2020年、新築・中古マンション・戸建ての市場規模と住宅政策について

2020年の住宅販売数について、国交省の住宅着工数など統計情報、株式会社 不動産経済研究所と、REINS(不動産流通機構の運営するReal Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)のデータを新築・中古マンション・戸建ての市場規模をまとめました。後半は今後の住宅政策について自分の意見をまとめています。

新築住宅と中古住宅どちらが多い?

表1 2020年1-12月マンション販売数

販売数(成約数)年末在庫数着工数/中古は新規登録数
全国新築マンション59,907(※1)不明106,714(※2)
1都3県新築マンション27,228(※1)8,905(※1)不明
全国中古マンション70,163(※3)74,140(※4)387,993(※5)
1都3県中古マンション35,825(※3)38,173(※4)183,181(※5)


※1)不動産研究所公表データ, ※2)国交省 住宅着工数の2020年計の分譲住宅のうち鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造, ※3)REINS公開データの成約数, ※4)REINS公開データ2020年12月末の在庫数
※5)REINS公開データ2021年01月度月例速報MarketWatchの「毎月新たに登録のあったものの集計」を1年分集計したもの、販売数+成約数と比較して、数が多い。売却を試みて、REINSに登録したものの、売却できずに取り下げたもの多いと思われる。

日本は新築市場規模が大きく中古市場が小さいという認識をもっていましたたが、REINSの統計を見るとマンションに関しては、新築47%、中古市場53%と中古の方が大きいのが現実です。

表2 2020年の戸建て販売数

2020年販売数(成約数)年末在庫数着工数/中古は新規登録数
全国新築戸建不明(仮定 351,251 ※2)不明410,263(※1)
全国中古戸建43,863(※3)66,857(※4)297,715(※5)

※1)国交省 住宅着工数の2020年計の分譲住宅のうち持家(276,565)と、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造を除く分譲住宅(133,368)の和。なお、国交省 住宅着工数の貸家306,753と給料住宅12,530は数字には含めていません。※2)分譲住宅(133,368)は、マンション程度の56%程度の成約があったと仮定し、持家は自己所有需要で100%成約と考えるて市場規模は、133,368×0.56+276,565=351,251としました。※3,4,5)は表1と同じ

戸建てでは、一部仮定を使っていますが、中古12%に対して新築88%と新築の方が圧倒的に多い結果になっています。

表3 2020年 戸建て、マンション販売数

戸建てマンション総数
新築351,25159,907411,158(新築78.3%)
中古43,86370,163113,999(中古21.7%)
総数395,114(戸建75.2%)130,070(マンション24.7%)525,157

2020年の新築・中古の販売数は、約52万戸になりました。戸建ての販売数は着工数の56%成約という仮定の数字も入っています。REINSは専属媒介契約または、専属専任媒介契約の場合は宅建業法で登録が義務付けられていますが、一般媒介契約では登録は義務付けられていないため、全取引をカバーしているわけではありません。その意味では52万件以上になるかもしれません。

なお、こちらの一般社団法人不動産流通経営協会の「既存住宅流通量の地域別推計について」によれば、法務省の登記統計から推計したFRK既存住宅流通推計量によれば、2019年で604,324件ほどあり、中古市場の割合は40%としていますが、これはやや大きいように思えます。

人口予測と市場動向

図1 日本の人口統計および予測 

※)人口問題研究所、人口統計資料集の2021年の 総人口,人口増加,性比および人口密度の将来推計:2015~50年

日本の人口は減少が始まっています。

人口問題研究所によれば2050年、あと30年後には、1億人程度まで約20%程度人口が減ると予測されています。

これまで、新規住宅の開発には国は規制がなく市場の原理に任せて開発を進めています。私の住む小平市も、農家に相続があるたびに畑が売却されてしまい、住宅に置き換わっています。

図2 首都圏新築住宅着工戸数 
国交省令和2年度 住宅経済関連データの<2>  住宅建設の動向の 1.新設住宅着工戸数の推移の   (6)新設住宅着工戸数の推移(首都圏:総戸数、利用関係別)より

H20年(2008年)はリーマンショックでH21年は、大きく落ち込みましたが、その後が横ばい、緩やかに減少傾向にあります。

今後の住宅政策の日本が取るべき道

人口も、労働人口も今後30年間、減少していくことを考えて、新築総数は絞っていく必要があるでしょう

団塊の世代の約800万人が後期高齢者になる2025年以降、相続する当てがない住宅が増えていきます空家がさらに増加することを考えれば、意図的に新築を規制していかなければいけない時期に来ています。

さらに、もう一つの住宅を増やす大きな要因である地主である都市農家に対する相続税の見直しが必要だと考えます。

市街化区域は、10年以内には市街化(宅地化)する区域です。東京都の多摩地区の福生市、昭島市、日野市、八王子の西半分より東側はほぼ市街化区域ですが、農地も多く残っています。都市計画上は10年以内に市街化するといいながら、現在の都市計画法に原型に改正された1968年直後に線引きされた市街化区域は、未着手の都市計画道路も多く残して市街化することなく人口減少、高齢化の時期に来ています。環境保全や、CO2削減などが大事になった時代ですから、そもそもの都市計画を見直すべきでしょう。話は大きくなりすぎてしまいました。

市街化区域の都市農家は、土地の価格が高いため、高額な固定資産税が課せられます。農業だけでは生計を立てるのは難しく1反(992m2)も宅地や倉庫や蔵などの土地や家屋があれば、年間100万円以上の固定資産税がかかります。農地は、生産緑地に指定されていれば固定資産税は安いですが、専業農家では生計を立てるのは難しい大部分の農家が、マンションなど不動産をもち不動産収入と農業収入で生計をたてています。

終身農業をつづけることで相続税の納税猶予を受けられる制度があるのですが、不動産と自分の住む土地や家屋の相続税は猶予されません。自宅や収入源の不動産を売るわけにはいかずに、結果として都市農家は、農地を宅地に転用する前提で手放しています。生産緑地法の市の買い取り制度もあるのですが財源の問題で、農地買取はほぼなく、大部分の農地は相続で、売却されて、宅地化されています。

国は、業界のプエッシャーに負けず、野放図的に住宅化する政策を当たらめるべきです。住宅の総量規制と、都市農家の相続税について見直しについて着手して頂きたいと思います。

不動産業は、新築から中古販売に、建設業の業界は、新築から修繕、建替えに重きを置くなど業態を変えていくように、誘導する政策をかえていくべきです。そもなくば農地は減って住宅が増えて、空家が増えるという悪循環はとまりません。分譲マンションには、空き部屋が増えて、管理費等の滞納率が発生する、マンションのスラム化にもつながるでしょう。

マンションの区分所有オーナーはどうやって自分のマンションの価値を上げるか、中古市場で選ばれるマンションになり、世代交替していくことが出来るような努力が必要になります。

住宅の総量規制と、都市農家の相続税について見直しについて、私も微力ながら国に対して、働きかけをしていきたいと考えています。

まとめ

  • 国交省 住宅着工数及び、不動産研究所公表データによると、2020年の新築マンション着工数は、106,714で、59,907が販売されました。REINSの中古マンション成約数は、70,163件あり中古市場53%と、すでに新築マンション販売数59,907を大きく上回っています。
  • 国交省 住宅着工数及び、不動産研究所公表データによると、2020年の戸建て着工数は、410,263で、56%程度の販売数と計算すると、351,251が販売されました。REINSの中古戸建成約数は、43,863で件あり中古市場12%と中古市場規模は小さいです。
  • 人口は、2050年には1億人程度、約20%減少する予定で、新築住宅着工数に総量規制をして、都市農家の相続税の見直しの仕組みを考えて、中古市場を活性化させて新築から修繕・建替に政策を変えていく時期でしょう。

以上