるマンションが選ばれるマンションとなるでしょう。

以上

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