2021年9月28日に国交省が、マンション修繕積立金ガイドラインと長期修繕計画ガイドラインについて見直ししました。

動画解説はこちら。国交省の長期修繕計画ガイドラインの見直しについても説明しています。

修繕積立金の値上げが必要か検証する1

修繕積立金の値上げが必要か検証する2

「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」は2011年4月のから10年ぶり更新で「修繕積立金の額の目安」を大幅にあげました。

「修繕積立金の額の目安」について、国交省の説明によれば、委託管理方式と自主管理方式の双方から収集した長期修繕計画の事例(366 事例)を分析して算出しています。マンションの規模や築年数等に偏りが出ないよう物件規模、築年数、単棟型・団地型(5階建て以下を多く含む)から実際に管理組合の総会で2013年以降に承認されているものを収集したそうです。

2011年の 「修繕積立金の額の目安」 にした84事例が現在どうなったかの比較ではないため、2021年9月に新たに 「修繕積立金の額の目安」 を新たに意図をもって作り直したと考えて良いでしょう。

2011年4月の設定に近い修繕積立金では必要な修繕が十分に出来ない、すぐにでも値上げを検討する必要があるのではないかと心配になりますが、私はそうは思えません。とくに15階建て以下、5,000m2以下の中小マンションを中心に、検証します。

小平市の私がポスティングしているマンションリストの修繕積立金をマンションマーケットから出た情報と比較します。

また、国交省が修繕積立金ガイドラインと併せて更新した長期修繕計画ガイドラインの中の資料である長期修繕計画標準様式(記載例 参考資料)を検証することで、修繕積立金「目安」の設定額が妥当なのかを分析します。

マンションの修繕積立金に関するガイドラインの見直し概要

2011年4月から10年経過して、国交省によって見直された修繕積立金ガイドラインでは、図1のように修繕積立金の目安、専有部m2当たりの単価が大幅に挙げられています。

図1 修繕積立金の平均額の目安の新(2021年)、旧(2011年)比較

表1 修繕積立金のガイドラインの2011年、2021年比較

2021年9月2011年4月差分
前提機械式駐車場は除く
366事例(2013年9月以降の
管理組合総会で承認されたもの)
から分析算出
物件規模、築年数
(大規模1回目~3回済まで)、
単棟型・団地型
(5階建てとくにエレベータなし含む)
機械式駐車場は除く
84事例から分析算出
単棟型、専有部55m2以上
地上20階未満
延べ床面積
5,000m2
(~60戸-70戸 ※)
上限 430円/m2
平均 335円/m2
下限 235円/m2
上限 250円/m2
平均 218円/m2
下限 165円/m2
+180円(72%)
+117円(53%)
+70円(42%)
地上20階未満
延べ床面積
5,000m2~10,000m2
(60-70戸~120-130戸 ※)
上限 320円/m2
平均 252円/m2
下限 170円/m2
上限 265円/m2
平均 202円/m2
下限 140円/m2
+55円(20%)
+50円(24%)
+30円(21%)
地上20階未満
延べ床面積
10,000m2~20,000m2
(120-130戸~240-260戸 ※)
上限 330円/m2
平均 271円/m2
下限 200円/m2
上限 220円/m2
平均 178円/m2
下限 135円/m2
+110円(50%)
+93円(52%)
+65円(48%)
地上20階未満
延べ床面積
20,000m2~
(240-260戸~ ※)
上限 325円/m2
平均 255円/m2
下限 190円/m2
想定なし
地上20階以上
(タワマン ※)
上限 410円/m2
平均 338円/m2
下限 240円/m2
上限 245円/m2
平均 206円/m2
下限 170円/m2
+165円(67%)
+132円(64%)
+70円(41%)
※ 延べ床面積の85%を専有部面積合計として、1世帯65-70m2程度で計算した戸数、20階以上はタワマンとした。

全体的に、修繕積立金がアップしているのですが、2011年は84件の組合の事例を、2021年は組合の366事例をもとに、作成したという事でしたが、本当にここまで上がる要因があるのか、疑問に感じました。

2011年からの10年間ほとんど経済成長しておらず物価上昇の実感がない人がほとんどでしょう。

確かに最低賃金は、2011年の837円から、2021年には1,041円まで、+204円(24%アップ)しています。しかし上昇率は、+50%を超えており人件費だけでは説明できません。大規模修繕工事が2011年から、1.5倍も値上がりしている実感はまったくありません。

とくに上昇率が大きいのが、延べ床面積5,000m2以下の中小規模マンションと20階以上のタワーマンションです。

タワーマンションについては、歴史が浅いため、2011年は築浅マンションが多く、修繕積立金の段階増額方式が見直されて適正価格になる過程で、平均64%ほど上昇したという説明は出来ます。そもそもエレベータは特注、大規模修繕工事は特殊な足場になる、住民向けの共用部施設が過剰など、高くなる要因も多いため適正価格になった言えるかもしれません。

それに対して延べ床面積5,000m2以下の中小規模マンションは、+53%、218円/m2が、335円 /m2 と、とてつもない上昇率です。本当に多くのマンションで値上げをしているのでしょうか?

65m2のファミリータイプのマンションで計算すると、月額14,170円から、月額21,775円に上昇させるのは、本当に管理組合総会で承認されるレベルの値上げではありません。

2011年と84事例と、2021年は366事例でのヒアリングと違う計算をしているので、違う修繕積立金を解説していると考えるべきかもしてません。

では、中小マンション管理組合はどちらを指標にすれば良いのでしょうか?

小平市の中小マンションの事例から考えて見る

自分のサービスを紹介するために、チラシ、ポスティングする際の築古、中小マンションリストを中心に集計してみました。マンションは、小平市の花小金井、学園西町、学園東町を中心の小平市内ファミリータイプの分譲マンションの5,000m2以下程度と思われるマンションに絞っています。

マンションマーケットの提供している管理費、修繕積立金を使っているため必ずしも正確な管理費、修繕積立金とは限りませんが、結果は表1の通りです。

戸数階数築年管理費(円/m2)修繕積立金(円/m2)
78102000157140
77 81982160240
68 11 2002 136205
644200730650
5882006181201
5791989213160
5661994146213
5562000186150
5352005124244
4962005201240
4761986190336
4781982189194
4461989275350
4361996191160
4261992239370
416199097163
4161999178148
4051981191117
3572005149330
3452006186130
3462000128251
3481996234250
3351996193225
3351987170279
3361981229297
3262004151168
3261995178272
3262004151168
3261995178272
3151982191228
30112005173180
2951982229236
2952000196257
2852000196257
2841997185217
285201618368
2751989250170
2631980154149
2651981262196
2552006225182
2551989266174
2571993324252
2451991310124
2472001190125
2431990113124
2351984128293
2261997264187
2152002255255
2091999264323
1931984234243
1941982205259
1842002207304
1831994220102
1852004250236
1861989279190
1861997275305
1761999250349
1651998308206
1682004261229
1541993243156
1531984143223
1531984133228
1541980146202
1442003203260
1341995320301
1351995181213
1331995198180
1351995221248
123197979126
122198282199
1261991276195
1131981137127
952000190172
平均202212

データ数は78件で、平均は、212円/m2です。2011年修繕積立金ガイドラインの218円に極めて近い金額です。

全建物をポスティングしながら、空室率、建物の外観から修繕に問題がある、或いは管理会社のたらいまわしが始まっているマンションは3件でした。

この修繕積立金で、本当に30年後までマンションの資産価値を落とさずに適切な修繕をできるか、それは全マンションの長期修繕計画を見せてもらわないことには分かりません。しかし、335円 /m2 に上げないと30年先まで必要な修繕ができないでしょうか?というと、そんなわけはありません。

国交省の修繕積立金ガイドライン改正の狙いについて

366事例(2013年9月以降の管理組合総会で承認されたもの)から分析算出したものであり単なる統計ではなく、意図的に設定が高いマンションを選んだとか、なんらかの修正を加えて、修繕積立金を値上げさせるように促すガイドラインにしている可能性があります。

国交省は、平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状の9ページ目にある修繕積立金が不足しているマンションが多いことを示しています。

図2 平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理

34.8%が計画に対して不足している現状があるため、この問題を解消したいという意図があるのだと思います。

それならば、新築マンションでは当たり前になってしまっている段階増額方式を禁止することを考えれば良いのですが、天下り先であるデベロッパーなどの抵抗が強いのでしょう。

では、どのような分析算出をしたのか、同じく9月に公開した長期修繕計画標準様式(記載例 参考資料)から読み解きたいと思います。

長期修繕計画標準様式(記載例 参考資料)による修繕積立金の増額根拠を読み解く

一言で言うと、国交省さん、「この状態で公開して大丈夫ですか?」という出来の悪さです。恐らく、このブログを読んで、後日差し替えることになるのではないかと思います。

こちらにもアップロードしておきます。

マンションの修繕積立金に関するガイドラインにある修繕積立金の計算方法については以下となります。

図3 計画期間全体における修繕積立金の平均額の算出方法(m2当たり月単価)

今ある修繕積立金の貯金と、計画期間で集める修繕積立金の総額と、専用使用料からの積立を合わせた総額を専有部の面積と期間で割るという計算で算出します。専用使用料とは、駐車場使用料、駐輪場使用料、専用庭使用料などの管理費・修繕積立金以外の収入です。

分子の修繕積立金の貯金と、計画期間で集める修繕積立金の総額と、専用使用料からの積立を合わせた総額が、実際に計画期間に必要な修繕費を上回っていることが重要です。

で、必要な修繕費はどう計算するかと言うのが、長期修繕計画のガイドラインにあり、さらに、その例を示したのが、長期修繕計画標準形式(記載例参考形式)です。

紹介されているマンションの前提条件を見ていきます。

表2 長期修繕計画標準形式(記載例参考形式)のマンションの概要

竣工日1999年
住戸数82戸
階数/棟数地上7階/1棟
建築面積1,000m2
延べ面積6,200m2
専有面積(専有部面積の和)5,500m2
給水設備貯水槽+ポンプ圧送
エレベータ1基
駐車場機械式78台
その他ガス、空調、受変電設備、テレビ共聴・CATV共聴、電話、インターネット、オートロック、防犯カメラ

表3 長期修繕計画標準形式(記載例参考形式)のマンションの管理費・修繕積立金の設定


借入金の残額
0円
修繕積立金253,140,952円(2021年4月1日)
200,000,000円
(13ページ目の総括表より2018年4月1日が2億円であることがわかる)
現在の修繕積立金(月額)16,970円 
単位面積当たりの修繕積立金
(修繕積立金x住戸数/専有面積)
253円/m2(16,970円x82戸/5,500m2)
専用使用料からの繰入(月額・戸当たり)571円 (内訳不明、後述、表4の長期修繕計画の986円と異なる)
駐車場等の使用料からの繰入れ
(月額・戸当たり)
11,270円

現在の専有部面積あたりの修繕積立金は、253円/m2ですが、PDFのページの13ページ目の長期修繕積立金の総括表による計算で、足りないため286円/m2に値上げが必要という計算が出てきます。

これは表1の5,000m2以上10,000m2未満の平均の252円/m2を意識して計算しているように思えます。

機械式駐車場が78台分あります。使用台数が、どれくらいで稼働率がどのくらいであるとか、通常実施される四半期の1回の保守会社への月額保守料がどのくらいなどの情報はありません。恐らく、11,270円は、月額戸当たりとあるので、実際の駐車場使用料Xは、以下のような計算額になると思われます。

しかし、駐車場空きは一定でないため、本来なら戸当たりの繰り入れは計算できないはずですが、最低稼働台数を決めて設定してるのかもしれません。

駐車場等の使用料からの繰入れ(月額・戸当たり)=(月額使用料 x 最低稼働台数 - 月額保守費 x 稼働数)/ 戸数(82戸)

で計算される金額が、11,270円だと思われます。仮に、月額保守費3,000円、最低稼働数が70台(つまり空きが8台までを許容するという設定)とすると月額使用料は、以下となります。

月額使用料 = (11,270 x 82 + 3000 x 70)/ 70 = 16,202円/月

この駐車場使用料が妥当かどうかは、近隣の駐車場の費用や、このマンションの駐車場の稼働台数によるので、なんとも言えませんが、この計算は問題ではなく、国交省は、この長期修繕計画の30年間で必要な修繕費について根本的なミスをしています。

PDFのページの13ページ目に長期修繕計画の総括表があります。

収入の部を計算します。

表4 長期修繕計画の総括表より計算される計画期間30年の収入合計

金額
修繕積立金の残高(2018年4月1日期初) 200,000千円
修繕積立金の収入合計(30年分)566,722千円(286円/m2x5,500m2x 12m x30y)
専用使用料からの繰入金29,130千円(986円/戸・月x82戸x12mx30y)
と計算されるので、986円が戸当たりの専用使用料収入になるのですが、表3にまとめた571円/戸・月とは異なる。
合計795,852千円 ―――①計画期間30年の収入

この計算の中に、駐車場等の使用料からの繰入れが含まれていないことが確認できます。

駐車場等の使用料からの繰入れ金額は以下となります。

11,270円x82戸x12か月x30年=332,690千円 ―――②計画期間の駐車場等の使用料

この金額が大きいですが、収入に含んでいないことが問題であることが長期修繕計画の総括表を見てわかります。

次に、総括表と、16ページ、17ページの推定修繕項目の必要額を項目ごとに積算していきます。

表5 計画期間30年分の推定修繕項目の必要額(単位千円)

推定修繕項目計画期間30年分の必要額 
大規模修繕工事  (大規模2回)259,081周期が12年 改正された長期修繕計画ガイドラインのコメントでは、12-15年
 仮設41,216直接足場の費用が高い。足場面積は3,200m2程度になると思われるが、2000円/m2で700万円程度で可能
 屋根防水33,513高い、12年間隔であるのに間の工事、トップコート塗りなおし入っているように見えるが材質選べば不要な工事
 床防水29,281 
 外壁塗装等51,773 
 鉄部塗装等10,961 
 建具金物等90,59637年目に5,400万円で建具更新が入っているがこの時期が妥当か?
 共用内部1,741 
大規模修繕工事、調査・設計・管理19,544 
給水設備(共用部竪管更新工事1回、貯水槽補修更新1回ずつ、ポンプ部品交換3回、交換2回)40,883給水管竪管更新費用が、26,033千円であるが、1999年築のマンションの給水管の構造、費用設定が低い
排水設備(排水管交換、排水ポンプ部品交換3回、更新2回)24,973排水管更新費用が17,100千円であるが、この時代パイプシャフトがない可能性高く、費用設定が低い
ガス(共用部配管交換)450 
空調(2回交換)1,332 
電灯(電灯4回部品交換、2回全交換?)28,620 
通信・TV・インターホン(TV共聴2回とインターフォン1回交換)14,382 
消防設備(屋内消火栓設備、自火報、連結送水管)17,217 
エレベータ(1回フルリニューアル)10,350 
機械式駐車場 (1回フルリニューアルと数回の部品交換)188,043 
外溝19,881 
長期修繕計画作成1,706 
小計626,462 
労務費62,646(税抜き金額の10%) 
消費税68,764(計算方法不明、表から抜粋) 
合計758,873ーーー③  計画期間の推定修繕工事の総額 758,873千円

この数字について、とくに大規模修繕工事の単価、足場や防水工事、給水竪管/排水竪管の更新予算が少ないこと、直結給水への切替を想定しないのは何故なのか?建具の更新時期が37年目に必要なのか、などが気になりました。

①計画期間の修繕積立金の総額 795,852千円 @286円/m2 

③計画期間の推定修繕工事の総額 758,873千円

④差額 36,979千円 

計画期間30年経過後の残額がおおよそ2年分の修繕積立金37,979千円黒字で、286円/m2が妥当という計算をしています。

機械式駐車場は、188,043千円が推定修繕項目に入っていますが、78台で割ると、以下となります。

1台あたり推定修繕費 = 188,043千円 / 78台 = 2,410千円

機械式駐車場の30年分の修繕費ですが、リニューアル1台あたり100-150万円と考えると、その他の修繕費用も含まれた設定です。

③計画期間の推定修繕工事項目には、機械式駐車場の修繕が含まれていて、①計画期間の修繕積立金の総額には、②計画期間の駐車場収入が含まれていないということがわかります。

本来ならば、

①計画期間の修繕積立金の総額+②計画期間の駐車場等の使用料 > ③計画期間の推定修繕工事の総額 

であれば良いはずです。ところが、駐車場収入をなしで、機械式駐車場の修繕を修繕積立金と専有使用料からの収入だけで負担する計算になっているのです。


 表6 30年計画期間の修繕積立金、専有部使用料、駐車場収入

修繕積立金設定1)286円/m2 国交省計算 駐車場収入なし2)286円/m2 駐車場収入あり3)253円/m2 駐車場収入あり4)200円/m2 駐車場収入あり
2018年期初 修繕積立金200,000千円200,000千円200,000千円200,000千円
修繕積立金566,280千円566,280千円500,940千円396,000千円
専有部使用料29,136千円29,136千円29,136千円29,136千円
駐車場使用料繰入金332,690千円332,690千円29,136千円
合計795,416千円1,128,107千円1062,767千円831,776千円
     
駐車場収入繰入金(円/戸)11,270(円/戸)(国交省設定)11,270(円/戸) (同左)11,270(円/戸)(同左)7,000(円/戸)
駐車場台数78台78台78台78台
最低稼働台数60台60台60台60台
最低稼働率77%77%77%77%
駐車場保守費(円/台・月)3,000円/月3,000円/月3,000円/月3,000円/月
駐車場収入18,402円/月18,402円/月18,402円/月12,567円/月

駐車場収入を加えると、 30年計画期間で11億2千万円にもなり、3億7千万円も余裕があります。

修繕積立金は、253円/m2のままでも10億6千万円と十分で、200円/m2まで修繕積立金を下げて、駐車場収入繰入金を7,000円/月まで下げてちょうどよいくらいです。

図4 計画期間30年の推定修繕費用と、計画期間30年の収入(修繕積立金286円→253円→200円)

国交省の長期修繕積立金の課題と改善点

グラフで計画期間の年度単位で、修繕積立金総額の増減を見えるかする意味では良いのですが、工事の金額の妥当性が工事内容ごとに見えないことが問題です。

計画期間30年の推定工事費用(表5)と、収入(表6)を、図3でグラフにしていますが、大規模修繕工事に使われる予算が34%、次に28%と大きな比率を占めます。

収入をみると、30年間の修繕積立金が5億6千万円について、駐車場収入3億3千万円があることがわかります。

表5,6のように、項目別に大きく数字を見ることによって抜けチェックと工事規模が妥当性をチェックすると良いです。

それにしても5,000m2-10,000m2の中規模マンションの修繕積立金ガイドラインを202円/m2から252円/m2に値上げすることを正当化するためにつくったと思われる記載例 参考資料が、ずさんな計算をしていることが、国交省の今回の仕事のダメ具合を示しています。

記載例 参考資料のように駐車場収入があるなら、200円/m2でも十分でした。

なお、2011年の 長期修繕計画記載例 参考資料 も既に国交省は公開していませんが、こちらはこのような初歩的ミスはしていません。

5,000m2以下の中小マンションの修繕積立金は335円/m2は妥当なのか?

これまで検証してきた通り、335円に値上げする必要はありません。

2011年の218円が妥当です

20世帯以下なのに、機械式駐車場があり、エレベータもあるなど、いくつか条件がそろうと厳しいかもしれませんが、335円/m2にするという設定するのではなくて、むしろ機械式駐車場のリニューアルのタイミングで撤去することも考えられます。

安易な値上げという解決は例え管理組合の総会で承認されたとしても、中古市場、賃貸市場で選ばれないマンションになる可能性が高いのです。2040年までに人口は1400万人ほど減少します。その時から逆算して資産価値を考えましょう。ビジネスと同じように、ドライな判断をしましょう。

長文ここまで読んで下さり、ありがとうございました。

まとめ

  • 「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」は2011年4月のから10年ぶりに更新して「修繕積立金の額の目安」を大幅にあげました。
  • とくに、延べ床面積5,000m2以下の中小規模マンションは、+53%アップ、218円/m2が、335円/m2と、大きな上昇率です。
  • 小平市の78世帯以下の修繕積立金をマンションマーケットで調査した限り、2021年現在、平均212円/m2であり2021年の設定、335円/m2よりも、2011年の設定の218円に近いです。
  • 2021年9月に更新された長期修繕計画ガイドラインに基づく、長期修繕計画標準様式(記載例 参考資料)を検証したところ機械式駐車場の収入がまるまる抜け落ちているという致命傷が見つかりました。
  • グラフで計画期間の年度単位で、修繕積立金総額の増減を見えるかする意味では良いのですが、工事の金額の妥当性が工事内容ごとに見えないことが問題です。 項目別に、数字をまとめて、可能であればグラフ化して検証すると、大きな間違いを検証できるでしょう。
  • 5,000m2以下の中小マンションの修繕積立金は、ガイドラインの335円に併せる必要はありません。

以上

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