このブログでは、築20年以上、50世帯以下の中小マンションの問題意識をもった組合員向けに書きました。
マンション管理組合の活動に気になりつつも、今後、管理・修繕がままならないと、自分がシニアになったころには、まずいことになるんではないかと、気づいているけど、忙しくて動けないと言う方はいませんか?
マンションの長期修繕計画の更新がされていない、修繕積立金が適正なのかわからない、大規模修繕工事、管理会社からの提案、価格が高いまま発注されようとしている、問題を感じつつも動けていない。そんなあなたに向けたブログです。
40代、仕事も家庭も忙しいが、二回り上の世代が管理組合の理事長を長く、老害も始まっている、意見しても取り合ってもらえる雰囲気でない。
若い人ほど、長くマンションに住むことになります。次世代にマンションを引き継いでいくためにも、理事になってやることをやりましょう。お子さんがいる方は、お子さんに引き継ぐときも、価値を維持したいところです。人口減少社会に入っていますが、立地が良ければ、マンションの価値を維持していくことはできます。マンション長寿化の時代が始まっています。
若い世代が組合活動に入っていき、世代の声を管理組合活動に反映していきましょう。 以下のような流れで考えて見たらどうでしょうか?
目次
同世代の仲間を増やす
二回り以上の上の世代に、一人で入っても、雰囲気を変えることは難しいです。
まずはマンションの仲間を探しましょう。同じくらいの世代の人で、総会には顔をだしている組合員で、マンションの課題を相談してみると実は、私も同じことを思っていましたとなりませんか?
なるべく同世代、家族構成も近いと共通する部分も多いと思います。
具体的に、以下のように話題を質問してみましょう。
「長期修繕計画、破綻しているけど、検証する方法がご存じありませんか?」
「大規模修繕工事、金額が高いように思うんですけど、下げる方法はご存じありませんか?」
こんな感じで質問すると、実は、既に検証していたとか、具体的に試算したら500万円下がりそうだという意見をくれる場合もあります。
無関心、金払っているから後は、管理会社にと言う組合員も多いですが、総会に参加されるくらいの方は、多少、改善したいというモチベーションを持っているものです。
運よく、そういう仲間が見つかったら、管理組合の役員か修繕委員に二人で、立候補してみましょう。だれもが無関心であれば、この場合は一人でも立候補をすることになります。
理事になろう
輪番制が引かれておらず、立候補制で、シニア世代が長いこと理事会運営をしているものの、停滞してしまっているケース1の場合、完全輪番制で、1年交替または、半数入れ替え2年で回っているケース2の場合も、ありえます。
ケース1 輪番制なし、完全立候補制の場合
理事長に、来季の通常総会で立候補したい旨をつたえましょう。
なり手がいないのが現状なので、通常は理事に選任されるでしょう。
出来れば、世代の近い人と2人以上で理事になれるのが理想です。
例え1人でも、理事になって理事会で提案して欲しいと言われたら、1対多になってしまうかもしれないですが、中に入ればいろいろ提案することができます。独善的にならずに、丁寧に他の理事の意見に耳を傾けながら仕事を進めていきましょう。 1人でも出来ないことはありません。
コスト削減につながることをやると、成果がわかりやすいので、他の理事からの信任を得やすいです。
ケース2 完全輪番制の場合
完全輪番制は、1年交替または、半数入れ替え2年で回っているケースが多いです。
この場合は、立候補を受け付けてもらいません。
役員を立候補優先の輪番制にしたらどうか、という提案を、管理組合の意見書を出し見ましょう。役員から前向きな反応があれば良いですが、なかなか良い反応はない場合は、直接理事長につたえてみましょう。
しかし、すぐに規約が変わることはないので、輪番を待たなくてはいけない場合は、諦めて修繕委員に立候補して、修繕の課題を解決して、活躍しておきましょう。
理事になってやるべきこと
理事になったら次の順番で動いてみましょう。
管理規約を読み込み理解することが望ましいのですが、規約の理解に時間をかけるのは、労力の無駄になるので、やるべきことが整理されたら、詳しい理事や、管理会社フロントに確認して規約違反にならないように確認しながら進めるのが良いでしょう。
STEP1.一般会計の収支の確認
一般会計に機械式駐車場の使用料が入っている場合は、駐車場収入なしで、一般会計が黒字になるか確認しましょう。
年間の管理費が、赤字で機械式駐車場の使用料で補填している場合は、大改革をしないといけない管理組合です。
標準管理規約では、駐車場収入は、駐車場管理にかかる費用を除いて、修繕積立金会計に入れることになっています(標準管理規約29条)。
駐車場収入なしで、一般会計が基本です。
一般会計から削減できるものを考えて削減できるものがないか考えましょう。
STEP2.機械式駐車場がある場合は、リニューアルするかどうかの方針を決める
機械式駐車場は、落下防止装置、チェーンなど保守部品の交換がしばしば入りますが、25年以降でフルリニューアルが必要になってきます。
フルリニューアルの費用と、今後の保守部品の交換にかかる費用について機械式駐車場メーカーに問い合わせして概算見積もりをもらいましょう。
併せて、稼働状況(空車率)と、駐車場使用料の設定と、周辺の平置き駐車場の空き状況や、駐車場代を調査して、適正価格であるか確認します。
次に駐車場収入の合計を算出します。機械式駐車場の場合は、最低稼働台数は、今後の見込みで入れましょう。これまで駐車場の収入が計算できればこれまでの費用と、今後の収入を見越して、リニューアルできる予算があるのかを確認しましょう。
詳しくはこちらの動画で解説していますので、確認頂ければ幸いです。
もし、今後リニューアルの費用が出せない状況ならば、利用者の意向を確認の上、収支を説明して期日を決めて平置き駐車場にするなど、解体する方向で利用者と調整をしていきましょう。数十台規模なら、半分をリニューアル、半分は解体などの選択になるでしょう。
外部の利用者に貸し出すことも考えられますが、そうなると、事業税収入となり確定申告が必要になること、マンション内に外部の人が入ることを嫌がる人などもいて、話はまとまりにくいです。今後は、EV充電器の検討なども勧めなくてはならないたため、利用者が減っている傾向にあるマンションは、収束のプランを立てるのが賢明です。
STEP3. 管理費会計を黒字化する
管理料収入に対して、固定支出が、80%以上ですと、中小マンションでは、小修繕費が取れなくなっている可能性が高いので以下を検討しましょう。
- エレベータを独立系保守会社に変更する
- マンション火災保険をマンションドクター火災保険に変更する
- 電子ブレーカーの導入
- 貯水槽給水から、直結給水への切替
これらの改善で、管理料収入に対して、固定支出が70%以下になれば、突発的な修理が発生してもすぐに対応できる管理費会計になります。
打つ手がない場合は、管理費の値上げか、管理会社の変更になりますが、管理会社を変更してもなかなか管理委託料は下がる時代ではなくなったことは頭においておきましょう。そもそも、小規模築古マンションでは、引き受け手が少なくなっています。
STEP4.マンションの将来について話をする
管理費の健全化をすすめて実績が出来たら、世代の違うシニア役員からも信頼が厚くなっているころでしょう。
最後に、理事の中で、マンションの長寿命化についてお話ししておくと良いでしょう。具体的には、築50-60年で建替や、解体売却をするのか、修繕をきちんと進めて、100年以上長寿命化するのか、などの話をしておくことをお勧めします。
高齢の方も、自分と妻が亡くなった後、子供や親族に相続することになるので、将来のことは考えています。長寿命化するという方針であれば、長期修繕計画や、修繕積立金についても合意をしやすくなります。
修繕委員になったらやるべきこと
大規模修繕工事が控えているならば、適正価格で工事をすすめる準備をすすめましょう。
そのために、管理会社に工事仕様書と設計明細をつくってもらい、管理組合で工事会社から見積もりをとって、管理組合として修繕工事をすすめることで、長期修繕計画で見込んでいた予算より大幅にやすく、品質の高い工事が出来ます。
併せて長期修繕計画の見直しをすると良いでしょう。機械式駐車場がある場合は、機械式駐車場の見直しが鍵になります。
前項のリンクの動画および下記のブログで解説しています。
長期修繕計画をつくって、大きな数字を把握してなるべく精度をあげることが大事です。
「長期修繕計画チェックシート」で修繕積立金の値上げが必要か30分で確認しよう!
立候補輪番制の確立
最後に、役員規約改正をすることをすすめます。管理組合の活動は、基本的には、輪番で平等に負担すべきです。しかし、積極的に活動したい組合員は、立候補して貢献してもらうのが良いです。
どんなに貢献した人間も、長く権力を握ると過ちを犯すことがあるので、役員の任期を最大4年など、自動的に、一時は辞めるルールにすることをお勧めします。
つまり、最大任期がある立候補優先の輪番制にするのが理想です。
4年もあれば、大きな課題の解決は目途がつくので、残りは後任に託すか、改めて別の機会で対応すれば良いでしょう。
詳しくは、こちらのブログの後半に、規約改正案と、細則案がありますので、参考にしてみてください。
理事には任期があるべきです。長く権力を握ると過ちを犯すことがあります。
標準管理規約を読むその4、暴走理事長を生まない役員規約
まとめ
- 管理組合の運営に問題を感じたら自ら立候補して管理組合の役員になりましょう。
- 同世代の仲間に、マンション管理組合の課題について話をして仲間を増やして、理事になりましょう。理事が立候補できないなら修繕委員になりましょう。
- 理事になったら一般会計の収支の確認、機械式駐車場がある場合は、リニューアルか解体かの見通しをつける、一般会計のうち固定費支出7割以下の健全化につとめると良いでしょう。
- 修繕委員になったら大規模修繕工事を工事会社に直接発注することで、予算を抑えて質の高い工事を行うことを考えましょう。
- 最後に、役員規約を最大任期のある立候補優先の輪番制にかえることをお勧めします。
以上
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