~「マンションの管理適正化・再生の円滑化のために期待される専門家の役割」2022年11月1日シンポジウムより考える~

東京弁護士会と東京都不動産鑑定士協会との共同開催のシンポジウムが2021年11月1日に開催されて、マンション管理適正化法とマンション建替円滑化法の改正と来年4月1日までの施行について、国交省住宅局(マンション・賃貸住宅担当)矢吹周平参事官ほか、東京弁護士会の奥島健二弁護士、東京都不動産鑑定士協会の服部毅理事、旭化成不動産レジデンス株式会社 旭化成マンション建替え研究所 大木祐悟副所長によるシンポジウムが開催されました。 

なおマンション管理適正化法改正によるマンション管理適正化推進計画制度 は、一般社団法人 マンション管理業協会のマンション管理適正評価制度とは別物ですのでご注意ください。何故、同じような名前で紛らわしい制度が2つ出来たのかは謎です。途中で決裂したのでしょうか?よくわかりません。

国交省からは参事官が登壇して国交省のマンション管理の方針を説明して、主にマンション建替・除却についての建替事業者の進め方と区分所有者が直面する課題、弁護士、鑑定士の役割などの討論されました。

シンポジウム「マンションの管理適正化・再生の円滑化のために期待される専門家の役割

動画中継、配信もあり、今後のマンション適正化法改正と、管理適正化推進計画制度、マンション建替え円滑化法の改正について網羅されておりわかりやすい内容でした。

建替決議については、議決権、区分所有者の4/5以上の賛成が必要で、除却・敷地売却決議については行政による要除却認定が必要なうえ、議決権、区分所有者、敷地利用権の4/5以上の賛成が必要とハードルは高いです。民法の共有の考え方では、全員合意が必要であることに比べれば敷居は下がるのですが、合意形成に工数と時間がかかるのが区分所有者にとっての課題です。

まとめるとともに自分の意見を書きます。

マンション管理適正化法とマンション建替円滑化法の改正について(矢吹参事官)

2030年には築40年越えのマンションが231万戸になる。修繕積立金不足で管理不全、スラムマンション化の懸念される。

建替えの事例は積みあがってきてはいるが、建替前、後での容積率の比率が小さくなってきて、区分所有者の持ち出しが大きくなっている。

こんな背景から、建替が区分所有者の負担が大きく容易でないことから、高経年マンションの長寿命化を促すマンション管理適正化推進計画制度を施行する。国の基本方針に基づいて市区が計画をつくり、良いマンションには認定(5年毎の更新)を行う、悪いマンションには、指導・助言を行うことで、マンション管理水準を底上げする。認定を受けるためのインセンティブも用意すべく2022年4月1日施行に向けて準備している。

マンション建替の推進、あるいは、他の用途に転用する、或いは他の事業者が買い取ってマンションを建替るための除却についても、マンション建替円滑化法の改正準備を進めている。

建替が進まない理由は容積率に余裕がないため、区分所有者の持ち出しが大きくなっていることが原因の一つであるため一定の要件を満たす建物には容積率の緩和の特例を拡充する。また、除却についても認定が受けやすくなるように緩和する。団地型に関しては、団地全部ではなくても街区ごとに建替・除却がすすむように団地分割制度を創設する。マンションの除却認定の拡充は2021年12月20日施行で、団地分割制度については、2022年4月1日に施工予定。

マンション管理計画認定制度について

表の左側が助言・指導・勧告を受けるケース、右側が管理計画認定基準(管理良好であるという意味)

専有部5,000m2以下のマンションでは、5,000m2以下の修繕積立金の下限値の235円/m2まで修繕積立金を上げないと認定は受けられない(動画の41分から説明あり)。

任意の制度であるため推進するためのインセンティブを与えるために、例えば中古で売却するときに、購入者がフラット35の金利が下げられるような仕組みなどを考えており、関係各位と調整中である。

認定は、自治体の管理計画に基づいて実施するが自治体にもリソースがないため、マンション管理士の事前確認適合通知を受けて、市区で認定する仕組みにする(なお、マンション管理適正化法施行は、2022年4月1日であるが、あくまで市区による実施であるため開始時期は異なる)。

マンション建替円滑化法改正、容積率緩和、除却認定、団地制度について

容積率の余裕がないマンションの建替えが増えており、区分所有者の持ち出し負担の割合が1,100万円と近年は高くなって、建替えのハードルが上がっているのが課題になっている。

建替推進のための容積率緩和の適用が受けられるマンションとして、1)耐震性の不足のみであったが今回の改正で、2)火災に対する安全性の不足、3)外壁の剥落による危害を生ずるおそれのあるもの4)給排水管の腐食等により著しく衛生上の有害となるおそれ、5)バリアフリー基準への不適合が認定されると、容積率特例緩和が適用されるように改正。危ないので建替えを後押しするという意味です。

敷地売却事業の要除却認定ついても1)耐震性の不足に加えて、2)火災に対する安全性の不足、3)外壁の剥落による危害を生ずるおそれのあるものについて、 容積率特例緩和が拡充される。 危ないので敷居売却を後押しするという意味です。

団地型マンションについては、全棟合意が難しい場合は、一部街区だけの事業化が可能な団地分割制度が施行される。
これによって団地全体の合意ではなく、一街区だけの合意で建替えや除却がすすめられるようになる。

マンション管理適正化の推進に向けた地方公共団体の取り組みについて 奥島弁護士

国のマンション管理適正化推進計画制度の施行に先立って、既に条例をつくっている区市の取り組みを紹介

マンション管理適正化推進計画を準備状況について政令指定都市、東京23区は前向きに検討

既に管理適正化計画を進めている福岡市は、長期修繕計画の作成については、既に87%のマンションが準備済であるが90%まで引き上げるという目標、災害対策を実施している管理組合は59.3%あるが70%に上げると具体的な目標数値まで準備している。仙台市は、自主防災組織を結成している管理組合の割合向上を目指している。ただし両自治体とも現時点では案として検討している段階。

マンション敷地売却制度における鑑定評価上の留意点 服部理事

建替制度では不動産鑑定士の出番はないが、敷地売却制度の拡充と団地分割制度によって鑑定士の仕事が増えるため、鑑定士がマンション敷地売却の過程で果たせる役割の説明

建替えと異なり、敷地売却では、売却益を区分所有者に分配することになるため、適正な分配金の算定が必要で、公的な資格を持った不動産鑑定士の役割がある。

敷地売却決議にあたり買受人指名、売却見込み額、分配金の算出方法が必要。議決権・区分所有権・敷地利用権の各4/5以上の賛成で議決後に、賛成しない区分所有者からは区分所有権と敷地利用権の時価による売渡し請求を行い、敷地売却組合で、分配金取得計画を作成して決議、行政から認可を受ける。
区分所有者は区分所有権と敷地利用権を失い組合に集約され、買受人にマンションを売却して組合員に分配金が渡されて、組合は解散する。

売却見込み額は更地価格から建物取り壊し費用を引いた額が目安になるが、更地価格には容積率が緩和されることも考慮される。不動産鑑定士の役割。分配金の計算方法について区分所有者の利害が関わるため難しい。

パネルディスカッション建替え決議について 旭化成不動産レジデンス 大木副所長

旭化成不動産レジデンス株式会社 大木副所長による建替えの流れについて説明。建替決議に反対する区分所有者には催告後に売渡請求権を行使できるが、到達と同時に売買契約が成立するとされている。訴訟になるケースもある。

土屋弁護士)建替えは訴訟リスクが多いとの説明ですが、どのあたりが論点になりますか?

大木副所長)建替え決議までの手続きに不備があったという主張、または、売渡請求の催告が届いていないという主張などで争われる。

服部鑑定士) 事業費の中の取壊費用はどう分担されるか?

大木副所長) 市場で建替えたマンションを売却したときの価格から事業費(取壊費、建設費)を引いたもので事業費になる。配分については、区分所有者の敷地持ち分割合で決めるか、敷地持ち分割合で決めるか、専有部の効用も考慮して価値をきめるのか区分所有者が合意できる方法で決める。

服部鑑定士) いつ事業者は建替案件に参加しますか?

大木副所長) コンサルタントが建替えか修繕か下準備をした後に事業者として入るか、最初からコンサルティング業務から事業者として入るケースもある。

服部鑑定士) 鑑定士の役割は?

大木副所長) 区分所有者の資産、従前資産評価をどう考えるか?評価配分をどうするか、第三者である不動産鑑定士の説明を受けながら合意形成するケースが多い。建替決議に反対した区分所有者に売り渡し請求する際も、区分所有権の評価価格も論点になる。不動産鑑定士の評価や合理的説明が有効。

土屋弁護士) 建替えに反対するケースはどんな場合ですか?

大木副所長) 建物の劣化が進んでもまだまだ住めると考える人がいるということ。人間関係のトラブルが訴訟になるケース。替えを推進する理事長が、反対を受けて、理事長を降りて人間関係が悪くなり訴訟につながる

管理組合の活動が活発な関心が高い人が集まっている組合はうまくいくケースが多い。

組合活動が活発でない管理組合には、時には建替推進にはリーダーの腕力が必要ですが、時にはその腕力が軋轢をうみ人間関係が悪くなり訴訟にいたるケースがあることもあります。

服部鑑定士) 円滑化法で、土地及び建物の評価について特別な見識を有する者が審査委員を3人以上選定することになりますが、必要となりますが、どんな資格者が選ばれますか?

大木副所長) 審査委員の3人は 弁護士(or司法書士)、税理士、鑑定士(or再開発プランナー)が選ばれることが多い。

服部鑑定士) お願いする鑑定士は同じ先生になりますか?鑑定士でも精通している人は少ないと考えている。

大木副所長) ある程度決まった先生にお願いしている。しかしいろんな先生に頼みたいと考えている。

土屋弁護士) 建替えの傾向は?今後の事案の予測は?

大木副所長) 容積率の余剰がないマンションが多い。区分所有者の費用負担が多くなっている。しかし物理的にこれ以上使えないという時期がいずれ来るわけで、その意味で、容積率の緩和を受けて除却を選択するケースや、隣接地とともに再開発するケースが増えると予想する。または、これまではデベロッパーありきの案件が多かったが、これからはマンション管理組合の自主建替えの枠組みも必要になると予想されている。

大木副所長) 2014年の(マンション建替円滑化法で耐震強度不足のマンションに除却認定や容積率が緩和される)マンション建替型総合制度が出来て、どの程度利用実績があるのでしょうか?

矢吹参事官)2021年4月時点で、要除却認定は26件でそのうち建替6件。要除却認定が耐震性不足以外に、火災に対する安全性、外壁剥落も要件に追加されるのでこれから増えて行くと思われる。

大木副所長) 自主建替えについての国の取り組みは?

A)容積率に余裕がなく事業が組めないというパターンがデベロッパーのモチベーションが低い案件では自主建替え使いやすくするようなガイドラインを強化するなど取り組みも必要になってくると考えている。

パネルディスカッション敷地売却制度について  旭化成不動産レジデンス 大木副所長

右から、区分所有法と民法による建替え、中央がマンション建替円滑化法による建替え、左が、2014年に創設されたマンション敷地売却制度による方法。
敷地売却制度は、一気通貫での制度になっている。分配金計画については、賃借人については補償金の支払い、抵当権がある専有部に対しては、分配金を物上代位して供託に入れて(後日担保を弁済する資金にする)など決まられている。

今後は、除却認定が拡充されるため、マンション敷地売却事業の事例が増えると考えている。

服部鑑定士) 敷地の持ち分割合か、階層別(位置別)効用費まで考慮する場合とどちらが多いですか?

大木副所長)ケースバイケース。そもそも壊すべき建物を考慮すべきかと言う考え方では、敷地の持ち分割合が採用される。古いマンションでも上層階と下層階で明らかに売買価格が違うケースでは、階層別効用費を配慮するケースもある。最終的に、4/5の区分所有者が納得する方法で決めているのが実態。

階層別の効用といっても階段型中低層マンションでは上層階の評価が高いわけではない。不動産鑑定士に早めに入ってもらって区分所有者に合理的説明をしてもらうことが重要。

服部鑑定士 )修繕、建替と敷地売却どうやって判断するのか?どこの段階で判断するのか?

大木副所長) 明らかに売却しかないというマンションはないと思う。熊本地震で傾いたマンション、解体にはお金がかかることがわかった。建替えで補助金がでることがわかり建替えになったケースもある。並行しての検討になる。

矢吹参事官)管理組合がワークしていることが大事。認定制度においても管理組合が機能していることを要件にした。管理組合が修繕・建替・売却する上での判断する役割を果たす。

服部鑑定士 ) 建替えより除却が選択されるのはどのような物件なのか?

大木副所長) 建替えたものでもマンションより、オフィス・ホテルに変えたほうが良かったという場所もある。4-50年前の都心部の投資マンション15m2などの極小ワンルームもあるが現在は条例で禁止されている物件は建替え実現できない。

建替が実現できないのは建替えにあたり容積率に余剰容積がない場合や、高齢者がたくさんいる2年以上工期がかかる案件などもある。

このようなマンションでは敷地売却の方がマンション終活として適正と考えられる。

矢吹参事官) マンション敷地売却後の土地利用は、国交省が把握している10件のうち5件はマンションその他の5件、オフィス、賃貸マンションとして利用、再開発用地、戸建てなど様々ある。

大木副所長) これからも敷地売却の事例は増えて行くし進化していくものだろうと思われる。郊外では、戸建てになるケースは、人口縮小している中では考えられる。

服部鑑定士 ) 団地の敷地分割は、団地分割制度、団地と分割。分割は、最有効使用がマンションになる。それぞれのケースをどう考えるのか?

大木副所長) 1000戸、2000戸の巨大団地。建替え出来た団地600戸が最大。2000戸の団地、一括して建替えは難しい。棟によって意向が違う。駅徒歩3分から、20分のところでは価値が違う。

鑑定士のアドバイスで、合意形成できることが重要。建替えマンション200戸以上のところが多い。コンセンサスをとっていくことが大事。

土屋弁護士) 団地は神奈川県でいろいろ相談を受けている。時系列で分譲している団地は、最初の棟が大規模修繕しているころには、新しい街区で新築をしている団地があったりする。一団地としては扱えない。タワーマンションが高経年化すると、さらに難しくなる。

大木副所長) 郊外にある団地では、余剰容積があっても、人口減少している中で1000戸の団地を、3000戸にして良いのか?という問題もある。タワーマンションは、建物強固。構造的に強い。100年、200年使うべきだと考えている。長く使ってその間に解が見つけていくことになるかと。

矢吹参事官) タワーマンションの管理費は平準化されている。管理組合が機能することで大事。団地は難しい。敷地の分割を用意した。団地については、いろんな事例を積み上げて、考えていく必要がある。

合意形成は簡単ではない。区分所有者に公平公正なルール、マニュアルを含めて準備していく。専門家は、区分所有者が納得感、安心感、意思決定できる情報を提供していくことが大事であると考える。

感想と意見

国交省の矢吹参事官の口から、マンション管理組合の活動が、修繕・建替・除却売却、いずれの選択をするにしても管理組合が機能していることが大事と繰り返し言っていることに好感を持ちました。当たり前のことですが、繰り返してくれると安心します。

2016年の標準管理規約改正で、利益相反行為の防止を規約に加えて管理会社による第三者管理者方式には否定的であったのですが、第三者管理者方式についての言及はなく、国交省が表向きは変わっていないことに安堵しました。

しかし管理計画認定制度については、専有部面積5,000m2以下のマンションについて、最低限、専有部面積235円/m2以上でなければ認定しないような発言はどうかと思いました。管理会社関係者やデベロッパーからの影響が強いかと感じました。

修繕積立金は共用部の設備仕様と、管理組合の活動次第で、大きく変わるので認定について、一律に数字を決めるのはどうかと思いました。

建替容積率要件、除却認定の拡充と団地分割制度による除却の推進ついては、時代の要請に併せた的確な方針だと感じました。しかし、そもそも大きな方針を決めるにあたって、国交省住宅局(マンション・賃貸住宅担当)の判断では出来ないかもしれないが、人口減少に向かっている認識と、その上で土地利用の最適化すべきであることについて方針を示してもらいたかったです。

旭化成不動産レジデンスサービスからも紹介がありましたが建替え実績の中で、マンションに建替えるよりも商業ビル、ホテルに建て替えたほうが資産価値はあがったはずという事例が紹介されました。

日本の競争力維持のため、土地利用の指針について、国・自治体が関与して全体最適を考えた最適な土地利用に誘導しても良いのではないかと感じました。

そして団地分割制度は、もっと大きな問題だと感じました。果たして団地の中の街区の合意形成をその街区のまちづくりを区分所有者で決めて良いのでしょうか?そもそも分譲団地の土地は大きく、周囲への影響は大きいです。

都市計画家、都市プランナーが行政とともに、人口減少のまちづくりの方針を建替・除却を希望する住民と周囲の住民からの合意を得ながら計画すべきだと考えます。

もともと日本住宅公団など(現UR)から分譲された団地の土地は、公有地から分けてもらったともいえるもので、50年なり、60年なりが経過して人口減少している日本にふさわしい土地利用が団地の再生とは言えないと考えます。公園にすることや公共施設にすることが望ましい場合もあるでしょう。

20年後の2040年には、1億1千万人台まで、人口が減少することが見えている中で、国土交通省住宅局は、新築住宅の総量規制もすべきです。既存住宅の建替えにも、区分所有者の意向だけではなく行政の指針が必要でしょう。

民法・区分所有法を下に、個人の所有権を尊重した区分所有という形での分譲マンションは、建替・除却に至っては合意形成では手に負えない面があります。

旭化成不動産レジデンスの大木副所長と矢吹参事官のやりとりにもありましたが、デベロッパーも手に負えないので自主建替えを促進する必要があるという話がありました。

4/5以上の合意形成を得るために、管理組合はどれだけの工数を投じなければならないのか、売り渡し請求をするための資金を用意しないといけないわけで、大きなリスクを伴う事業になります。現行の法制度でデベロッパーが関与する建替えも、10年など長い期間になる場合もあるのに、自主建替えは可能とは思えません。

第三者管理は悪手であり、双方代理について倫理と利益追求のバランスを管理会社に委ねるのはリスクが高過ぎます。定期借地権付きマンションでもない区分所有でもない、建替え時にデベロッパーが責任をもって関与するような新しい提供形態を可能とする枠組みが必要ではないでしょうか

40-50年して、100年マンションが200万戸、300万戸と増えて行く中では、建替・除却の合意形成が行き止まりになるマンションが出てくると予想します。立地によっては資産価値が落ちて、区分所有者は売却も出来なくなるようなことも考えられます。

第三者管理者方式で小規模・築古の管理を受託している管理会社は、空室が増えてきて滞納が多数発生する場合はどう対応するのでしょうか?建替・売却まで責任をもって面倒を見てくれる覚悟があるなら、100歩譲って管理会社による第三者管理者方式も認めるにしても、現実には関与できず管理委託契約から手を引くでしょう。その後の管理組合はもはや廃人です。

管理計画認定制度や、建替容積率や除却認定要件の緩和、団地分割制度などは、今の方向にはあっていますが、タワマンなどマンションの巨大化がすすみ合意形成のハードルはますます高く、区分所有法を見直すような新しい提供形態を考えるべき時期なのかと感じました。建替・除却に関しては土地の最適利用を考える立場の行政がより関与すべきではないかという2つが私の意見です。

まとめ

  • 東京弁護士会と東京都不動産鑑定士協会との共同開催のシンポジウムが2021年11月1日に開催されて、国交省住宅局(マンション・賃貸住宅担当)、弁護士会、不動産鑑定士、デベロッパーである旭化成不動産レジデンスが、「マンションの管理適正化・再生の円滑化のために期待される専門家の役割」について討論しました。
  • 国交省は、マンション管理適正化法を改正して、マンション管理に自治体を関与させる管理計画認定制度を、区分所有者に売却時に購入者がローンを組みやすくなるフラット35の金利が下げるインセンティブを与えるなど旗振りが2022年4月から施行されます。
  • マンション建替え時の容積率緩和の要件と、除却認定の要件が拡充されて、高経年化したマンションへの検討が進みやすくなるようにマンション建替え円滑化法が改正されて12月及び2022年4月から施行されます。
  • それに伴い弁護士、不動産鑑定士の役割は広がります。区分所有者の合意形成は大変であることには変わりません。

以上

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