管理会社からの値上げ要請を受け入れるべきか、否か、紛糾している管理組合さんはありますか?
2021年からは管理会社による第三者管理者方式も表に出てくるようになり、管理会社による第三者管理者方式に切り替えることを提案されている管理組合もあるでしょう。
このブログでは、この二つの動画をテキストでまとめたものです。
2022年、感染症対策を重視したオンライン管理組合運営も踏まえて、1年後に後悔しない管理会社の変更手順については、こちらの動画にまとめました。
管理組合数あたりの売上に注目した管理会社の選び方についてまとめています。
目次
2021年からの管理会社からの管理委託料値上げや契約辞退の背景
2018年ごろから、管理会社が管理委託料の値上げ要請することはありましたが、2021年から、メディアが煽り気味なところもありますが、管理委託料の値上げや、継続拒否についての報道が目に付くようになりました。
一つの大きな理由は、最低賃金が、東京都を例にすると、時給850円から1041円まで22%まで上がっている点が大きいです。
管理委託業務は、管理員業務、清掃業務、設備点検業務と、人が行う作業がほとんどです。AI管理員など、人の代替のAIやロボティクスの可能性も出て来ていますが、まだ時間かかるように思います。
これらの業務は、以下の計算式で時給計算してみましょう。
管理委託料のうち管理員費用が100,000円/月だとして、平日週5日間で1日3時間くる契約だとします。
管理員の時給単価 = 100,000円/月 ÷ (4.2週/月 x 5日/週 x 3時間) = 1,587円/時間
となります。1041円以上は、管理員さんの給料として支払われていますが、それ以外にも交通費、社会保険料の会社負担分、管理会社の利益も含まれますので、このような価格設定となります。
最低賃金+αで雇われている管理員さんのお仕事も大変です。マンション区分所有者には、管理員さんに、むちゃを言う人もいますので、決して簡単な仕事ではありません。
他にも、清掃業務や、各種点検業務も基本は人件費がかかるものなので、最低賃金の上昇に伴いアップしていると考えるべきなのです。
皆様の管理組合でも、管理委託契約書もご覧になっていただき、是非時給計算していただければと思います。
日本のGDPが横ばいなのにも関わらずに、最低賃金を上げ続けているのはなぜか、格差の是正という考え方が日本の常識、世界の常識になっているからという説明で十分でしょうか。
では、管理会社の管理委託料値上げを受け入れ続けるしかないのか?
管理会社からの値上げ要請、どうする?
管理費を上げない範囲で、管理委託料が払えるなら、あっさり受け入れている管理組合も多いかと思います。
しかし管理委託料が値上がりするということは、これは反対する人もいます。築古マンションでは、年金暮らしの方も多いはずです。余裕がない方からすると、1,000円、2,000円だとしても軽々しく決めるなという管理組合も多いでしょう。
築30年、30世帯以下でも断られない管理会社の選び方でも説明していますが、管理組合でできることを増やすことも考えると解決が見つかるかもしれません。
管理員や清掃員、管理組合の方に募集するのも良いかと思います。最低賃金以上、計算から得られる時給以下でやってくれる方がいたら、その部分は管理会社から切り離すことが出来ます。
保険会社も管理会社の提案通りではなく、保険金額を下げることや、管理会社以外の保険を検討することなども考えるべきでしょう。24時間ごみだしのために、週5日管理員に来てもらっているなら、24時間をあきらめて、週3日にするなど、コストダウンを検討しましょう。
これらの検討をしつくした上で、それでも現状のサービスを、管理会社を変えずに維持したいというならば管理費アップという選択になります。
このような機会に、管理組合活動に関心をもってもらう人を増やして、合意形成をしていければ良いでしょう。
小規模、築古でも断られない管理会社の探し方
マンション管理業協会のホームページの会員一覧から、管理会社の情報を検索して入手することができます。
管理戸数ランキングも年に一回、マンション管理新聞などで発表されますが、この管理戸数のランキングは、管理会社選考の参考には役に立ちません。
マンション管理部門の売上 ÷ 管理組合数
で計算される管理組合当たりのマンション管理部門の売上に注目して、この数字が現在の管理会社と変わらない又は、小さい会社に依頼すれば、提案してくれる可能性は高いです。
この数字が大きい会社は、自社ブランドの価値を保つために、親会社のデベロッパーから引き継いだ高級マンションの管理組合の満足度をあげる、資産価値を高めることに注力しています。
収益性の低い、築古小規模の管理組合の相手をして高級マンションの管理の質を下げるという選択はしないと考えられるでしょう。
管理組合当たりのマンション管理部門の売上が小さい会社で、管理レベルが高い会社はありますか?と問われることもあります。
全管理会社の実態を把握しているわけではないので何とも言えませんが、お安い会社は、人件費も安く必要なICT投資をしていないとか、フロント一人当たりの物件数が多すぎるとか、第三者管理者方式を過度に進めて、人件費を抑えて売上をアップさせているなど、なんらかの理由はあるでしょう。
10年前は、管理会社変更で管理委託料が下がり管理の質も上がったという管理組合の話も良く聞きました。
しかし、近年人件費が高騰、管理会社の利益が圧迫されている業界の中では、難しいかもしれません。
どんな管理会社の対応でも、不足する部分は管理組合が多少はカバーして、うまく運営していくことも考えてうまく進めて行きましょう。
いや、うまく進めて行かないと、2040年、人口が1,000-1,400万人減少したときに、選ばれるマンションでいるのは難しいと考えるべきでしょう。
管理会社変更の際のヒアリングポイント
この2年間ほど続いている新型コロナウイルスで、仕事の進め方、オンライン化が一気に加速しました。
2021年の6月に管理規約が改定されて、即時性、双方向性が担保されている前提でオンライン総会、オンライン理事会は可能となっていますが、規約変更しなくてもオンライン総会・理事会は可能と解釈されています。
オンライン総会・理事会について
詳しくはこちらの「オンライン総会、敷地売却決議ほかマンション標準管理規約(単棟型) (2021年6月22日)の改正」のブログを参照ください
この時代で、重視すべき管理会社の選びのポイントには、ICT化を上げました。
管理組合運営、参加してくれる人が少ないという根本的な問題はあるものので、難しいのは合意形成です。
書面だけでは話がまとまらないけど、感染症対策で集まれないから決められないというのも困ったものです。
建物や設備の劣化は待ってくれません、滞納者への督促や法的な対応を決めるにしても、書面だけでは難しいです。オンラインでの総会や理事会参加が出来ずに進まないというのでは、問題だと考えています。
ICT化への対応、最低でも管理組合がZoomのアカウントを用意したら、管理会社が参加できないというような会社はNGと考えます。
その他、後で後悔しないように、いくつかのポイントをあげました。
フロントマンの担当物件数、清掃員の指導体制、理事会での議案作成・議事録案作成、管理委託契約書の8条、10条、11条にある緊急時の対応、管理費の滞納者への対応、有害行為への中止要求対応など、具体的にどのように進めるか確認すると良いでしょう。
絶対に確認したほうが良いのは、大規模修繕工事の元請けをするか、しないか、設計書を作成してくれるか?について確認することをすすめます。
詳しくは「管理会社を変更する際は必ず大規模修繕工事の進め方を確認しよう」を動画で参照ください。
一年後、後悔しない管理会社の変更の参考にしていただければ幸いです。
資料のダウンロードは、こちらこらどうぞよろしくお願いします。
まとめ
- 近年の管理会社からの管理委託料値上げや契約辞退の背景には、格差是正のため最低賃金が上昇や社会保険費の会社負担分が広がったことなどが背景にあります。
- 管理会社からの値上げ要請には、マンション管理組合で出来ることを検討したうえで対応を決めましょう。
- 小規模、築古でも断られない管理会社の探し方は、管理組合数当たりの売上で、いまの管理会社か同レベルか、それ以下の管理会社に声を書けると提案してもらえる可能性が高いです。
- 管理会社変更の際のヒアリングポイントを整理しています。ICT化への取組み、最低でもオンライン総会・理事会への対応が出来ないの管理会社はアフアーコロナ時代では難しいと考えます。
以上
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