2021年9月28日に国交省が、マンション修繕積立金ガイドラインと長期修繕計画ガイドラインについて見直ししました。
国交省は「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」は2011年4月のから10年ぶりに更新して「修繕積立金の額の目安」を大幅に引きあげました。
「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の2011年4月では、専有部5,000m2以下のマンションの平均は218円/m2、今回の改正では、平均335円/m2(下限値235円/m2、上限値430円/m2)と約1.5倍になりました。
詳しくはこちらのブログ
国交省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の見直しについて
マンション管理適正化法に改正により2022年4月1日から施行の「マンション管理適正化推進計画制度」(市区によって開始時期は異なります)について、国交省住宅局(マンション・賃貸住宅担当)の参事官は、中古で売却するときに、購入者がフラット35の金利が下げられるような仕組みを検討していると考えていると言及した上で、専有部5,000m2以下のマンションでは、最低限235円/m2まで修繕積立金を上げないと認定は受けられないと説明しています。
詳しくは、こちらのブログ
マンションの長寿命化、建替え・売却 法律はどう変わるの?
しかし慌てては行けません。
使い方は、下記の動画で解説していますが、このブログで改めて説明します。
マンション管理組合目線で作成した長期修繕計画チェックシートをメルアド登録で公開します。マンション管理会社の勤務の方もダウンロードしてお客様の管理組合の修繕積立金の検証に役立ててくだされば幸いです。ZIPですが、回答するとエクセル(VBAの機能で棒グラフの軸をそろえる機能つき)です。
セルに入れた関数や、グラフの縦軸を併せるVBAもパスワード入れていません。もし、改良をした方が良い点がありましたら、フィードバックを頂けるとありがたいです。
なお、長期修繕計画は管理委託料に含まれていません。作成は管理会社に見積もり依頼して有料でお願いしましょう。
長期修繕計画とは
通常30年間の必要な推定修繕工事費の支出を合計したものと、修繕積立金収入の30年分の合計の収支を表したものです。
推定修繕工事費合計 < 修繕積立金合計
である必要があります。
推定修繕工事費 の折れ線グラフ(オレンジ)と、修繕積立金の定額積立(253円/m2(青)の場合と、286円/m2(ピンク)の場合)、286円のピンクの線でないと黒字にならないという説明を国交省は記載例で説明していますが実は大きなチョンボがあります。
修繕積立金とは
修繕積立金は、30年先までを見越してマンションに必要な修繕(推定修繕工事)をするための組合員に課せられる月額支払金(義務)のことです。定額積立方式と段階増額方式がありますが、このブログでは、定額積立方式を前提に説明します。
国交省では、修繕積立金のガイドラインを2021年9月に見直ししており、大幅に値上げしました。
しかし、慌てる必要はありません。マンション毎に設備が違うためそれぞれ長期修繕計画を検証する必要があります。
長期修繕計画チェックシートとは
マンション管理組合目線で作成した長期修繕計画を検証するために作成したエクセルシートです。
大きな間違いをしていないかチェックすることが出来ます。
- 修繕積立金会計の内訳に、駐車場使用料収入の保守費を抜いた収入が組み込まれているか?
- 駐車場使用料収入は、機械式駐車場では最低稼働台数で、収入を見込んでいるか?
- 機械式駐車場収入で、機械式駐車場の部品交換及び、更新の費用をカバー出来ているか?
- 機械式駐車場の1台当たり修繕費がいくらになるか?
- 給排水設備の費用が十分に見込んでいるか?
- 大規模修繕工事の外溝と建具を除いた戸当たり、専有部m2当たりの平均額はいくらか?
- 大規模修繕工事の内訳、建具以外で極端に大きな支出がないか?
- 必要な修繕積立金はいくらになるか?
などをA4の1枚のサイズで見ることが出来ます。
マンション基本情報の入力(左上部分)
エクセルの青のセルに長期修繕計画、管理規約、最新の総会の決算資料から得られる専用使用料収入と修繕積立金収入を入力ください。
機械式駐車場利用料から3か月1回の保守費費用を抜いた金額が、一般会計(管理費会計)に組み入れられている場合は、一般会計から機械式駐車場利用料を引いて赤字にならないか確認しましょう。
機械式駐車場については、最低稼働台数分で計算される収入から、機械式駐車場の月額の保守費を差し引いたものを修繕積立金に繰り入れます。平置き駐車場は全額修繕積立金に繰り入れます。
専用使用料収入と修繕積立金収入 と駐車場利用料収入が、年間修繕積立金収入として計算されます。
標準管理規約通りに、駐車場利用料収入は長期修繕計画に繰り入れられるべきで、機械式駐車場の修繕費と対比すべきです。
長期修繕計画基本情報の入力(右上)
計画期間(通常30年)の項目別の推定修繕工事費を長期修繕計画基本情報(右上)に入力していきます。仮説と、屋上防水・床防水・外壁塗装等・鉄部塗装等・建具金物等・共用内部は、大規模修繕工事としてまとめて合計額を入力します。
その他の項目は、別々に入力します。標準項目以外に長期修繕計画に含まれるものがあれば、その他(M,N,O)に入力します。
給水設備、排水設備については低く見積もられている例を見受けます。配管についてはライニングによる更生工事なのか、更新工事なのか確認しましょう。
貯水槽方式の場合は、直結給水方式への切替をして保守費を下げて、修繕積立金に繰り入れることなども考えられます。長期修繕計画を作成した管理会社さんからヒアリングしましょう。
機械式駐車場の修繕費は、右上に算出されます。図8の国交省の 修繕積立金ガイドライン と比較してみましょう。
収入支出それぞれのグラフの縦軸を併せて比較しましょう
「グラフの縦軸をそろえる」ボタンで、1年あたりの現在の修繕積立金収入と年間推定工事の縦軸がそろうので比較しやすくなります。
機械式駐車場収入と機械式駐車場修繕費の関係がわかります。収入>修繕費でないと、長期修繕計画を食いつぶしていることになります。
大規模修繕工事費の入力(右下)
通常、30年の長期修繕計画の2回の大規模修繕費が含まれています。このうちの1回分を項目別に入力します。
建具・金物類と、外溝は同時期を除き、ファミリータイプであれば税込み金額で1世帯110万円程度が目安です。
建具・金物類は、37、8年目に入れると大規模修繕工事費が大きく膨れますが、実際にはこの時期に窓・サッシの交換(通常はカバー工法)は不要で、50年目以降に入れることを検討しても良いでしょう。
必要な専有部だけ通常の損耗による劣化という扱いになるため、標準管理規約通りに専有部の負担で戸車の調整や交換などを大規模修繕工事のタイミングで実施するのが望ましいです。 戸車の調整や交換 であれば、カバー工法のような大きな負担にはならずに延命が可能です。
必要な修繕積立金の入力
長期修繕計画策定の期初の貯金を入力すると、必要な修繕積立金が計算されます。
30年目に、修繕積立金が0円になるミニマムの金額が計算されます。その後の修繕工事を考えるのであれば、余裕を持たせた金額設定にするべきです。チェックシートでは最低限の金額を計算します。
長期修繕計画チェックシートにより、修繕積立金の値上げが必要か検証できましたでしょうか?
大幅に金額が修繕積立金が上がってしまう場合は、一つ一つ推定修繕費を詰めていく必要がありますが、今後セミナー等でご説明する機会を持ちたいと思います。
まとめ
- 「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」は2011年4月のから10年ぶりに更新して「修繕積立金の額の目安」を大幅にあげました。
- とくに、延べ床面積5,000m2以下の中小規模マンションは、+53%、占有部平米あたり218円が、335円ととてつもない上昇率ですが、現在の長期修繕計画を元に、ご自身のマンションの修繕積立金が妥当か検証すべきです。
- 長期修繕計画チェックシートにより、修繕積立金の検証に利用ください。
- 長期修繕計画チェックシートの考え方に疑問やご意見がある場合は、コンタクトフォームから連絡ください。
以上
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