マンション標準管理規約のパブリックコメントは、2021年5月20日まで行っており、その後、6月22日、正式版として公開されました。専有部配管については、21条の2のコメントが改正されました。その内容を以下のブログで解説しています。よろしければこちらのブログもご覧ください。

オンライン総会、敷地売却決議ほかマンション標準管理規約(単棟型) (2021年6月22日)の改正

床下専有部配管はだれのものでしょうか?標準管理規約によれば、マンションのキッチン、お風呂、洗面台、洗濯機、トイレなどに使われている給水管、給湯管、排水管、汚水管などの横引き配管は、通常は下の階との間のコンクリートの上とフロアーの間の10~15㎝の間を通っていて専有部です。つまり専有部の所有物です。

しかし、床をはがすようなフルリノベーションをしない限りは通常は床下配管の交換は専有部ではしません。配管から漏水したらだれに迷惑がかかるかというと下の階の人に迷惑がかかります。

そして給水管・排水管の工事を実施する場合は、配管工事費だけではなくて内装工事にもお金がかかり、専有部一部屋当たり、数十万円から100万円近くと、大規模修繕工事並みの支出になる場合もあります。

専有部配管を修繕積立金で一斉交換しよう

国交省で行われているマンション管理の新制度の施行に関する検討会で、標準管理規約が見直し第21条のコメントの意味を深堀してみます。

マンション管理組合目線作成の築古マンション専有部配管の一斉更新のための標準管規約改正案についてのブログ(2021年11月更新ブログ)です。

専有部配管に修繕積立金を充てることは、管理組合の合意形成が得られれば可能ですが、簡単ではありません。そもそも専有部であること、既に自費でリノベした部屋があると、その部屋に対して修繕積立金を補償をどう考えるか、高額であるが一般的には長期修繕計画には含まれていないためその費用が修繕積立金に見込まれていない事などがあり、これらの変更を管理規約に反映させる必要があることなどがあげられます。標準管理規約21条(敷地及び共用部分等の管理)、28条(修繕積立金)の改正案、修繕積立金による専有部配管一斉更新細則案を作成しました。

築古マンション専有部配管の一斉更新のための標準規約改正案

ある管理組合理事会での議論

ある管理組合での議論です。

A「専有部の工事をなぜ組合の予算で工事をするのだ?」

B「老朽化して漏水した場合は下の階に被害がでる。各自、いつまでに個人で交換してくれと言われても、業者探しも依頼の仕方も費用もわからないし強要することも出来ない。長期修繕計画を見直したところ、現在の修繕積立金で工事は実施できる見込み」

A「自分は少なくても専有部の工事は自分で仕様を決めて自分のペースでやりたい。長期修繕積立金に余裕があるならば修繕積立金を下げて、各自で貯金して工事すべきである。もし組合で工事すべきなら、管理規約を変更の手続きをすべきだ。劣化診断調査も専有部で実施するなら組合の予算をつかうべきではない。もし工事に不備があり工事後に漏水したら、専有部でも組合負担で修理してもらえるのか?」

このようなやりとりが実際に行われて、専有部の配管を使っての劣化診断調査についても予算取りが出来ずに終わってしまいました。

個人の所有物を、組合の予算で手を付けることが問題

このお話を聞いて、国交省のマンション管理の新制度の施行に関する検討会では、標準管理規約で第21条のコメント変更案の意味をより深く考えてみました。

「専有部分の配管の取替えを単独で行うよりも費用が軽減される場合には、これらについて一体的に工事を行うことも考えられる。その場合には、あらかじめ長期修繕計画において専有部分の配管の取替えについて記載し、その工事費用を修繕積立金から拠出することについて規約に規定するとともに、先行して工事を行った区分所有者への補償の有無等についても十分留意することが必要である。」

先行して工事をした人に対しての補償の有無の検討は、意味がわかります。修繕積立金をつかった工事を実施するのに自分の部屋には使われないのでは不平等になるから、補償してほしいという気持ちは理解できます。

何故、規約を変える必要があるのか?専有部の工事を管理組合の修繕積立金で実施するということが管理規約の原則から外れるので、規約変更の例外として、3/4以上の議決権の賛成も得て進める必要があると国交省は考えたようです。

標準管理規約の修正案

マンション修繕コスト削減士の私案は、築古マンション専有部配管の一斉更新のための標準規約改正案にまとめています。

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