管理会社に契約の範囲で検討依頼できる維持保全の提案とマンション管理適正評価制度

通常総会で、自主管理以外の管理組合はマンション管理会社との間での1年単位で管理委託契約を結びます。この管理委託契約書に書かれている内容には、契約しているマンション管理会社の業務範囲が定義されています。

管理組合が管理会社から受けられるサービスは管理委託契約で決まっているのです。大規模修繕工事の提案についてはどこから別契約になるのかも書かれています。

国交省が出している標準管理委託契約書の別表1の記述の意味を考えて、管理組合が、修繕の検討について管理会社に依頼してよいこと、どうあるべきか、自分の考えをまとめます。

また国交省が、準備しているマンション管理適正評価制度について、マンション管理組合の自立性も評価項目に加えるべきという内容をまとめました。

標準管理委託契約書における修繕提案について

管理会社は、標準管理委託契約書を元に当該マンションとの実態に合わせて、管理委託契約書をつくっています。

標準管理委託契約書の第3条の事務管理業務は別表1に詳細があり、別表1の基幹事務の(3)に「本マンションの維持または修繕に関する企画又は実施の調整」と記載がありますが、一部抜粋します。

別表1の基幹事務の(3)に「本マンションの維持または修繕に関する企画又は実施の調整」

  • マンションの劣化状況に基づき、当該計画の修繕工事の内容、実施予定時期、工事の概算費用等に、改善の必要があるときは、書面をもって管理組合に助言する。
  • 年1回の共用部分等の外観点検を含めた点検報告に基づいて、維持保全の提案を行う。

さらに国交省のコメント(解説)がついていて、そこには以下のような記載があります。

必要な年度に特別に行われ、業務内容の独立性が高いという業務の性格から、以下の業務をマンション管理業者に委託するときは、本契約(管理委託契約書)とは別個の契約にすることが望ましい。

一 修繕工事の前提としての建物等劣化診断業務(耐震診断を含む。)

二 大規模修繕工事実施設計及び工事監理業務

三 建物・設備の性能向上に資する改良工事の企画又は実施の調整(耐震改修工事、防犯化工事、バリアフリー化工事、IT化工事等)

建物劣化診断調査と、組合員によるアンケート等をもとに工事範囲を決めて、建物の図面及び実測から、工事仕様書と見積明細項目を作成することは別個の契約をして管理会社に依頼すべきです。

大規模修繕工事を受注したい管理会社の思惑と管理組合の弊害

過去の私のマンションでは、劣化診断調査や工事仕様書や見積明細書の作成を2つの管理会社が無償で提供してくれました。大規模修繕工事の前々年の管理組合通常総会前に、予算をとるから見積もりをくださいと依頼しても、無償で提案しますと言われました。

元請けをする工事部門を持っているこのような無償の設計業務の提供には、管理会社の思惑は、二つあると考えています。

  • 管理組合から設計・監理業務を外部の設計事務所に依頼されたくない。(この時点で、管理会社は工事を失注したのに近い)
  • 管理組合を無償サポートして恩を売ることで、管理組合が仕様書を元に工事会社から直接見積もりを取ったとしても管理組合の負担も大きいため多少価格交渉に応じれば受注できる。

このように管理会社のサービスに慣れていくと、仕様書の作成は管理会社の業務範囲に含まれていると勘違いしてしまい依存度を上げてしまいます。過剰な提案でもそのまま工事をお願いしてしまったり、相場より価格の高い見積もりでも、そのまま発注するという楽な道を選んでしまうのが当たり前の管理組合になってしまいます。

管理会社も無競争状態であることから、無知な管理組合には高い工事を提案するようになってしまいます。

管理組合の立場に寄り添う立場である管理会社は、安くて品質が高い工事会社を提案するのが役割ですが、管理会社が元請けをする場合は、それは不可能です。

管理会社には大規模修繕工事の元請けをする管理会社と元請けをしない修繕工事会社があります。それぞれの管理会社との付き合い方をまとめています。民法の双方代理、自己契約の禁止などについてもまとめています。

大規模修繕工事、元請けをする管理会社、元請けしない管理会社、どちらが良いの?

管理組合は、管理会社に過度に依存することなく、有料で作成してもらった仕様書をつかって外部の工事会社に見積もりをとるようになるべきです。複数の工事会社から見積もりを取れば、適正価格がわかり工事価格を抑えられます。予算不足で出来なかったオプション工事もしたり、長期修繕計画に反映させれば、修繕積立金を値上げしなくても良い見通しがつくかもしれません。

マンション管理管理適正評価制度について

国交省は、マンション管理適正評価制度で、マンションの良質な管理が市場で評価される仕組みを検討しており、すでにマンション管理業協会のホームページから、仮の評価シートを配布しています。

管理費・修繕積立金の設定、管理組合の収支の状況や、管理規約の整備や、修繕の履歴、修繕の竣工図書が残されているかなど、配管の更生・更新工事の履歴や直近2年間の漏水事故履歴など、マンションの管理状態を問う内容が多いですが、管理組合の管理会社との良い意味での自立性を確認できる内容も評価に加えるべきだと考えます。

例えば、以下のような項目は本当の意味での管理組合の自立性が問われる内容です。

  • 500万円以上や、1000万円以上などある規模以上の修繕工事については、仕様書をもとに競争入札で工事会社を選定したか?
  • 工事会社選定で使用した仕様書を残して、各社の提案を比較して工事会社決定に至った経緯を組合の資産として残しているか?

マンションの管理状態の評価はもちろん重要で、中古物件を購入する際に、得点が開示されれば評価の対象になる制度は良いと思います。しかし、管理組合が自立していることは、もっと中古物件選択の指標として評価されるべきだと思います。

そういうマンションが、中古マンション市場で評価されて人口減少社会でも空室がなく選ばれて、新しい住民もが受け継がれて世代交代していければ、マンション寿命は長期化することが出来ると考えます。80年後か100年後に来る、建て替えや取り壊し、敷地売却までうまく進めれることでしょう。

皆さんでしたら、どのように考えますか?

では、週の後半もがんばりましょう。Twitterしているから是非フォローください。

以上