分譲マンション管理会社による管理委託料値上げや、契約辞退などが小規模・築古マンションでは珍しくなくなりました。

管理会社が管理委託料を値上げして来たということは実質、契約更新拒否です。管理費に余裕があれば値上げを受け入れられますが、余裕がない場合はどうするか?

ほかの管理会社を探すか、自主管理に切り替えるかの選択があります。

しかし引き受けてくれるのか?、引き受けてくれる会社を探し出すこと出来ます。

詳しくは、管理組合数あたりの売上が、現在の管理会社より小さい会社をあたると提案してくれる会社が見つかります。

小規模、築古でも断られないマンション管理会社の探し方

小規模・築古向けに第三者管理方式の提案も始まっていますが、私は利益相反の立場となる管理会社に管理者を任せるのは、反対です。であれば、中堅の会社にお願いするべきだと考えています。

中堅管理会社は、大手さんのように動いてくれるかというと難しい面もあります。しかし、お願いしすぎなければ気持ちよく働いてくれます。費用対効果を考えると、良い付き合い方を見つけてうまく付き合っていけると感じています。

小規模・築古マンションが管理会社を探す

以前お付き合いしていた管理会社が、リプレイス3年目で管理委託料の値上げ1か月あたり1万円の値上げをしてきたことが動機でした。管理会社の動きが悪いことはありませんでしたが、消費税値上げが待っており管理費における管理委託料の割合が85-90%になってしまうことが見えていたいたので固定費削減を考える上で管理会社変更を考えざるを得なかったのです。

組合員で手分けして探していろんな会社をあたりましたが、ほぼ門前払い。

合計4社から見積もりをとりました。

中堅管理会社の売上規模

管理費規模が300万円弱程度の規模だと、上位30社くらいまでは管理会社はほぼ提案にしてもらえません。「引き合いが多く50世帯以下は受けない方針です」「月額管理委託料が5万円ほど上がりますが提案しますか?」とか言われてしまいます。

マンション管理業協会の会員のマンション管理会社の売上規模は以下となっています。

図1 管理会社の管理部門の売上規模ランキング(一般社団法人 マンション管理業協会の2020年度公開情報より作成)

この売上には管理会社が、管理業務以外の管理組合から受注する修繕工事の売上は含まれていません。

500億円を超える会社が3社。上位14社までが100億円以上の売上です(2021年10月1日に合併があり現在13社)提案していただいた会社は売上が40億円以下くらいからでした。

選定の決め手はお値段

中堅の会社でも自ら修繕工事の元請けをする会社と、元請けをしないで自社または、外部の設計会社を使って設計監理のみを行いますという会社に分かれました。

元請けをしない会社の管理委託料は、やや高くなる傾向がありました。修繕工事からの利益がない分、高くなる傾向があることが理解できます。

管理会社を選定するときは、ヒアリングをしっかりしないと後で後悔することになります。


1年後に後悔しないマンション管理会社の選考ヒアリング

大手の会社と比較して、フロントに対するバックアップ体制や、しかるべきIT投資が出来ていないと感じました。中堅規模でも、俗人的でないIT投資が出来ている会社は、管理委託料が高めでした。ヒアリングするとよくわかります。

お安い中堅会社は、システム投資は全くしていない様子で、会社としての実績データベースは持っておらず俗人的な運営でバックアップ体制もないようで心配でしたが、フロントは10年の経験があり悪くなさそうでしたので、割り切ってお値段で決めることにしました。

お安い中堅の管理会社との付き合い方

大手管理会社とは、だいぶ動きが違います。最初の理事会で何も準備せずに営業とフロントが表れたのはびっくりしました。引継ぎはどうなっているんでしょうか?から始まりました。

一番劣化を感じたのは、清掃業務です。他の組合員から清掃が悪いとかなり指摘を受けました。管理会社もまた外部清掃会社に清掃と設備点検を委託していることがわかりました。

清掃については、理事とフロント立ち合いの元、巡回清掃員に来てもらい、具体的に指導してもらうと少しずつ改善されていきました。クレームするばかりではなく、改善業務には管理組合も一緒に動くことが大事です。

理事会で議案をつくって来ないとか、議事録作成が遅いなどいろいろ不満はありました。しかし、一つ一つ対応を依頼していったところ、管理組合のペースに併せて仕事をしてくれるようになり問題は解決されました。フロントと信頼関係をつくりながら進めるとやってくれるものです。

クレーマ理事が、変なことをいい出しても決して怒らせないようしてほしいと依頼していましたが見事に対応してくれています。クレーマ理事が小口会計は廃止と言い出したのですが、会計担当理事は廃止する規約改正案をすぐに提案してきました。

また、クレーマ理事があきらかにおかしな発言をした場合は、刺激しないように議事録で表現を変えたり、削除してくるなどの配慮も理事の仕事が減り助かりました。クレーマ理事を怒らせると管理組合だけでなく、管理会社に被弾する可能性もあることを理解しているのは頼もしいです。変に正義感を持たないで裁くところが良い。

大手管理会社と違い、支社には若手が入ってくることもないようで会社としては成長は難しいと思います。しかし管理組合目線だと現在のフロントが退社しない限り、安定したフロントは安心です。

ヒアリング時に大規模修繕工事は管理会社で仕様書を作成してくれる話があったので依頼したのですが、有償での提案を依頼したものの無償でやると言ってくれました。恐らく有償にして、仕事に責任を取りたくないと考えたのだと思います。

コピペミスのような明らかな矛盾や間違いや抜けがありましたが使えないことはなく、何カ所が修正を依頼して仕様書を完成させました。

管理会社の大規模修繕工事の見積は、担当役員が「弊社より安い会社はありません」と言ってアピールしてきましたが、そんなはずはなく、条件にあう大規模修繕工事専門会社に依頼しました。

検討している専有部の配管についての劣化診断をしてくれる給排水設備会社などを提案してほしいとお願いしましが「当てがありません」と、断わられました。支店には、工事担当は不在で、本社の管理会社の工事部門も大規模修繕工事以外には興味がないようです。

そもそも管理委託契約書に入っていない業務なので、管理組合で検討して対応すれば良いと割り切っています。

大手管理会社と比較すると、同じように提案してくれるわけではないですが管理委託料を考えると十分な対応かと考えています。

20世帯マンションでの管理委託料収入

管理委託料から、どのくらい利益がでるか計算すると管理会社から見て如何に割が合わないかよくわかります。300万円弱の予算規模の管理組合では、恐らく年間50万円の粗利も出ていないはずです。

図2 20世帯マンションを引き受けて粗利はどの程度か

しかも、契約後に直結給水に伴い、貯水槽清掃、遠隔監視や設備点検を辞めて、火災保険もマンションドクター火災保険にして窓口も取り上げてしまい、さらに粗利は減少しています。

今のところは、負担もかけていないように気を遣って付き合っていますが、値上げ要求せずお付き合いいただいています。

20世帯規模で、1戸あたり事務管理手数料と管理手数料(一般管理費)が1,800円程度は、最安値のレベルかと思います。この金額ですと、自主管理向けの会計アプリケーションであるイノベリオス社のクラセルより安いレベルです。会計以外にも、理事会・総会支援、滞納者対応、規約違反者への対応などもしてもらえるのはかなりリーズナブルです。

管理組合も滞納はなし。窓口は理事長以外からの連絡はしない。住民トラブルもなし。管理委託料に含まれないことは相談しながら引き受けてもらっています。

組合員アンケートなどは、管理組合で作成して原稿を渡して印刷、配布、集計だけ対応してもらうなど、引き受けてもらえる範囲を確認しながら依頼するようにしています。

安く引き受けてくれる中堅管理会社の負担を減らすことを考えてお付き合いをすると、良いパートナーになってくれるというのが、この1年ほどで学んだことでした。

まとめ

  • 小規模・築古マンションは管理会社から管理委託契約更新を拒否される、値上げを要求されるケースが増えています。
  • 年間予算規模300万円程度の小規模マンションの管理組合が、相手をしてもらえるのは、マンション管理部門の売上40億円以下の中堅以下の管理会社でした。
  • 管理委託契約書に基いて依頼して都度、確認しながら丁寧に依頼すると良い関係になります。

以上

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