マンション管理組合目線とは?

主に予算規模の小さい中小分譲マンション管理組合向けの管理組合の運営ノウハウを提供します。

管理組合の理事長、理事、監事など役員は、区分所有者(分譲マンション1室を購入した人)が輪番制で行っています。

完全なボランティア或いは、わずかな報酬でマンション役員に指名されて、時には重い決断もしなければなりません。

管理組合役員の組合活動の時間をミニマム、管理組合予算ミニマムで、満足できる大規模修繕工事、管理会社選び、給水設備の変更などについてお手伝いいたします。

マンション管理のポイント?

管理費と修繕積立金のバランス

お住いのマンションの管理費と修繕積立金はどちらが金額が大きいですか?まずは見直すべきポイントです。月額の支払いのうち、管理費が修繕積立金より低い価格に設定されているマンションは、まずは新築分譲時点から見直しがされているものと思われます。逆に、管理費が修繕積立金より高い場合、とくに、管理費が修繕積立金より2~3倍近く価格が高い場合は、要注意です。

  • 長期修繕計画を作成して修繕積立金を見直しが出来ている可能性高い。
  • 修繕積立金は、定額方式となっている可能性が高い。中古で購入する人から見ても安心できる。
  • 設備点検、清掃業務を見直して、管理費も抑えたマンション管理が出来ている可能性高い。
  • 築年数が浅いマンションで、マンション分譲会社が設定した段階増額方式を採用している可能性が高いです。
  • 管理会社に相談して、長期修繕計画を早急に作成して、少なくても30年先までの必要な修繕費を元に、修繕積立金を定額方式に見直すべきです。
  • 通常の目安としては、専有部分の面積当たり最低限200円/m2、例えば70m2のマンションなら、最低14,000円/月・戸くらいが妥当な価格です。
  • 管理費については、設備点検業務、清掃業務の頻度や価格を見直して削減できる余地があるかを検討しましょう。

まずは管理費と、修繕積立金が適正価格に設定されているか重要です。

最大の支出の大規模修繕工事を抑える

管理費のうちの、管理会社に支払う管理委託料は50%~70%くらいのケースが多いです。

通常総会資料の年度会計報告を見て計算して見ましょう。大きな工事がなかった年の支出では、管理会社に支払っている管理委託料が最大です。一方、マンション管理における一度に支払う最大の支出は、12年から18年に1回実施する大規模修繕工事です。適正なマンション管理維持のためには、定期的な大規模修繕工事を避けて通ることは出来ません。

大規模修繕工事の費用は、オプション工事を除いた基本的な工事で、一戸あたりの75万円~100万円くらいになるのが一般的です。すなわち30世帯のマンションなら、2,250万円~3,000万円程度となります。大規模修繕工事費用は、12年間積み立てた修繕積立金総額の50%-70%以内に抑えるになるのが理想です。エレベータや機械式駐車場など高額な維持費がかかる設備のあるマンションでは、12年間積み立てた修繕積立金総額の大規模修繕工事は50%以下にするようにしたいところです。

というのは、マンションも20年ほど経過すると建物そのものの修繕費に加えて、給排水設備、エレベータ、機械式駐車場など設備も考慮しなければいけなくなるからです。修繕積立金の50%を大規模修繕工事に充てて、残りの50%を、その他の設備更新や改良に充てるという考え方がまずは大枠になります。詳細は、長期修繕計画をしっかり作成して詰めていく必要があります。

マンション管理に要する費用は、管理委託料と、大規模修繕工事が最大支出となりますので、この二つをしっかり押さえて管理会社とお付き合いする必要があります。

例)30世帯、専有部面積(1部屋あたり面積)65m2、管理費12,000円、修繕積立金 13,000円と仮定
 管理委託料/年 : 12,000円/月 x 30世帯 x 50% x 12 = 2,160,000円/年
  12年間支払うと、管理委託料 25,920,000円(12年間分)

 修繕積立金は、13,000円/月だとして、30世帯で
  13,000円/月 x 30世帯 x 12 = 5,040,000円/年   
  12年間で、60,480,000円(12年間分)

大規模修繕工事を30,000,000円で実施
 1戸あたり100万円程度、修繕積立金の約50%に相当
 大規模修繕工事 30,000,000円(12年間分)> 管理委託料 25,920,000円(12年間分)

大規模修繕工事1戸あたり80万円程度で実施すると、
 大規模修繕工事 24,000,000円(12年間分)< 管理委託料 25,920,000円(12年間分) 
※大規模修繕工事を、20%コスト削減、600万円節約できると、管理委託料の2.7年分に相当することになります。

マンション管理会社とお付き合いしていくうえで、管理委託料が管理の質に見合う、大規模修繕工事は住民視点での提案、適正価格で、高品質、丁寧な工事を実施していくれる管理会社が理想ということになります。

これは理想論であり、現実には、管理委託料がリーズナブルな会社は、大規模修繕工事で元請けとなりお高い傾向があります。独立系管理会社はこのパターンが多いです。逆に、分譲会社系列の会社では管理委託料が高めで、大規模修繕工事は、リーズナブルという傾向があります。

管理会社の変更を検討している管理組合は、管理委託料の価格だけで決めるのではなく、大規模修繕工事において透明性を高い形で業者比較をして、納得できる形で施工業者を選ばせてくれる管理会社を選択するべきです。選考の際の大事なヒアリングポイントになります。詳しくは、下記のブログにまとめています。

大規模修繕工事で元請けをする管理会社、元請けをしない会社とありますが、それぞれの大規模修繕工事を管理会社をうまく使ってリーズナブルにすすめる方法を紹介しています。

マンション管理会社とうまくつき合い大規模修繕工事を適正価格で実施する

とはいえ、中小マンションでは、なかなか希望にあう管理会社を見つけられません。問い合わせしても断られてしまうことも多々あります。管理会社サーチで、ご自分のマンションの規模にあった管理会社を検索してみましょう。

※マンション管理会社を検索するツールです

お住いのマンションの管理費、修繕積立金、戸数を入力するだけで、ご提案してくれそうな管理会社を検索してくれます。

マンション管理費は上昇するもの?

マンション管理費と修繕積立金を、区分所有者は通常、毎月引き落としで支払っています。

消費税が上がればその分、上がるのは仕方ないか、、、そう思うかもしれません。

実は、2019年10月の消費税アップでも、管理費を上げていない管理組合もあります。

マンション管理業務のうち、清掃業務、管理運営業務、出納業務、小修繕、大規模修繕工事、いずれも人件費が多くの割合を占めます。

日本経済は長い間、デフレとはいえ、人口は減少、65歳の高齢者人口比率は、28.4%(総務省2019年9月)で、4人に一人が65歳以上で、労働人口は減少しつづけています。合わせて最低賃金も上昇、東京の最低賃金も1013円/h(2019年10月より)となっていますので、労働集約型のマンション管理業務では管理費の上昇傾向避けられません。

マンション管理会社から突然の値上げ通告を受けた管理組合もいるのでは?

しかし、マンション管理費のうち、管理会社への管理委託している点検業務、清掃業務の頻度などを見直す、給水設備を貯水槽方式から直結方式に切り替えるなどで設備を減らして点検業務を削減することで管理費を抑えることも出来ます。

どうしても管理委託料を下げたい場合は、最後の手段として管理会社を変えることでも管理費を下げることは出来ます。

節税する人はいても、脱税は違法行為です。そして税金の値下げ交渉をする人はいません。しかし、マンション管理費は税金とは違い、創意工夫で削減できます。

分譲マンションの住民の皆さん、人口減少社会・労働人口社会、自分の住まいをしっかり守り、賢く節約して生き抜きましょう!

マンション管理組合目線代表 神尾直志