何故リーズナブルな見積もりがもらえないのか?

給水設備の更新工事を考えているマンション管理組合の元理事さんから相談を受けました。

管理会社の見積が高いように見えるが判断できない、貯水槽更新が良いか直結増 圧方式への切替が良いか、決めかねているうちに、貯水槽パッキンから少しずつ水が漏れ始めたため臨時総会を開催して方針を決める予定だそうです。

外部の給水設備会社に見積もりを依頼したけど、管理会社の見積と差がない。高いように思える、何故だろう?というような相談でした。

私はプラントエンジニア時代は見積もりをもらう側、ソフトウエアの営業時代は、OEM先に見積もりを出す側で価格交渉をうける経験をしており、購入側、販売側の両面の心理をよく理解しています。

見積もりを出すベンダーさん(工事会社)側の心理になって考えてみます。

管理組合の人間が、素人だから?そうではありません。

理由は、確度が低いと判断される案件に、労力をつぎ込んでシビアな見積もりを 出したくないからです。

マンション管理組合向け案件で、ベンダーが確度が低いと判断する原因は?

ここからは一般論です。

仕様、工事範囲が決まっていない。


・水道本管の取出口がココ、マンション内接続先がココ、増圧ポンプはココにお くなど、基本的なことがきまっていない。
(マンション管理組合のメンバーでも決められることです。)

・配管の材質と口径、HIVP(耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管)?、SUS(ステン レス)にするか?口径は40㎜or50mm(接続先の主配管サイズになります)

・パターン1、パターン2、パターン3のように複数の見積要求がある。

あいまいな依頼だとお互いの認識が異なり「追加工事が発生」したときに、認識 の違いを認めてもらえずに、必要な追加見積を払ってもらえないリスクがありま す。フロントに立つ営業は追加工事の「とりっぱぐれ」を恐れます。マージンを 残しておきたいと考えるのです。

またパターンわけが多すぎるのは、決まっていない証拠ととられます。それぞれ の見積には工数がかかります。なるべく絞り込んでもらいたい、いう心理があり ます。複数出す場合は、後日変わる可能性もあると思うと、マージンを残してお こうと考えるものです。

当たり前ですが、営業は受注だけではなく、最後にきちんと適正な利益が出たか も問われます。未定・想定が多い案件でシビアな見積もりは出さないのです。

仕事が取れない営業を社長は評価しません。
トラブルを起こす営業を社長は嫌います。

細かい仕様の話の前に、基本的なことは管理組合で決められます。どこを配管を 通せばお金がかかる土間工事が最小になるか、どこに増圧ポンプを置くのがメンテナンス性が良いか、美観上・動線上問題にならないかを管理組合で話を決めて合意をしておくのが良いです。

決裁権を持っていない、決裁権者と話が出来ていない

マンション管理組合の決裁権者は、マンション管理組合ですが、総会を招集して 議案を上程するのは理事長です。
給水方式を変える場合は、管理規約の特別決議に相当して3/4の議決数が必要で す。ハードルが高いのです。

依頼者が理事長でない場合は、理事長と理事会でよく議論して理事長の意向どお りに依頼して来ているかをベンダーの営業は見ています。

例えばある理事は、リーズナブルであれば、管理会社ではなく外部の会社に発注 したいとと考えていても、理事長が価格が高くても管理会社に依頼したいと考え ていたら、総会議案には、外部ベンダーの提案は採用されないわけです。

本当に理事長の意向を踏まえた依頼になっているか、ベンダーの営業は見ています。

メールでやり取りする場合は理事長をCCを入れると良いでしょう。

そして良い提案をしてくれれば、外部の会社に発注しますとはっきり営業に伝えることが大事ですし、その通りに実行しなければいけません。

絶対やってはいけないのが、管理会社に工事発注することが決まっているのに当て馬として外部ベンダーへの見積もり依頼です

これは、ベンダーから嫌われます。お互いが無駄な工数になります。

そのような体質の管理組合は、最初から管理会社の高い工事を受け入れればよいのです。

発注時期が見えない

いつ総会決議して、いつ注文がもらえるのか?がはっきりしていないケース。

営業は、今期の決算期の売上に入るのか、それとも来季の売り上げなのかも気にしています。さらに、いつ職人を確保すればよいのか?なども気にしています。

発注時期は決まっていませんが、全力の見積もりをください、というのも難しいものです。逆に、決算期に納期が間に合う案件であれば営業の手柄になるので、 少し利益をけずってでも受注しようと努力するケースもあります。

以上、1決まっていない、2決裁権者ではない、3発注時期が見えない

などの状況ですと、確度が低いと判断される案件と判断されてリーズナブルは見 積もりがもらえません。

これらを考えて交渉すると良い見積もりがもらえるでしょう。

また、業種や時期によって売り手市場か、買い手市場かも変わってきます。

マンション管理でいえば、大規模修繕工事な建築系は、ベンダーも数多くこなれており買い手市場です。逆に給水工事は、都や市の水道局の指定業者しか工事が出来ないこともあり、参入障壁があります。公の工事も多いことから民間の仕事に対してやや売り手市場の傾向にあります。給水工事会社は、社員数20人以下の 中小企業も多いのも特徴で、小回りが効く場合もあれば、社長判断で利益がすくない案件と判断したら深追いしな い場合もあります。

最後に、本気でコストを下げたいのならば、複数社から見積もりを取って競争の 原理を働かせることですが、労力はかかります。
効率よく複数社から見積もりをとるためには、仕様書を作成するという作業が必要になります。

このあたりのノウハウは、書き出すときりがないので、今日はこのあたりにして おきます。

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ではまた。明日からの週の後半頑張っていきましょう。

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